夜の出来事についての解説①
フレデリカ、ソフィア、リリアンの一行にクララも同行した。
「まず、食堂での出来事についてですが、ここに来ていただけますか?」とフレデリカは食堂の指定の場所に来るよう促した。
ソフィア・リリアン「?」言われるがままに言われた場所へ移動するソフィアとリリアン。
「はい。では、壁の方を見ていただけますか?」をフレデリカは次に行う事をソフィアとリリアンに指示した。
ソフィア・リリアン「…………………………!?」
ソフィアとリリアンが見たものは、文字で描かれたフレデリカの姿絵だった。
昨日みた食堂の壁の文字はこうして離れてみると姿絵となっていたのだった。
「いつ見ても素敵ですね…」とクララは感想を述べた。
「ありがとう。クララ。」フレデリカはクララに礼を言った。
ソフィア・リリアン「…………………………」
気が付くとソフィアとリリアンは震えていた。
「?どうしましたか?」とフレデリカは二人に声をかけた。
リリアン「………あの……その……………」
ソフィア「…すてき…ではあると思うんです……………………」
そう言って二人はそれぞれ明後日の方角に視線を移して答えた。
その様子にフレデリカは悪い予感を感じて二人を問いただした。
「…なんですか?…お願いです。…正直に話していただけませんか?……私たちに何か落ち度があるなら正しておきたいのです!」
すると二人は互いに目を合わせ本当の事を話した。
「……その、本当だったらステキな姿絵だとは思うんです。…その、昨日の出来事が頭に残ってしまっていて…」とソフィアが言う。
「……怖いんです。……こんな明るい時でも、怖い思い出が先に来てしまって……不気味に見えてしまうんです。」とリリアンが引き継いだ。
「━∈(´-`;)グサッ……あ、…カ…………は……多……」とフレデリカはよろめいて尻餅をついてしまった。
「フレデリカ様!」とクララはフレデリカの傍で支えた。
彼女達の一言、特にリリアンの「不気味」という言葉は、フレデリカに会心の一撃を与えてしまった。
精巧な人形も昼間は可愛く見える。
しかし、夜や雨の日等、暗い場所で見ると不気味に見える。
この感じ方は、大人になればなるほど、世間を知れば知るほど、特に怪談話が好きな人ほど明確になってくる。
フレデリカも薄々は気付いていた。
これが自分の姿絵だとわかる前は、知らない文字の集合体で自分でも不気味だと感じていたからだ。
しかし、面と向かって言われると、これほどのダメージがあるのは予想外だった。
フレデリカは言葉に詰まり、しばらくの間、黙ってしまった。
彼女はよかれと思った自分の行動が、二人に不安や恐怖を与えてしまった事を深く悔やんでいた。
クララがフレデリカの肩を優しく叩きながら励ました。
「フレデリカ様、心配しなくても大丈夫ですよ。私たちも最初は怖かったけれど、時間が経てば慣れてきますよ。ただ、ソフィアさんとリリアンさんのような気持ちの人もいますので、今後は気をつけましょう?。ね?」
「そうですか…。皆も怖かったんすね………。」とフレデリカは最初だけ明るくなったが、内容を理解して更に落ち込んだ。
「あ、あれ!?、フレデリカ様?」クララは励ましたつもりが、屋敷の主人の心を余計に傷つけていまった事を後々になってから気付いた。
クララの言葉により、フレデリカの心が更に傷ついた事に気付いたソフィアとリリアンは慌てて誤った。
ソフィア「フレデリカ様、本当にごめんなさい。私たちの言葉が不適切でした。あなたの行動は心からの思いやりからくるもので、本当の事を言っていただけて嬉しかったです。」
リリアン「そうです、フレデリカ様。私たちは最初は怖がったかもしれませんが、あなたが私たちを助けようとした事に感謝しています。」
二人の謝罪を受けて、フレデリカは少しずつ表情を取り戻しました。
フレデリカ「ありがとう、ソフィア、リリアン。」
クララもフレデリカの言葉に頷きながら、彼女を励まし続けた。
クララ「フレデリカ様、私たちはお互いに支え合って乗り越えていきましょう。他にもお二人に説明しなければいけない事があるんですよね?。」
その言葉にフレデリカは復活した。
「そ、そうです。まだ、説明しなくてはいけない事がありました。」
そこへエレナがやってきた。
「フレデリカ様、言われたものを持ってきました。」
「ありがとう、エレナ。ソフィアさん、リリアンさん、こちらに来てこのペンを握っていただけますか?」と二人に声をかけた。
ソフィアとリリアンは不思議そうな表情でお互いを見つめ、疑問に思いながらもリリアンは指示通りにペンを握った。
すると、リリアンの体は勝手に動き始めた。
「え?、あ、あれ?」リリアンが驚いている間も体は勝手に動いていた。
「おはよう。リリアン」という一文が、リリアンの手を介して自動的に書かれた。
ソフィアとリリアンは驚きながらも、リリアンの体が自発的に動いたことに目を見張っていた。
リリアンは少し戸惑いながらも、興味津々の表情で手に握ったペンを見つめる。
リリアン「不思議なことが起きましたね。このペンが私の手を通じて何かを伝えたのかもしれません。」
ソフィアは疑問を抱きながらも、興味津々でリリアンの体験を追求した。
ソフィア「リリアン、その一文の意味は何か分かりますか?」
リリアンは思案しながら一文を見つめます。
リリアン「書かれた事、そのままだと思います。おそらく、私に向けての挨拶なのかもしれません。でも、誰がこんなメッセージを書いたのでしょう?」
フレデリカ「この一文は、そのペン自身が挨拶をしました。これは勝手に動くペンで『アクア』と名付けています。私たちの一員です。ただ、気まぐれで人が握ってなくても勝手に動き出すんです。昨日お二人が見たのはこのアクアですよ。」
リリアンとソフィアはフレデリカの説明に驚いた。
そのペンが自発的に動く存在であることを説明されても信じられなかった。
しかし、リリアンはその不思議な現象を体験してしまった。少なくともリリアンは信じるほかなかった。