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ある記憶喪失者の日常  作者: ねぶた
15章 動き出す教会
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初めての面会

フレデリカが夕食時にベアトリスの商会に到着したとき、建物からは美味しそうな香りが漂っていた。


商会のスタッフたちは忙しそうに働きながらも、笑顔で仕事をこなしていた。


ベアトリスはフレデリカの到着を見つけると、喜んで彼女に近づいた。


「フレデリカ、ようこそ!夕食に参加してくれるの?今日は特別な料理を用意しているのよ。お疲れさまでした!」


フレデリカも笑顔でベアトリスに応えた。


「ありがとう、ベアトリス!本当に嬉しいわ。長い一日だったけど、ここで皆と一緒に食事ができるなんて幸せだわ。」


二人は食堂に向かい、スタッフたちと共にテーブルに座った。


料理が運ばれてくると、美しい盛り付けと豊かな香りにフレデリカの胃袋はもう鳴っていた。


ベアトリスは満足そうに笑いながら言った。


「フレデリカ、この料理は商会のスタッフたちの手によるものなの。彼らはただ仕事をするだけでなく、料理の才能も持っているのよ。」


フレデリカは感謝の気持ちを込めて皆に向けて言った。


「本当に美味しそうな料理ですね!皆さん、手をかけて作ってくれたんですね。感謝の気持ちでいっぱいです。」


スタッフたちはにっこりと微笑みながら、フレデリカの言葉に頷いた。


夕食の時間は和やかな雰囲気に包まれ、仲間たちとの絆を深める大切なひとときとなった。


フレデリカはベアトリスの商会での時間を楽しみながら、明日からの畑の拡張作業について話し合った。


労働力の確保やスケジュールの調整など、詳細なプランを練りながら、ワイン生産のさらなる成功を目指していくのだった。


フレデリカはベアトリスに男性の労働力について尋ねたが、ベアトリスは言いづらそうな様子だった。


しばらくたって、ベアトリスはため息をつきながら言った。


「実は、男性の労働力は今回はちょっと難しいのよ。周辺の農場でも需要が高まっていて、手配が難しくなっているの。でも、代わりに紹介できるのは女性のスタッフだけど、彼女たちも頼りになるわよ。」


フレデリカは少し驚きつつも、ベアトリスの言葉を受け入れた。


「そう、女性のスタッフでも大丈夫よ。ソフィアさんとリリアンさんという方々を紹介してもらえるのでしょう?」


ベアトリスは頷き言いました。


「もちろん、彼女たちを紹介するわ。ソフィアとリリアンは商会に来たばかりだけど優秀なスタッフで、農作業にも慣れてるの。ただし、彼女たちも商会の仕事を抱えているので、ある程度の期間の協力と報酬の調整が必要になるかもね。」


フレデリカは理解しながら頷いた。


「了解です。彼女たちにも感謝の気持ちを伝えますし、報酬についても相談してみます。女性のスタッフでも、きっと一緒に頑張って畑を拡張できるはずです。」


ベアトリスはほっとした表情で微笑みました。


「ありがとう、フレデリカ。彼女たちも喜んで協力してくれると思います。一緒に頑張りましょうね。」


そして、ソフィアとリリアンという女性のスタッフがフレデリカの元にやってきた。


二人の姿をみたフレデリカは暫くして固まった。「………………」


「?、どうかした?」とベアトリスがフレデリカに声を掛ける。


するとフレデリカは不思議そうな表情を浮かべながら、ベアトリスの手を引いて商会の中に進む。


二人が見えない場所に辿り着くと、フレデリカは囁くように言った。


「ベアトリス、どういう事なの?」とフレデリカは目を見開いてベアトリスに迫った。


「え?あああ、ん、やっぱり、男性の方がよかった?」とベアトリスが尋ねる。


「そうじゃなくて!…いや、そうだけど、そうではあったんだけど……!」フレデリカは何かに驚いている様子だった。


「いや、だから、ん、女性労働者しか確保できなかったんだって。ね?わかって?」とベアトリスが返答するが、フレデリカは続ける。


「それはわかってるけど、男性労働者の方がいいって言ったけど!、今日ようやくここに辿り着いて女性労働者だってわかってびっくりしたけど!」フレデリカはやはり何かに驚きすぎて何を言いたいのか要としてつかめない。


「うん、うん、わかった。フレデリカが男好きだという事はわかった。だけどね…」とベアトリスは答えようとするがフレデリカが許さない。


「ちょっと!その言い方はやめて!私が男をあさっているように聞こえるじゃない!そうじゃなくて………」とフレデリカが言いかけると今度はベアトリスが遮る。


「ああ、ん、そう、女が好きなのね?同性が好きなんだ?って、え、私も対象なの?」とベアトリスが驚きの表情を浮かべる。


「違うわよ!?私はノーマルよ!、貴方、わかってて遊んでるでしょ!?、いいから私に話をさせて!?、私の話を聞いて!?、私にしゃ・べ・ら・せ・て!?」とフレデリカは少し怒った。


「ああ、はい、わかった、わかりました、ハイ、どうぞ」とベアトリスは慌ててフレデリカの話を聞く準備をする。


「なんで!、寄宿舎学校で一緒だった!、「クラスの女王様ソフィア」があそこにいる訳!?」とフレデリカは改めてベアトリスに迫った。


ベアトリスは驚いた表情で聞き返した。


「え?本当に?ソフィアがここにいるの?」


フレデリカは頷きながら続けました。


「本当よ!。というか、なんで貴方が驚くの?私に合わせる前に面通ししてなかったの?」


ベアトリスは驚きと戸惑いを隠せない様子で、頭を掻きながら言った。


「ごめんなさい、フレデリカ。確かに私は彼女たちとの面接をしていたけど、雰囲気が昔と違っていて気付かなかったの。彼女がクラスの女王様だったなんて、まさか思いもしなかったわ。」


フレデリカは深いため息をつきながら言った。


「本当に意外な展開だわ。私たちが同じ寄宿舎学校に通っていたなんて、運命って不思議なものね。でも、今回は仕事のために一緒に協力することになるのかしら…」


ベアトリスは考え込んだ後、にっこりと笑みを浮かべた。


「そうね、運命というのは不思議なものだけど、たぶん何かの縁なのかも知れないわ。でも、彼女たちがクラスの女王様だったことは、今後の作業においても何か影響を与えるかもしれないわね。どうする?」


「う…ん。どうしよう。相手が昔の知り合いとなると、…なんか心配事が増えて来ちゃうかも…」とフレデリカが困った顔をみせる。


「…今回は諦める?」とベアトリスがやさしく尋ねる。


「いえ、それはそれで彼女、クラスの女王様に失礼だわ。まずは話を聞きましょうか?」とそう言って二人は元の席へ戻っていった。

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