答えは目の前に
ベアトリスはマクシムの馬車を見送りながら、彼女はフレデリカに対して同情的な言葉をかける。
「なんか、もういろいろ大変だったわね。」
しかし、フレデリカは少し不満げに反応した。
「他人事見たいにってくれるわね!誰が連れてきたのよ!=3」
フレデリカは、自分たちの立場や状況を深く理解してほしいと思っていた。
「でも、さっきの言葉が気になるね。」
ベアトリスはマクシムが娘に対して言い放った言葉が気になった。
「『カラミティブラッド』………確かに聞いた事あるのよね。でも、本当の事はわからないんだけど、ベアトリスは知ってるの?」
フレデリカは「クラスの女王様」が影で『カラミティブラッド』と呼ばれていた事を知っていた。
しかし、その会話の内容を思い返しても悪い内容なのかどうかもよくわからなかった。
「私も『カラミティブラッド』って名前しか知らないのよ。でも、答えは目の前にあるんじゃない?」
ベアトリスはソフィアを見た。
「そうね。客室に戻って三人いや、四人で話をしましょうか。ウチの従業員も巻き込まれそうだし。」
フレデリカはそう言った後、メルロの方を見て言った。
「メルロ、分かってるわね?、あの人の言った事、聞いちゃだめよ?」
「…はい。フレデリカ様、自分はあなたの言う事だけを聞きます。」
従順な態度を示すメルロ。しかし
「……本当に?」
フレデリカはそう声を掛けてメルロに近づき、メルロの腕を取り、自分の近くに寄せる。そして皆に背を向かせて小声で話す。
フレデリカ(………だったら、その股間の膨らみはなに?、お客様の前よ!期待してるんじゃないの!?)
メルロ(…す、すみません。トウサンジュニアは正直者なんです。)
フレデリカ(…わかったから、それを落ち着かせなさい。お客様に見せないように隠して、屋敷に戻りなさい。早く!)
メルロはフレデリカに言われたとおりに股間を隠して屋敷に戻った。
その様子を見ていたベアトリスは口元を手で隠して震えていた。
フレデリカに向ける視線は明かに笑っていた。
「何だか楽しそうな人だね、彼。」ベアトリスは笑いながら話しかける。
「そう?何だったらそちらに預けていいのよ?彼。」フレデリカはつまらなそうに言った。
「本当に?ああ、でも、考えとく。ありがと。」
ベアトリスはマクシムの「メルロ君が危ない」という言葉を思い出した。
間違いなくこれから厄介ごとに巻き込まれる前兆としか思えなかった。
「遠慮しなくていいのよぉ?」とフレデリカはワザとらしく言う。
「遠慮じゃないのよ、ソフィアとリリアンをそちらに送った後、人手があまっちゃって、だから今は見送る。」
とベアトリスは、それらしい嘘を言ってこの話を終わらせた。
「ソフィア、リリアン。客室に戻りましょう。先程の件についてお話を聞かせてください。」
ソフィアとリリアンは頷いてフレデリカの後を追って屋敷の中に戻った。