表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/18

新居へ

「それじゃあ行きましょうか」




昼食も食べ終わり、修行で掻いた汗を流したので早速用意してくれたという家へと案内してもらう。案内されてる最中気付いたのだが、自分たちがいた博物館には魔物が寄り付かないみたいだ。向かってくるには向かってくるのだが、ある程度の距離まで近づくと方向転換してどこかへ行ってしまう。俗に言うセーフティエリアなのだろうか。相羽さんたちに聞いてもなぜかはわからないらしく、そういった特性もあったのであの博物館を対策本部の拠点にしたらしい。





「ここです」

「え、ここって……」




相羽さんが案内してくれた場所は、都内で一番高いとニュースでも取り上げられていたタワマンだ。確か60階は超えてたような……




「ご覧の通り、日本でも有数のタワマンです。お二人はこのタワマンのどこに住んでもらっても大丈夫なのですが、一つだけ希望が。我々としては最上階に住んでほしいのです」

「最上階?……理由を聞いても?」

「もちろんです。理由としましては、単純に最上階からだと都内が一番広く見渡せます。なのでもしも有事が起こった際、どこで何が起こったかを確認しやすいです。お二人にはその”もしも”の際に手を貸してほしいのです」

「なるほど、別にいいですよ」

「え?」

「いや手を貸してほしいっていうのは最初からそのつもりですし、何階かっていうのは適当にするつもりだったので。(あと単純に最上階ってすごそう)」

「……。」




鏡華がすごいジト目で見てきているが、気のせいだろう。でも鏡華さんも似たような考えだったらしく、文句も言わず了承した。相羽さん曰く、最上階から2,3階下まではそれぞれの階が一つの部屋になっているらしく、広さはなんと3LDK+Sとちょっとした一軒家みたいな間取りをしているらしい。購入するとなると云億円はするとか……庶民には手が届かなすぎて唖然としてしまった



「いや待てよ?五回くらい宝くじ当てたらなんとかなるのか?」

「はっはっは!確かにそんなに当てたらここも一括で買えるでしょうね!」




今までの実績もあるから、俺的には結構本気だったのだが……普通の人にはやはり夢のまた夢なのだろう。相羽さん達はこのあとも仕事が立て込んでいるらしいので鍵だけ受け取って入口でお別れとなった。一応エレベーターは動いているらしく、一気に最上階へと登った。かなり高いのですべて登り切るのに数分かかったが、ようやく到着した。エレベーターを出て周りを見ると、少し広めできれいな廊下があり、その先に一つだけ扉があった。相羽さんから受け取った鍵を使って中へと入ると思わず「おぉ…」と声が溢れた。

最初に見えるのは少し長めの廊下で、まっすぐ先にある扉までにいくつか扉があって、それらを除くと玄関に近いところからウォークインクローゼット(靴などの収納がメインだと思われる)、次がトイレなのだが、謎に広い。2,3人くらいなら余裕ではいれるんじゃないかなというほどだ。その次が洗面所とお風呂だった。風呂?ちょっとした温泉じゃん。湯船2つあるとか銭湯じゃん。洗面台もめちゃ綺麗な三面鏡だし、鏡華の目が珍しくキラキラしている。




「天馬、私この部屋にする」



鏡華がそう宣言したのは、お風呂のすぐ隣にある部屋だった。ちなみにその部屋が廊下にある最後の部屋だった。部屋の広さは10畳でかなり広かった。ちょっとした家具ももう置いてあり、宣言と同時にベットへと飛び込んでいった。



「一応最後まで見てから決めなよ……」

「それもそうか、次行こ」




すぐに切り替えて、先頭に立って歩き出した。そしてついにリビングへと足を踏み入れた。



「「わお……」」



またも声が溢れてしまった。玄関から入ってきたのとは衝撃が違いすぎる。まず天井が高すぎる、最上階と言っていたから油断してたが、この部屋だけで二階分の高さがあった。入口から入って左手にすごい大きさのキッチンがあり、右手には壁掛けテレビや十数人は座れそうなソファ、外が丸見えの一面窓ガラス。そして窓ガラスの先にはウッドデッキのようなテラスがあった。いつかBBQとかをしてみたいな。



「天馬、噂をすれば」

「噂?え、用意されてたのか?」



鏡華の指さした方向を見ると、BBQのセットがすべて揃っていた。相羽さんが用意してくれたのあろうか……ちょっと怖いな

最後に二階?にある部屋を見てみる。と思ったけど鏡華が気に入った部屋とそんなに変わらず、10畳の綺麗でシンプルな部屋が二部屋あった。家具も一通りは揃っているので、すごくありがたい。



「……悩む」

「部屋の話?」

「そう、さすがに二人で住んでるのに上と下で分かれるのは少し寂しい」

「確かに?」




元々一人暮らしの期間が結構長めだったので、あんまり寂しいという気持ちはないのだが、確かにこんな世界になって明日も無事な保証がないとなると、心細くなるのはわかる気がする。



「じゃあ二階にする?」

「でも……洗面台が……」

「俺、洗面台と比べられてるの?」

















結局、鏡華は二階の部屋で過ごすことになった。かなり長いこと悩んでいたから少し心が締め付けられた気がした。

少しお互いの部屋で休み、日も暮れそうになってきたので謎に置いてあったBBQをして一日を終えた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ