第2話
その掛け声と呼応するように地面を踏み込むと、2人とも一瞬でバッガスの左右の懐へ潜り込む。
「もらった!!」
そう2人とも思った。
「悪くない動きだが...初手からチェックメイトはできんぞ」
そういうとバッガスは気迫を込めて放った。
「ハァッッ!!!」
するとふたりとも、空間内の壁へと飛ばされた。
「グアッ!!」
「痛っててて、なんちゅう気迫だよあのおっさん、もう歳も50は超えてんだろ」
そうミノラスがいうと、バッガスは手を組み、仁王立ちで高笑いをしている。
「一応これでも現役の時は、眠れる獅子王として大陸でなをあげていたんじゃぞぉ?」
「ははは、大分凄かったわけね」
ステルは外面ではそう言っても内心ではかなり緊張しているようだ。
だがミノラスは
「よっしゃ!燃えてきたぜ!」
などと言い、目を輝かせている。
「いくぞ!ステル!!」
「あぁ」
2人はまた構えをとる。
「よっしゃ、根性見せろや若造!」
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戦いを初めてから1時間ほどたっただろうか空間内の熱気もかなり篭っている。
「はぁはぁはぁ。」
「なんだあのじーさん、息切れひとつもしてやがらねぇ」
バッガスは仁王立ちをしている。
「にしてもあっちぇいな、この部屋」
そう言いバッガスが指をパチンと鳴らすと、異世界空間の部屋が、王室へと戻った。
「にしてもお前さんたち...」
ミノラスとステルは落ち込んでいた。
「ほんと、いい腕してるなぁ!」
「えっ?」
2人はとても驚いていた。
「え、だって俺たち、ボコられて...」
「お前、わしを舐めとんのか??
わしだって昔は英雄クラスとして名を上げていたといっただろう、お前さんたちがボコられんのもとうぜんだ!」
と言いバッガスは高笑いをする。
「まぁ、そんなことはええ、お前さんたちは明日からミノラスは中将、ステルは少将として部隊に入り、南北遠征に参加してくれ。」
そう告げ、2人に部隊寮の鍵を渡して寮の場所を教えて、シャワーを浴びに行った。
「なんか、破天荒な人だな」
ステルがそう言い、ミノラスと笑い合うと、2人は寮へと向かった。
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誰もいない王室には、現役時代のバッガスと共に写る、1人の王と、1人の軍人の写真があるだけだった。