表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ある記憶喪失者の日常  作者: ねぶた
17章 タイフーン
137/315

嵐 前編

「ふむ、リリアン?連れてきなさい。」と穏やかに言うマクシム。


「…はい。」と観念した顔でリリアンは返事をして部屋の外へ出て行った。


「お?、ついにお目にかかれるのね。」少し浮かれるベアトリス。


「え?、ウチの従業員?」フレデリカは驚愕した。


ソフィアは来たばかりだというのに?しかし、そういう事に時間は必要ないとも言う。


フレデリカの頭の中にすぐに浮かび上がったのはハンスだった。


ソフィア(「言い方は気を付けて」と有れほど言ったのに、リリアン!?)


ソフィアはこの一連の騒動がリリアンの報告にある事、そして、マクシムが考えている自分の「いいひと」が誰なのか理解した。


「お連れしました。」とリリアンが戻ってきた。


そして顔を出したのはメルロだった。


「おお、君か!?」とマクシムは声をかける。


「!?メ、メルロ!?」フレデリカには予想外だった。


「フーン。メルロって言うんだ。」初めて顔をみるベアトリスは興味津々だった。


「…………ふむ。君は平民なのかな?」マクシムはメルロの恰好から身分を探った。


「?…は、初めましてメルロと言います。」とマクシムに挨拶する。


「此方の方は?」とメルロはリリアンやソフィア、フレデリカに目を向けて説明を求める。


「…………わ、ワタクシの父です。」とソフィアは観念してメルロに紹介した。


「マクシムだ。よろしく。」とマクシムはメルロに握手を求める。


「よ、よろしくお願いします。」メルロは気圧されていた。握手には力がこもっており、顔は笑っていたが目が笑っていなかったからだ。


(コイツか!我が娘を堕落の道へ誘いこんだのは!…落ち着け、まずはするべき事するんだ。煮るなり焼くなりは後でいい。)


マクシムの頭の中では、娘ソフィアと従者リリアンが裸でピースをし、その間でだらしない笑顔でしたり顔のくず男のイメージがあった。


しかし、その顔はモザイクが掛かっていた。


そのモザイクが今、鮮明になった。


「よし、ソフィア、メルロ君、二人共服を脱げ」と笑いながら話すマクシム。


 メルロ「へ?」

ソフィア「え?」


「二人そろったので準備はできた。さあ!、どうした?、時間は待ってはくれないぞ!?」とまるで教壇にいる教師のように淡々と、且つ急がせようとしてくるマクシム


 メルロ「一体何をするんですか?」

ソフィア「一体何をさせようというのです?」


「子作りに決まっているだろうに!?今やれ!すぐやれ!ここでやれ!」マクシムの顔には狂気が浮かんでいた。


 メルロ「ええ!?す、すみません。まだ勉強中でして…」

ソフィア「!?娘のワタクシにさせることではないでしょう!?」


「メルロ君、座学なんて無駄だ。あ、いや、ある程度まではそれでもいいが、やはり、実践あるのみだ!!さあやれ!バンバン行け!」

「ソフィア何してる?私の娘なら子供の一人や二人はすぐのハズだ!ポンポン行け!!ポンポン!!」


熱弁するマクシムにフレデリカは言った。


「お待ちください!、この家の主として、ここでそう言う行為はさせられません!!自重してください!!」


「……………失礼いたしました。フレデリカ様………では、ベットを一つ貸して下さいませんか?」とマクシムは落ち着いた様子で話すが、めちゃくちゃだった。


「貸しません!」フレデリカは断言した。


「ふむ、仕方あるまい、ソフィア、街に行くぞ!、フレデリカ様、メルロ君をお借りしますぞ?。」全く折れようとしないマクシム。笑顔の口元から見える歯は光っていた。


「か・し・ま・せ・ん!!!」フレデリカは叫んだ。


「では、どうしろと言うのです!?」もうらちが明かないといった困惑顔を見せるマクシム。


「どうも、しないでクダサイ!!?」息をゼーゼーしながら青筋を立てて叫ぶフレデリカ


「はい、二人共、落ち着いてください!」ここでベアトリスが割って入った。


「私は落ち着いているぞぉ」と言ってのけるマクシム。


「子作りを強要する人のどこが落ち着いているんですか?」とフレデリカは突っ込む。


「だが、落ち着いている」と言ってのけるマクシム。


「今ですよね!さっきまでは狂気の沙汰でしょ!?」と声をふり絞って叫ぶフレデリカ


「フレデリカ様、落ち着いて」と気の毒そうな顔でいうマクシム。


「!!!あーーーー腹立つ!」とここでフレデリカが力尽きる。


「フリッカ?どうどう。どうどうどう。」とベアトリスが落ち着かせる。


そしてベアトリスはマクシムにこう切り出した。


「マクシム様、どうしてそんなに急いでらっしゃんですか?」


「うむ、それはちょっと話すと長くなる。残念だが時間だ。私は次の用事があるのでここを去らねばならん。」とマクシムは帰り支度をする。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
面白かったらブックマーク、下の評価よろしくお願いします! 小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ