2話
毎日ちょこちょこ頑張ります!
起きてから聖会で過ごすことはや数日
1度、頭を整理しよう
まず私の名前はリリー
前世の名前がゆりだったから、そんなに違和感がない。そうよ、純日本人よ。
突然、前世の記憶を思い出した以外はどこにでも居る普通の女の子。
身分だって普通よ?
両親と花屋を営みながら、市内で生活するごくごく平凡な平民なのだから
見た目は、この国では珍しくもないブロンドを緩く波打たせ、エメラルドグリーンを光に透かしたような色の瞳はおっとりとしたタレ目で縁取られている、可愛いとは言っても美少女という程ではない、ごくごく普通の女の子なのだ。
自分で言うのもなんたけど、乙女ゲームのヒロインなら美少女にしてくれてもよかったんじゃないのかしら?
そう、先程から何度も言っているようにここは乙女ゲームの世界
リンドウィル大帝国という中世ヨーロッパのような出で立ちをした架空の国で、愛しの力を持つ聖女としてヒロインが認められ、貴族学院への入学を経て、あれよこれよとイケメンと恋に落ちていく
『トキメキっ!花の国の貴族達』
という乙女ゲームの中の世界
そして、前世の私はどハマり……していたわけでもない。
オタクな友人に勧められてやったものの、王道の王子様を攻略して以降、特に王子にも他の攻略対象者にもハマりもしなかったので、辞めてしまってやんわりとした記憶しかない。
私がどハマりしたのはその後、続編で出た異国の留学生なのだから
だから聖堂でのやり取りでようやく前世の記憶を取り戻したのかな?
あぁ、あったよね〜〜!1個前のゲームで〜!
程度の認識を持って
まぁ、そのあとはあれよこれよという間に聖女にまつりあげられて貴族学院に入学することになって…話は冒頭に戻るの
「愛しの聖女リリーよ、どうか私と王宮の庭園にでも出かけてくれないかい?」
この国の王族直系の黒髪・黒目は前世日本人として慣れ親しんだ色ではあるがここまでの美形は見たことがない。
しかし、王道イケメンに私はにっこりと笑って返す。
「最近は、虫の幼虫を採集することが生き甲斐なので庭園へのお誘い、嬉しく思いますわ」
私の予想と大きく外れ、イベリシス殿下が微笑みを深めながら、私の手を取る。
「大役を授かることが出来、光栄です。」
やめてくれ……日々、花を愛でていると返した時のような反応をするのは……
死んだ目をしながら、出された手をスルーして庭園への道を進み始める。
なぜこんなに回りくどく好感度を下げようとしているかと言うと、初日に試みたのだ。
対面した直後に、彼が自己紹介を終えたタイミングで、
「殿下とは恋愛に発展することはございません」
と丁寧に習ったばかりの貴族のカーテーシをしながら……
一瞬、間があったあと奇跡が起きた。
どういうことか先程と同様の自己紹介を目の前の王子がするではないか
何度試みても結果は同じで、直接的に拒絶をすると、バグが起こり発言や行動をする前に巻き戻ることが分かったのだった。
そもそもなんでフラグを回避しているかって?
そうね。攻略対象者がもれなく全員イケメンなら、パラダイスよね。
でも私、続編の隣国の王子様推しだったのよ?
せっかく乙女ゲームの世界に転生したのなら、推しと結婚したい!!
それを叶えるべく、私は地道に誰とのルートも選択しないで且つ直接的な拒絶を避けるために日々好感度を下げる発言と行動をしている。
ゲーム感覚で攻略者と婚約をしたり、ハーレムを作るのは危険すぎる……
1人目の攻略対象者