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帝国奇譚

幸せルートに行きたい皇帝と復讐を望む悪女

作者: 千鶴

転生ものです。初めての投稿なので色々齟齬がありますが大目に見てください。離婚された方がやり直しに奔走するのではなく、ざまあされた方が頑張ってほしいと思い書きました。よろしくお願いします

屈強な男たちに両枠から抱えられながら30段もの階段を引きずり上げられた


頂上には代々王家の処刑人を世襲している男が2人長刀を仕来り通りに両手で持っていた


処刑台が置かれた広場にはあふれんばかりの群衆が引きずり上げられた女に罵声を上げていた


1年程前に彼らはその女に皆熱狂的に賛辞を送っていたというのに


女は今や皇帝を騙した稀代の悪女だった


女はただ幸せになりたかっただけだと思った


ただ愛する人と平和に暮らしたかっただけなのに、それがなぜ・・・・・。と


皇后を国外追放に決めたのは女との愛を選んだ皇帝だった


皇后一族を投獄させるように唆したのは女を養女にしたジルブレッド伯爵だった


何故私がこんな事になっているのか、廃后された皇后の復讐の標的にされただけなのに


このままでは死にきれない


私の死を嘲笑う者達を許しておけない


曇天に振り上げられた長刀によって命の灯が消える瞬間まで私を陥れた者達への呪詛を


必ず蘇って復讐を











王都に初雪が舞ったその日稀代の悪女・皇帝を謀った女ゾーイ・グラード・ジルブレッド伯爵令嬢は国中の怨嗟を浴びせられながら20年の生涯を終えた



















「・・・・・神聖なる神の代理人である大神官の御前で、皇后ソマリエとの婚姻破棄を奏上し離婚を申請いたします」


大神官における離婚裁判の翌朝流れ込んでくる膨大な記憶を、夢を媒介にして思い出した


ああ、またここから始まったのか


底のない荒れた海に突き落とされ藻掻き苦しんだかのような疲労感で体中から空気が無くなるかと思われるほどため息をつき両の手で顔を覆った


まだ侍従が起こしに来ていないので起床時間までの間にひっくり返したおもちゃ箱のような記憶を整理できるだろう


始めはこの後ソマリエは隣国の皇太子と再婚しニ男三女を儲け幸せに暮らした


対して愛妾ゾーイと再婚した私は、ゾーイの度重なる不正とエスカレートしていく反対派への粛清にとうとう庇いきれなくなり彼女は稀代の悪女として処刑された


何が起こったのかは未だに分からないがゾーイの処刑を見届けた翌日目が覚めるとソマリエとの離婚裁判の翌日に戻っていた


まだ王都に滞在していた大神官を訪れ離婚を撤回し安心したところでゾーイが皇后を暗殺してしまった


3度目は離婚ではなく皇后が愛妾の暗殺を実行しようとしていたが事前に暴かれ裁判にかけられた


皇族から罪人が出た場合に使用される「嘆きの塔」へ幽閉された後だったので塔に向かえばすでに薬死していた


悪女であるゾーイはどの生でも公開処刑となっていたが、よく考えればそこに至る経緯は違う事が多かったために彼女もやり直しの記憶があると想像できた


今生では未だソマリエは健在だった


しかし選択を誤ればまたゾーイによって害されてしまうだろう


しかしこの時点で安易にゾーイを処罰も出来ない


とすれば、まだ綻びが表面化していない状態で一度ゾーイを説得しなければならないだろう


彼女の恨みを晴らし、彼女への恨みも晴らし


自分自身の罪を認めてこの先を生きていくために


決意した皇帝は侍従を呼び入れ支度を急がせた









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