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ある記憶喪失者の日常  作者: ねぶた
15章 動き出す教会
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クラスの女王様

フレデリカとベアトリスは再び席に戻り、ソフィアとリリアンが近くのテーブルに座るように誘った。


ソフィアは驚いた表情を浮かべながらも、フレデリカとベアトリスに従って席についた。


フレデリカは緊張しながらも、クラスの女王様だったソフィアに話しかけた。


「ソフィア、久しぶりだね。驚いたけど、ここで再会できるなんて不思議な巡り合わせだね。」


ソフィアは微笑みながら答えた。


「本当、驚きましたわ。フレデリカさんと再会できるだなんて思ってもみませんでした(嘘)。私たちが一緒に働くことになるなんて、運命って不思議なものですね。」


その物腰はまさにかつての「クラスの女王様」だった。


フレデリカは寄宿舎学校に入った時、貴族相手の礼儀、作法を最短最速で学ぶため、この「クラスの女王様」とも接点を作っていた。


リリアンも続けて言った。


「ソフィアさんは、お二人と知り合いなのですか?」


フレデリカはソフィアとリリアンに向かって微笑みながら答えた。


「はい、実は私とソフィアは寄宿舎学校で一緒に過ごした仲間なんです。彼女はクラスの女王様として有名でしたよ。当時から頭の良さとリーダーシップが光っていました。」


ベアトリスもソフィアを見ながら頷いた。


「確かに、彼女の存在は学校中に知れ渡っていました。私たち商会でも彼女の経験とスキルは活かされると思います。ソフィア、リリアン、私たちと一緒に頑張りましょうね。」


ソフィアは自信に満ちた笑顔を浮かべながら頷いた。


「ありがとうございます。私もリリアンと共に、商会の発展に力を尽くします。昔のつながりが再び役立つなんて、本当に不思議ですね。でも、私たちは今回の仕事に全力を注ぎますので、どうぞよろしくお願いします。」


フレデリカとベアトリスはソフィアとリリアンの意気込みに感心した。


しかし、フレデリカは、一つ気になった事を話した。


「でも、なんで労働者をしているの?、ソフィア、貴方が働くとしたら、どちらかと言えば経営者の方だとばかり考えていたわ」


ソフィアは軽く笑ってから答えた。


「確かに、私は経営者の道も考えていました。しかし、寄宿舎学校で過ごした経験が私にとって大きな影響を与えました。」


「当時、私はクラスのまとめ役としてリーダーシップを発揮していましたが、同時に仲間たちとの協力や助け合いの大切さも学びました。」


「私は、単に経営者として成功するだけでなく、人々の役に立ちたいという思いも強くなりました。だからこそ、今回の仕事に参加し、農作業という形で実際に貢献できる機会を選んだのです」


フレデリカはソフィアの言葉に納得しながら頷いた。


「確かに、経営者として成功することも大切ですが、人々の役に立つことも同じくらい重要ですね。ソフィアの経験とスキルが商会にとっても貴重な貢献になること間違いないわ。私たちも一緒に協力して、この地域の発展に寄与しましょう」


ベアトリスも同意しながら微笑んだ。


「そうですね、経験豊富なソフィアとリリアンの力があれば、商会の成果も大いに期待できます。私たちも一緒に努力しましょう。それでは、まずは農作業の詳細を話し合いましょう」


この会話によって、フレデリカ、ベアトリス、ソフィア、リリアンは協力して農場拡張の成功に向けて努力することを確認した。


彼らは互いの経験やスキルを活かし合い、農作業に取り組むことで地域の発展に貢献することを目指した。


翌日、フレデリカはソフィアとリリアンを連れて屋敷に帰ることに決めたが、自分の荷馬車を見て恥ずかしくなった。


彼女は相手が「クラスの女王」と呼ばれる気品の高いソフィアを、荷物のように荷台に座らせるのは恥ずかしいと感じた。


しかし、現時点ではこの荷馬車しか利用できる手段はない。


さらに、ベアトリスの商会で取引した荷物も運ばなければならない。


フレデリカは内心で少し葛藤したが、現実的な選択肢がないことを理解した。


彼女はソフィアに対して丁寧に謝りながら、荷馬車に座るように誘った。


「ソフィア、本当に申し訳ありません。現在利用できる荷馬車はこれしかありません。私たちの帰宅とベアトリスの商会で取引した荷物を運ぶ必要があります。恥ずかしい気持ちはありますが、どうかご了承ください。」


「いいのです、フレデリカさん。私はあくまで一労働者でしかありません。むしろ、馬車で運んでいただける事に感謝してます。」ソフィアはそう答えた。


フレデリカは謝罪の言葉と共に、ソフィアとリリアンが乗るためのスペースを確保した。


彼女はできるだけ快適に乗れるように気を配りつつ、馬車の荷物を慎重に積み込んだ。


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