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情報共有と人助け

バレンタイン、予定もないから無心で書き上げた……泣けるぜ

「では早速で悪いけど、天馬くんたちには東京全体をモンスターのいない安全圏にするための協力してほしい。こんな状況でお金などの報酬が価値のあるものかはわからないから、こちらで叶えられる範囲の要望を聞こう。レベルや近藤からの話を聞く限り、正確に難ありというわけでもないみたいだからある程度なら今からでも用意しよう」



ほとんどの職員が業務に戻り、相羽さんに連れられ応接室のような部屋で話の続きをする。相羽さん曰く、まずは東京の首都としての機能を取り戻したいらしい。東京には人も多いため、このままにしておくと被害が拡大していまう可能性が高いらしい。報酬としてはお金は生きていく上では困ってないし、食料も家などからたくさん持ってきてすぐに必要ということはない。となると今欲しいのは……



「ではお言葉に甘えて、東京を開放するまでで大丈夫なので家を用意してもらいたいです。こちらにはツテもなにもないので……」

「それはもっともだ。しかし時間も時間だし、今日はここで過ごしてもらっても大丈夫かな?明日の昼過ぎまでにはいい物件を紹介しよう」



そう言い、近くにいた職員の方に物件を探すように指示して、次の話へと進む。今対策本部が把握している限りの現状、天馬の知っている情報の共有。自分が神久夜から直接力をもらったことなどは伏せて、大事なことをしっかりと話した



「世界の混合……並行世界……何がなにやら全く頭が追いつかないな。今更ながらまるでファンタジーの話だな」

「だがこの情報は大きい。この戦いには終わりがあるということがわかっただけでも希望が見えたというものだろう」

「それはそうだが、プレイヤーの方々には残酷なことを強いることになるな……どうしても共存はできないのかな、天馬くん」




天馬の話を真剣な顔で聞き、理解が難しいと頭を抱えつつ、かすかに希望が見えたと喜んだ。そして相羽さんは結論決める上で大事なことに手を出した


「正直、わからないってのが本音です。俺も向こうの人々は殺したくないですが、それだと世界の混合は最後まで進んでしまう。逆に向こうの人々を殺せば、世界の混合は終わり元の世界に戻る。これはほんとに意見が割れそうなとこだと思います」

「私は……非情になってでも世界の混合は止めるべきです。向こうの人達を残したとて、恐らく文化も何もかも違う人達と共存は絶望的だと思う。せっかくモンスターなどの脅威は取り除けても、向こうの人達が脅威じゃないという確証もない。新たな争いの種を残すくらいなら、最初から……」

「近藤の意見もわかるが、実際に手を下すのは俺達じゃない。リスクを残さないためにプレイヤーの方々に殺人を強いるのはさすがに……」



これに関しての結論はまだまだ先になりそうだ。俺としても殺さない方法があるならその通りにしたいが、そんなのがあれば神久夜が教えてくれているだろう。もしもに備えて、覚悟を決めとかないといけないか……




「天馬、ちょっと外出てきていい?」

「ん?」



服の裾を引っ張られたと思ったら、話には飽きたのか外に行きたがっていた。鏡華はさっきから話してもなかったし、初めての東京みたいだから観光なんかするのもいいかも。活気があったりはしないだろうけど



「いいよ、暗くなる前には戻ってきなよ」

「うん、多分すぐ帰ってくる」



そういって静かに部屋を出ていった。でも正直俺もついていきたかった。モンスターに荒らされてるとはいえ久しぶりの東京だし、思い出に浸ったりレベル上げも少しはできただろうか

相羽さんたちの話も、こちらに回ってくる気配がないんだなー














ちょっと離れたところでモンスターの気配、天馬は気付いてないみたい。だとしたら多分気付いてるのは私だけ。特別強そうな感じはしないけど、少し数が多いからここに来られると全員を守れるか不安だ。私が行って倒してこよう



「天馬、ちょっと外出てきていい?」

「ん?いいよ、暗くなる前には戻ってきなよ」

「うん、多分すぐ帰ってくる」



今話した感じを見てもやっぱり天馬は気付いてないみたい。わかる限りではそんなに強くないのが10匹いないくらい、搦め手相手じゃなければ問題ないと思う

気配がするところへ走って向かっている途中に、モンスター以外の気配があることに気付く



「これは……あの派手髪?」




一度会ったと言うか見かけたくらいなので断定はできないが、少しレベルの高い人といえばあの人しかわからない。けどこの感じは……



「苦戦してる?」




気配の主が目視できるところまで近づき、様子をうかがう。気配で予想した通り、10匹ほどのホブゴブリンとゴブリンがいて、それと向き合うように派手髪とその仲間たちが戦っている。どっちが優勢とかはひと目ではわからないが、よく見たら派手髪たちのほうが危なそう

恐らく一番強い派手髪が前に出て戦っていてかなり接戦、対してモンスターはリーダーであろうホブゴブリンがまだ戦っていないのを見ると、そこの行動一つですぐに均衡が崩れそう。



「助けるか」




大して見知った仲でもないし、むしろ天馬を急に切りつけたから腹立たしいまであるけど、これで死なれたら寝覚めが悪い。それなら颯爽と助けて感謝されよう。レベル上げにもなって一石二鳥だ




「私天才」











「深手を負ったら遠慮なく下がれ!死んだら元も子もないぞ!」



まさかこんなことになるなんて、今日はほんとにツイてない。今後に向けてみんなを連れてレベル上げに向かったまではいいんだが、謎の光がスカイツリーの辺りに落ちたから何事か調べるためにも急いで向かった。そしたら謎の三人組がいて、思わず切りかかったがまさかなすすべもなく気絶させられてしまった。そして目が覚めて何だったのかわからないままレベル上げの続き、そして今に至る




「どうにか逃げれないものか……ん?あの人は」





ゴブリンたちの複数攻撃を防ぎながら視界の端に捉えたのは、今日俺を気絶させた女の人だった。どうしてこんなところに、という疑問は当然あるが、今大事なのはそこじゃないと理解し、プライドも捨て助かる道だと信じ縋り付く




「そこの人!頼む、助けてくれ!」












まさか声をかけられると思ってもいなかったので、少し困惑した。こんなに正直に助けを求められると、みっともないとも思えるけど、恐らくあの派手髪はリーダーだから仲間を一人も失わないために自分のプライドを捨てたのか、全然わからないけど助けを求められたら無視するほど外道でもないからね




「”御上流斬術・白百合しらゆり”」




空中に跳び無防備な頭上から斬撃を放つ。派手髪たちが数を減らせていなかったから、10匹のホブゴブリンらがいたがすべての首が同時に落ちた。恐らく派手髪たちには何が起こったかあまり理解はできないだろうが、助かったという安堵感から全員がその場に座り込んだ



「大丈夫?」

「ああ、助かった。ありがとう」



派手髪に声をかけ、無事を確認する。全員から漏なく感謝の言葉をもらい、少しだけドヤる。それより今のでレベルが1あがった。天馬みたいに相手のレベルがいくつかわかるわけじゃないけど、それなりだったのかな



「それより、なんでここに?」

「モンスターの気配がしたから倒しに来たら派手髪たちもいた」

「派手髪って、そういや自己紹介してなかったな。俺は橋本陽希、よろしく」

「御上鏡華、よろしく」




流れでお互い自己紹介も済ませ、対策本部へと諸々の報告などをしに帰る。道中モンスターが出てくることもなく、それなりに東京の景色を見ることができた。

歩きで帰ってきたので少し時間はかかったが、無事に博物館、もとい対策本部へと到着した。




「ただいま」



橋本達は今回のことを報告してくると言いどこかへ行ってしまったので、天馬がいる応接室へと向かった。



「おかえり、どうだった?」



思った通り天馬は応接室にいて、相羽さんと近藤さんはまだ話している。私も聞くだけで頭が痛くなりそうなことを、必死に考えて今後どうするか決めようとしている。改めて大人ってすごいなと思う。



「楽勝。私の技で一撃さ」

「あ、モンスターを倒しに行ってたのか。それなら一言くらいくれよ」



笑いながら注意された。多分俺も連れて行ってくれよってことなんだろう。私は天馬に追いつかないといけないからね、早いものがちなのさ。もちろん行く前にはどこかに行くと報告はするが



「それでどう?話は進んだ?」

「いやー結局延長だな。ここで決めたところで、向こうの人達がどんな人かもわからないうちから決めるのは早計だって判断だよ」




確かにここで殺すと決めても、出会った向こうの人がどうしようもない善人だったら。向こうの人達だって好きで世界の混合なんてしたわけじゃない。完全な強制イベントなのだから。

逆に殺さないと決めたとしても、相手が底なしの悪人だったら、こっちの人を殺したら、という不安も捨てきれない。もちろんどちらか一方に偏っているなんてことはないだろうが、それらを確認しないで今決めるのは早いと、私でもわかった。





「日も暮れてきましたし、レベルが高いとはいえ二人は高校生。さすがに疲れたでしょう、今日はもう休みましょうか。この部屋を使ってください、食事もここに運ばせます」




一旦話に区切りをつけ、私達の休息を優先してくれたようだ。なんてできる男相羽さん、さぞモテたことでしょう。そういえば相羽さんも近藤さんも若そうに見えるけど、その年で対策本部の本部長と副本部長なんて立場、すごい優秀なんだろうか

二人は軽く会釈をして、部屋から出ていった




「このソファで寝ろってことなんだろうか、まぁこんな世界で贅沢は言ってられないけども」

「でも高そう、意外と寝心地いいかもよ」

「いや鏡華はまだ大丈夫だろうけど、俺体はみ出るかもしれないんだけど」

「大丈夫でしょ、いつも寝る時丸まって寝るじゃん」

「まぁたしか、いやちょっと待て!なんで知ってる!鏡華と一緒に寝たことなんてあったか!?」

「ひどい……あんなに求めてきたっていうのに……忘れてるなんて」

「ほんとに俺が悪いみたいになるからやめろ!でなんで知ってるんだ!」

「そんなの、天馬が寝てる間にベッドに侵入して、起きる前に退散してたからに決まってるでしょうが」

「いやなに平然と言ってんだよ!褒められたことじゃないから今度からはやめろよ?」




なんてくだらない雑談を繰り広げながら、つかの間の休息を楽しむのだった。

とは言ったもの、橋本たちの報告でホブゴブリンらを倒したことが広まり、相羽さんたちが飛んでくるのだが、あと30分は先のことだとか




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