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ある記憶喪失者の日常  作者: ねぶた
14章 毒蛇に対する切り札を求めて
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タコの行方


酒場についてメイド達がいる席で注文をした後、メルロはカアサン(タコ)に逃げられた事を思い出して溜息をついていた。


「?どうしたの」とアンナはメルロの様子に気が付く。


「?元気ないですね。」クララもメルロに声をかけた。


「?ハチの剣舞が今日も激しかっ…」とエレナが声をかける途中でメルロが遮る。


「…ハチの事は屋敷の人以外は秘密でしょ。」とメルロは小声で話す。


「…おっと。そうでした。」エレナも小声で答えた。


「あ、いや、なんでもないよ。ちょっと考え事があっただけさ」とメルロはアンナとクララに向かった答えた。


確か、アンナとクララもタコが苦手だったはず、カアサン(タコ)の事は黙って居よう。


酔いが進んできた時、ジョン、マイク、ヨハン、クラウスがやってきて別の席に座っていた。


メルロはメイド3人に断ってからその席に移った。


「よう、メルロ、今朝はどうだった?良いタコ買えたか?」とヨハンはメルロに声を掛けた。


「うん、新鮮なタコを手に入れたよ。ありがとう、ヨハン。」とメルロは返答したが元気がない。


「あれ?、どうした。タコ、あんまり旨くなかったか?」とヨハンは元気のないメルロの様子が気になった。


「いや、食べるつもりはなかったんだ。飼うつもりだったんだよ。」とメルロは食べるつもりがなかったと説明する。


「飼う?、なんか珍しい事しようとしてるな。」横で聞いていたクラウスが尋ねる。


メルロは少し躊躇しながらも続けた。


「名前もつけたんだ。カアサン(タコ)って」


ジョン、マイク、ヨハン、クラウス「「「「カアサン(タコ)!?」」」」


男達は一瞬驚き、次第に笑い始めた。


ジョン「トウサン(猫)にカアサン(タコ)ってw」


メルロ「なんです?」


マイク「ホントにいいセンス持ってるなw」


メルロ「でしょ?」


ヨハン「やっぱお前は英雄だよw」


メルロ「ありがとう」


クラウス「パン泥棒に栄光あれw」


メルロ「その名前は少し忘れてほしい…」


ジョン、マイク、ヨハン、クラウス「「「「イエーイw!」」」」


メルロは4人が乾杯の杯を合わせてているところに一応自分の杯も合わせた。


「でも、なんで飼うって事になったんだ。」とジョンはメルロに尋ねる。


「実はさ、ウチのご主人様はタコが大嫌いらしくてさ…、フレデリカに因縁をつけられた時に、カアサン(タコ)を使おうと思ってたんだ。」とメルロは4人に説明した。


「なんだか面白そうじゃないか…。どう使うつもりなんだ?」とマイクは微笑みながら尋ねた。


「でもさあ、ここへ来る前にそのカアサン(タコ)に逃げられてちゃって…」とメルロは残念そうに言った。


ジョンは笑いながら言った。「まあ、カアサン(タコ)を使ってフレデリカを驚かせるというアイデアは面白そうだったかもしれないな。でも、残念だな、カアサン(タコ)が逃げちゃったんだ。」


「でも逃げるなら逃げるでお金返してほしかったよ…。ハア…。」とメルロは溜息をつきながら言った。


ヨハンはメルロをなぐさめるように言った。「気にするな、メルロ。次回のチャンスがあるさ。他の方法でフレデリカを驚かせてやろうよ」


メルロは頷きながら微笑んで言った。「そうだな、次は別の方法を考えてみるよ。」


翌日、意外な形でカアサン(タコ)の行方が判明した。


畑仕事でハンスとジョセフが上機嫌な様子にエレナが気が付いて尋ねた。


「二人とも随分上機嫌ですね。なにかありました。?」


「ああ、昨日な」とジェセフはエレナに答える。


「昨日、皆が酒場に向かった後、どこから来たものか生きのいいタコが現れてねw、今日はフレデリカが帰ってくるからジョセフとマーガレットと一緒にタコパーティをしたんだ。旨かったよ。」とハンスも上機嫌にエレナに答えた。


多少距離があったが、それを耳にしたメルロは、カアサン(タコ)とはもう二度と会えないという事実に衝撃を受けた。


「……か……カアサン(タコ)」メルロは肩を落とした。

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