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ある記憶喪失者の日常  作者: ねぶた
14章 毒蛇に対する切り札を求めて
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弱点


剣舞の後のメルロはいつも通り足腰が立たなくなった。


しかし、皆で夕食の準備をしなければならない。


「今日はフレデリカがいないから、魚じゃない海の幸と行こうか」そうハンスがジョセフにいった。


「お、あれかい?」とジョセフはうれしそうでした。


「そう、今日はフレデリカは不在だって聞いてたから用意しておいたんだ。」とハンスもジョセフに嬉しそうに返す。


「?なんですか海の幸って」メルロはいったいどんな食材なのか興味がひかれた。


「タコだよ。タコ」ハンスが言う前にジョセフは嬉しそうにメルロの問いに答えた。


メルロはタコという生きものがどういうものかわからなった。


メルロは興味津々でハンスに尋ねた。「タコってどういう生き物なんですか?」


ハンスは微笑みながらタコについて説明した。


「タコは海に生息する生き物で、多くの手を持ってるんだ。体は柔らかく、頭部には目や嘴のような口がある。アイツらは中々頭がいいらしい。」


「タコはこの地域で一般的な食材ででな、この季節によっては新鮮なものが手に入るんだ。特に今日はフレデリカが不在だから、タコを用意しておいたんだ。なかなか食べる機会がないから、みんなに味わってもらいたかったんだよ。」


「どんな風にするんです?」とメルロは料理方法を聞いた。


「今日は、フライと塩ゆでだな。下処理は自分がやっておくから、皆他の料理を作っててくれ。」とハンスはジョセフとメルロ、近くにいたマーガレットにも声をかけた。


マーガレットが心配そうに口を挟んだ。「でも、アンナやクララはタコを気持ち悪がるかもしれないわよ?」


「なんだよぉ」とジョセフは困った顔を見せる。


「いいだろ?今日という日はなかなか来ないんだから。」とハンスもマーガレットに抗議する。


「ハイハイ、わかりました。他の人たちも食べれるように、別の料理もを作っておきます。」と半ばあきれ顔でマーガレットは頷いた。


「でも、なんでフレデリカが不在の時なんですか?」とメルロはハンスとジョセフに問う。


ハンスは考え込んでから答えた。


「フレデリカは実はタコが大嫌いなんだ。その触手や姿が気持ち悪いと感じるみたいで、普段から避けてるんだ。だから、彼女が不在の時にタコを食べることになっているんだよ。」


「それに、彼女は小さい頃にタコから攻撃を受けた事があって、その時の記憶が恐怖と共に蘇ってくるそうだ。」


「攻撃?」とメルロは問いかける。


「そう、彼女はフリッカと呼ばれていた小さい頃、自分と一緒に海にいったんだが、波打ち際で波から逃げたり追いかけたりして遊んでたらタコが近寄ってきたんだ。」


「そしてタコは触手でフリッカに襲い掛かった。距離は届かなかったけど、触手の勢いで顔に水を掛けられてしまってね。そこで初めてタコの姿を見たんだ。彼女は珍しく悲鳴をあげてたよ。」


「いいか?メルロ。今日の事はフレデリカに話さないようにするんだぞ?」とハンスはメルロにタコ料理をたべる事を内緒にするように促した。


メルロは興味津々でハンスの話を聞きながら、フレデリカの恐怖について思いを馳せた。


しめた、これでヤツの弱点を手にする事ができるぞ、と悪い顔をした。


メルロはフレデリカの弱点を知る喜びと共に、新しい味を試すことに興味を持った。


「それなら、今日はタコ料理を堪能しましょう!フレデリカがいないからこそ、みんなで楽しめるチャンスなんですね?」とメルロは笑顔で言った。


ジョセフも同意しながら頷いた。「そうだな!タコは食べる機会が少ないから、今日は思いっきり味わおうぜ!」


ジョセフはハンスと一緒に料理の準備を始めました。


メルロはマーガレット、アンナ、クララ、エレナと共に別の料理を作った。


暫くして下処理を終えたハンスとジョセフがタコと思われる物体を持ってきた。


「!?何ですかコレ、これがタコ!?」


メルロはタコの姿に驚愕した。


彼の目の前には、腕や足のようなものがたくさんついた不思議な生き物があった。


その様子を見て、メルロはフレデリカがなぜ恐怖を感じるのか少し理解することができた。腕なのか足なのかそれが何本もある生き物である。


その姿をみてフレデリカが恐怖したという事も少しは理解できた。



アンナとクララはタコの姿を見て悲鳴を上げていた。


彼女たちは驚きと恐怖を感じているようだった。


マーガレットは心配そうにメルロに言った。「メルロ、タコを食べることになるけれど、本当に大丈夫なの?」


メルロは自信を持って答えた。「そ、そう言われますと心配になってきました。で、でも!食べてみない事には分かりませんし!」


そうしている内にハンスとジョセフが調理したタコが完成した。


皿に盛られたタコは、揚げられたフライと塩ゆでの二つのスタイルで用意されていた。


「これがタコ料理」とメルロは呟き周りの様子を伺った。


「さあ、タコ料理の時間だ!みんなで堪能しよう!」


ハンスとジョセフはタコ料理に手を伸ばして喜んで言った。


一方でアンナとクララはタコ料理の皿を避けるように席を移動していた。


「メルロは初めてなんだっけ?、食べれなくはないと思うけど、素材は淡白なのよね、コレ」とエレナは言う。エレナとマーガレットは平気なようだ。


メルロは二人の様子を見て勇気をふり絞ってタコ料理を口にする。


ジョセフとハンスはメルロの反応に興味を抱いた。


「これは…」と呟くメルロ。


ジョセフとハンスはメルロの言葉を待って見つめていた。


その様子が気になってエレナとマーガレットもメルロを注目する。


「……これの味がタンパクというんですね?…なんか、美味しいですね!?。」とメルロは笑顔をみせた。


ハンス・ジョセフ「「だろぉぉうw?」」


ハンスとジョセフは同好の士が一人増えた事に喜んでいた。


二人の喜び方にエレナとマーガレットも次第に笑顔になりました。


離れた場所でアンナとクララは暗い顔をして信じられないという顔で皆の様子をみていた。


メルロは体の底から湧き上がる喜びを感じた。


こんな事はいままでになかった。


もしかしたらタコ料理は夢の中の人物の好物かもしれない。なんとなくそう考えていた。

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