鏡華初討伐
「世界の混合……?」
朝ご飯を食べながら、神久夜に聞いたことを鏡華に共有する。
世界の混合、並列世界の存在、これからどうすれば世界を守れるかなどなど
「神久夜曰く、向こうの世界の要素を全て消すことがこっちの世界を守ることとイコールになるらしい。かなり精神的にきつくなることはあるかもだけど……」
そこから鏡華は黙々とご飯を食べ、なにか考えてるように見えた。
10分ほどで食べ終え、洗い物を終わらせてまた席についた。
「じゃあ今日はどうする?」
「え?」
あまりに唐突に言われて、言葉が出なかった。よくありそうなセリフだが、込められた意味が違うことくらいはわかる。
それを聞き、少しだけ考える。神久夜から教えてもらった向こうの世界の要素の大部分を占めるモンスター、その元となるダンジョンの存在。
ダンジョンは言わばモンスターの生みの親のようなもの。かなり大きい存在のため、混合率が低い現状ではどこを探しても見つからないだろう。でもモンスターを途方もなく倒し続けるのは効率が悪いように思える。それに鏡華はまだモンスターを倒したことはない。取り敢えず今日はそこを済ませよう。
「今日は鏡華にもモンスターを倒してもらう。正直その刀を使えば、相当のことがないと負けることはないだろうね」
「この刀、そんなにすごいんだ」
「鏡華は自分のステータスを見たことある?」
「え、ステータス?見たことない」
モンスターを倒しに行く前に、鏡華にステータスの見方を教える。
鏡華のステータスは、天馬も初めて見る。他の人のステータスを見るのも初めてだから、すごいのかどうかわからないと思っていたが、パッと見かなり強そうだ。
名前:御上鏡華 レベル1
身体能力10 魔力5 精神力15 運10 総合力40
スキル
身体強化 剣閃 剣姫
固有スキル
拡張
うーん……鏡華のステータスはスキルは剣術特化、つまり近接戦闘がメインになるだろう。身体強化はわかるけど、【剣閃】に【剣姫】?字面だけだと【剣姫】はスキルと言うより称号のようなものに見えるが……
それと何より気になるのは固有スキルだ。できるかはわからないが、かなり汎用性の高そうな感じがするんば……
「これってすごいの?」
ステータス自体初めて見る鏡華に、質問される。スキルはすごいが、身体能力などの基本ステータスは突出している部分はない。少しだけ精神力に偏っているくらいか。これは県道をしていた影響だろうか……
「めちゃくちゃすごいとは言えないけど、弱くはないかな。あとは今後の成長に期待って感じ?」
「じゃあ頑張る!」
お互いステータスの確認を済ませたので、動きやすい服装に着替えてモンスターを倒しに出かける。
名前:桜田天馬 レベル10
身体能力40 魔力40 精神力40 運1億 総合力1億120
スキル
魔法 強化
固有スキル
運二乗 再生 魔法付与 自動結界 運気譲渡 最適化
称号
『人生を変えられる権利』の所有者 『世界を守る義務』の所有者
「ただ歩き回るの?」
家を出て鏡華と一緒に歩き回る。この世界になったばかりの頃はどこを見てもモンスターがいたから、少しでも歩いてれば向こうから襲ってくると思ったが……
「それでいいと思ったんだけど、ちょっと真面目に探そうか……」
ふたりとも探知系のスキルを持っていないから闇雲に歩いて探すしかないのだが、そこは俺の運のステータスの出番だ。さぁ現れろ!
「そこ!」
ゲギャッ
えほんとにいた、こういうのはありがたいな。普通のゴブリンだな。鑑定で見てみたがレベルは2だった。ステータスは1よりは上だったが、大して差はなかった。
「じゃあ鏡華さんや、このゴブリンを倒そうか」
「う、うん」
俺の声に合わせて、持っていた刀、【天照】を構える。
【天照】の性質上、手を触れるだけでステータスが上乗せされる。つまり精神力のステータスも増加するから、ゴブリン程度には動揺はしていない。
「えいッ!」
鏡華は剣術の天才、現代ではほとんど日の目を見ることはないと思っていた才能が花開く。
剣の技量だけでなく、体の動かし方も習得が早かった。
素早く移動する方法である縮地も使えるのだが、【天照】でステータスが上がったことにより消えたように見え、気づいたときにはゴブリンの首が飛んだ。
「あ、レベル上がった」
「え、はや」
レベル的には格上だったとはいえ、ゴブリン一匹倒したくらいで上がるとは思ってもいなかった。
俺はレベルが1上がるごとに身体能力から順に10ずつ上がっていった。鏡華はどうだろう
「”鑑定”」
名前:御上鏡華 レベル2
身体能力15 魔力10 精神力20 運15 総合力60
スキル
身体強化 剣閃 剣姫
固有スキル
拡張
えええ……総合力で言えば俺の倍上がってるじゃんなにそれ。いやでも鏡華と敵対するわけじゃないから早く強くなるのはいいことなんだけど、不平等じゃなーい?
「よし、この調子で色んなモンスターを倒しまくろう」
「おー」
そこから日が暮れるまでおよそ6時間、ぶっ通しでモンスターを倒し続けた。
ある時は群れに遭遇したり、ある時は鬼を体現したようなモンスター、オーガと出くわしたりと、少しだけ苦戦することはあったがけがをすることなく家に変えることが出来た。
「いやー疲れた。稽古でもこんなに続けてやったことないよ。天馬って結構スパルタ?」
「そんなつもりはなかったけど、強くなってこの世界を守るためにはこのくらいはしないと」
今日一日で、天馬と鏡華のレベルが結構上がった。途中で時間を忘れてしまうくらい没頭していて詳しくステータスを見てはないからどのくらい上がったかはわかないけど
「ステータスを確認してから晩ごはんを食べて休もうか、ステータスオープン」
名前:桜田天馬 レベル25
身体能力90 魔力90 精神力90 運1億 総合力1億270
スキル
魔法 強化
固有スキル
運二乗 再生 魔法付与 自動結界 運気譲渡 最適化
称号
『人生を変えられる権利』の所有者 『世界を守る義務』の所有者
おお、今日一日で倍以上もステータスを上げることが出来た。【強化】を使えば全ステータスが余裕で三桁に届く。かなり強くなった実感がある。さて鏡華は……
名前:御上鏡華 レベル15
身体強化80 魔力75 精神力85 運80 総合力320
スキル
身体強化 剣閃 剣姫
固有スキル
拡張
消えたい……何が”かなり強くなった実感がある”だ!鏡華さんに大幅に抜かされていて何も言えない……恥ずかしい。
鏡花が強くなるのはすごい嬉しいが、このままだと置いていかれそうで少し悲しくなるな