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ある記憶喪失者の日常  作者: ねぶた
13章 記憶を探す
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記憶にございません。

メルロは自分の記憶がないことに改めて戸惑いを覚えていた。


夢の中の人物の話によれば、自分自身の記憶はないないとの事だったが、しかし、自分に似た誰かの記憶ならこの体にあるとのことだったのでその記憶の手がかりを探してみた。


手がかりを求めて行動するメルロは、街の酒場で一人飲んでいた。酒は彼にとって心の拠り所であり、少しでも現実の煩わしさを忘れるための手段だった。


しかし、記憶の手がかりを探しても手応えはなかった。


メルロは次第に焦りと絶望感に襲われ、やけになりつつあった。


自分が誰なのか、何をしたのか、どうしてここにいるのか――それらの問いが彼を苦しめました。


酒場の中で、彼の周りには人々が賑やかに交流している。


彼らは自分たちの人生に明確な目的やアイデンティティを持っているように見えた。


しかし、メルロにはそれがまったくわからなかった。彼はただひとり、迷い続ける存在だった。


メルロは酒を一口飲み、自分の中に眠る記憶を呼び覚まそうとしたが、何も起こらなかった。


彼は再び酒を注ぎ、自分の存在に疑問を抱きながらも、どこかで希望を捨て切れずにいた。


やがて、酒場の雑踏と酒の効果により、メルロの意識は次第にぼんやりとしていった。


彼は自分の周りの景色が歪んで見えるのに気づきました。


それはまるで彼の内なる混沌が外に現れているようだった。


混沌の中で、メルロは、自分を見失なった。


しかし、意識を失う前に、彼は何かを感じた。


それは、自分が持つべき記憶の欠片のようなもののように感じた。



翌朝、気が付くと屋敷ではないどこかで寝ていた事に気が付いた。


すると見知らぬ女性が自分に気が付き誰かに声をかけた。


「あ、起きたみたい。あなたぁ、メルロさん起きたわよぉ」


呼ばれて顔をだしたのはヨハンだった。


「よう、メルロ、昨日は大分飲んだみたいだったな」いつも通り気さくに声をかけてるヨハンの声を聴いて安心した。


「ああ、ヨハン。おはよう。昨日は酔いつぶれてしまったみたいだな。さっきの女性は…、奥さん?」とメルロはヨハンに問いかけた。


ヨハンは笑いながら答えた。「ああ、メルロは初めてだったな。彼女が心配して、君をこの部屋に連れてきてくれたんだ。彼女から聞いたぜ、同じく複数の酔っ払いを相手に大立ち回りをしたってな。」


メルロは少し戸惑い、ヨハンの言葉に耳を傾けた。「え、全然記憶にないんですが、なにやったんだろ、自分…」


ヨハンは少し驚いたような表情を浮かべながら、メルロに問いかけた。


「まあ、酔っ払っていたからなんだろう。お前、昨日のことはまったく覚えていないのか?」


メルロは頭を抱えて考え込みました。


「本当に何も覚えていない。ただ、ちょっと前に自分に似た誰かの記憶があるかもしれないって話を聞いたんだ。でも、手がかりは見つからなかったよ。」


ヨハンは興味津々の表情で聞いた。


「自分に似た誰かの記憶って、どういうことだ?」


メルロは話を始めた。


「夢の中で出てきた人物が言っていたんだ。自分自身の記憶はないけど、自分に似た誰かの記憶がこの体にあるかもしれないって。だから、その手がかりを見つけようと思っていたんだ。でも、何も見つからなかったんだ。」


ヨハンは考え込んだ後、メルロに尋ねました。


「もしかしたら、記憶は時間とともに戻ってくるのかもしれないな。あるいは、他の人に話を聞くことで何か思い出すこともあるかもしれない。」


メルロはヨハンの言葉に少し希望を感じながらも、不安な表情を浮かべた。


「でも、自分が誰なのか、何をしたのか、どうしてここにいるのか、それらの問いが頭から離れないんだ。」


ヨハンはメルロの肩を軽く叩いた。


「まあ、焦らずに時間をかけて考えよう。必ず答えが見つかるさ。それに、他の人たちとの交流も大事だ。お前がどんな人間なのか、きっと分かる日がくるだろう。」


メルロはヨハンの言葉に励まされたような表情を浮かべました。「そうだな、ありがとう。それじゃ帰るよ。奥さんによろしく。」


メルロはヨハンの家を出て、新たな一日を迎えるために街の中へと歩いて屋敷に帰った。


メルロは未知の自分と向き合いながら、記憶の手がかりを探し続ける覚悟を決めた。


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