エロスを求めて
話は少し前にさかのぼる。
メルロは、クララとの関係に悩んでいた。
出会った頃のクララは職場の先輩であり、頼りになる存在であった、しかし、怒らせると怖い存在だった。
だが、最近はエロい。とにかくエロい。何がと聞かれると、仕草がエロい。声がエロい。座る姿がエロい。微笑みかけてくる笑顔がエロい。
油断すると頭の中がクララでいっぱいになる事があった。
最近の彼女は何かが違う。出会った頃と比べると優しい。が、とにかくエロい。
自分は一度倒れた事がある。そして目が覚めた時に受けたあの優しい声とエロい抱擁が忘れられない。
あの胸の感触は強烈だった。
自分は彼女との関係を次に進めたい。
が、しかし、次といってもどう進めればよいのか分からない。
自分はクララへの想いに戸惑いを覚えた。しかし、次のステップを踏むために行動を起こす事に決めた。
気が付けば、古本屋で恋愛小説を買い求め、自分の状況に照らし合わせながらアドバイスやヒントを見つけようとしていた。
恋愛小説は、架空のストーリーや登場人物の関係を通じて恋愛についての洞察やアイデアを提供するもの。
自分はそれらの本から自分の状況に当てはまる要素を見つけ出し、クララとの関係改善に役立つアイデアを得ることを期待していた。
そして、一冊の本と出会った。
それは全くの偶然だった。
自分はその日、珍しく屋台の食べ物を買って部屋でその食べ物を口にしながら買ってきた本を読んでいた。
包装紙には簡単な文章を並べたデザインが施されていた。
読んでいた本にも似たような文章があったので包装紙に書かれていた文章が少し気になった。
遊びで包装紙に書かれている文章と包装紙に書かれていない文章を置き換えて本を読んでみた。
すると、驚くべき文章が浮かび上がってきた。
その文章は簡単に言えば、肩を抱く、腰に手を当てる、接吻をする。接吻とは何なのか他の書物で調べた。
なにかしらエッチな気分にさせる文章が浮かび上がってくる。
これだ。自分が求めていたものはここにあった。
そしてこの包装紙が気になった。
それからの自分は、たまに街の屋台で食べ物を買い、包装紙に書かれている文字から本に組み込まれているパズルを解くことに夢中になった。
安息日の今日もその作業に夢中になる。
あともうちょっと、なんてエッチなんだ…。
そして解き明かされる文章に自分とクララを重ね合わせる。
### 以下、解読した文章 ###
テツヤの身勝手な欲望を押し付けられて私は困惑していた。
「もう、お母さんに言いつけるからね!」
無駄とわかっていながらも、私はささやかな抵抗をした。
「いいから、さっさとしようぜ!」とテツヤが迫ってくる。
今日、ウチにはテツヤと私の二人きり。
お母さんは暫く帰って来ない。
こうなるとテツヤは、自分の欲望が収まるまで私を離してはくれない。
そう、私はテツヤの欲望のはけ口にされている。
### 解読した文章 中断 ###
解読の途中、突然ソフィアとリリアンの存在に気付いた。
自分は驚きの表情を浮かべ、素早く書物を閉じた。
「ど、どうしたんです? なぜここにいるんです?」
ソフィアとリリアンは困惑した表情で立ち尽くしていた。
ソフィアとリリアンは突然の反応に戸惑っているように見えた。
ソフィア「ごめんなさい、メルロさん。部屋のドアが少し開いてたから、興味本位で部屋の中を見ようと思ったの。まさか、貴方の部屋だと思ってなくて(嘘)…」
リリアン「でも、メルロさんを驚かせてしまったようですね…、ごめんなさい。…何か問題でもあったの?」
問題?……問題なら大ありだよ。
後もうちょっとで求めていた文章を読むことができるのに、せっかくの気分が台無しだよ!。
……だめだ、「テツヤ」が気になる。
「私」には悪いけど、自分は「テツヤ」を応援したい。…がんばれ「テツヤ」!、期待しているぞ!
続きを読むためにも今、目の前にいるソフィアとリリアンを何とかしなくちゃ。
でも、「今、エロい文章を読んでる真っ最中です。」とか
「今、クララさんの幼気なシーンを妄想するのに忙しいんです。じゃ☆彡」だなんて言えないし…(ついこの間なら言えたかも)。
クララさんとのそれっぽい事を言ってみようかな。