奥にある一冊の本
その夜、ソフィアとリリアンは早速、フレデリカの家を調査する事にした。
二人は同室を与えられ、そこに荷物を置いた後、潜入用の黒い服に着替えてあたりの様子を確認した。
彼女らは注意深く移動し、周囲の様子を探った。
部屋の家具や装飾品は高級で豪華なものが多く、屋内は静かで落ち着いた雰囲気が漂っていた。
二人はまず、メルロの部屋を探すことにした。
彼が記憶を取り戻すきっかけを作るにしても、まずは本人の居場所を確認するのが第一と考えたからだった。
彼の部屋はどこにあるのかを把握するため、近くの部屋から一つずつ探索を進めた。
廊下を進みながら、ソフィアはリリアンに尋ねた。
「リリアン、メルロの部屋の場所について何か情報を入手できた?」
リリアンは周囲を確認しながら答えた。
「まだはっきりとは分かりませんが、メルロの部屋はこの階にあるはずです。少し先に進んでみましょう。」
二人は指定された場所に向かい、メルロの部屋を見つけた。
ドアの前で立ち止まり、ソフィアはリリアンに合図を送った。
彼女らはドアを開ける前に慎重に耳を傾け、部屋の中から音や動きが聞こえるかを確認した。
静寂が続いていることを確認した後、ソフィアはドアノブを回し、ドアをゆっくりと開けた。
部屋の中は暗く、外の光がわずかに差し込むだけだった。
ソフィアとリリアンは小型のランプを使いながら、部屋の中を探索した。
この小型のランプには蓋がついていた。蓋を開けると中の光は反射し、開けた口から光が放たれ遠くまで照らせるという代物だった。
彼らは静かに歩き回り、メルロの部屋に残された手がかりを探した。
引き出しや机の上を丁寧に調べ、文書やメモ、その他の物品をチェックした。
しばらくの間、彼女らは何も見つけることができなかった。
しかし、ソフィアが本棚の奥にある一冊の本に目を留めた。
それは他の本とは異なる装丁を持っており、見た目からして特別なものであることが分かった。
ソフィアは興味津々の表情で本を手に取り、リリアンに合図を送った。
リリアンも興味津々の表情でソフィアの行動を見つめながら、彼女が手にした本の中身が何か気になった。
ソフィアは慎重に本の表紙を開き、中を覗き込んだ。
すると、本の間には数ページにわたる手書きのメモや図面が収められていた。
それらの内容は何かを示唆するような線やマークで構成されていた。
ソフィアとリリアンは興奮しながらメモや図面を読み進めていった。
それらは明らかにメルロの手によるものであり、彼が何か重要な情報を持っている可能性が高まった。
二人は内容を詳しく読み解くため、メモや図面の写しを得るため、その本を拝借する事にした。
これらの手がかりが壁の文字やメルロの秘密に関連しているのかどうかを確認するため、彼女らはメモや図面の写しを本部にいる他の仲間たちと共有することに決めた。
探索を終え、メルロの部屋から出る準備をしていると、突然廊下から足音が聞こえてきた。
ソフィアとリリアンは素早く潜入服を脱ぎ、普段の服に着替えた。
彼女らは周囲を確認し、部屋を出て普通の客として自分達の部屋に戻った。
部屋に戻ったソフィアとリリアンは早速写しを取ろうとしたが、この家の秘密に迫れるかもしれないと言う誘惑に負けてメモの内容を読み進めた。
「…すごい。…メモの通りに文字を置き換えると…別の文章が並んでいるなんて!。」
リリアンも興奮しながらソフィアの言葉に同意した。
「確かに、これは暗号のようですね。メルロが何かを隠している可能性が高まります。」
二人は続きのメモや図面を読み進め、文字の置き換えについて詳しく解読していった。