これから
【王城】
「.......行きましたね」
そう言ってタチウスが部屋の静寂を破る。
団長達はその言葉により我を取り戻した。
「陛下!これからどうなさるつもりですか」
「私は反対です!やつは信用できません!」
「あの力が我が国の力となるんだぞ!これで帝国のやつらに勝てるやもしれません!」
団長達が口々に発言する中、ついに王が口を開いた。
「今は、やつの要求をのんだほうがよい。仮に敵対してみろ、この国はたった一人のために最低でも2つの兵団が殲滅されるじゃろう。これは王国にとって大損害じゃ。」
「私もそう思います。ですが、監視はつけるべきではないでしょうか?」
一人の団長、セルディンがそう言うと、今度はタチウスが首を横に振りながら応えた。
「それは、やめたほうがいいでしょうね。彼...シヴァと言いましたか、シヴァの強さだと監視は絶対にバレるでしょう。」
「とりあえず、しばらくは様子見をする。暗部による魔族の調査はこのまま継続し、他は撤退せよ。」
「「「はっ」」」
団長達が部屋から出ると、部屋に残っているのはタチウス・ラーグニアン、メラトニア・クラルト王、そして王女シルヴィア・クラルト、王妃メルヒ・クラルトだけとなった。
「大丈夫か...?メルヒ、シルヴィア。」
「大丈夫よ...ありがとう、メラトニア...」
「お父様...これからどうなるのでしょう?」
メルヒが青ざめた顔で見上げながら言う。
「これが、吉と出ればよいがな...」
クラルト王は小さな声で呟いたが、この発言が妙に響いたように感じた。
この日の出来事は王国の歴史の転換点となり、後に王国歴史書にシヴァという人物が初めて記された日となった。
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【アレス】
王城から帰還した俺は宿の一室で一息ついた。
「ふぅ...一先ずこれでいいかな。我ながら面倒くさいことしたな...冒険者とシヴァの二重生活か」
ベッドに横になり、灯りを消す。
(俺がいたと思われる1000年前にもクラルト王国は存在した。だとするとここには当時のことが記された書物があるかもしれない。なにか助けを求められることがあれば、見せてもらうことを要求する。等価交換ってやつさ、釣り合ってるか分からないけど。)
瞼が重くなり、視界が狭まっていく。
(王国が俺に何も求めなかったらどうしよ...まぁ、その時のことはその時に考えるか)
そして俺の瞼は完全に閉じた。
やわらかな朝日が部屋を照らし、鳥の囀りが部屋の静寂を破り、俺は目を覚した。
「ん~~!いい朝だ!よし!行くぞ!薬草採集!」
階下に下り、用意された朝ご飯を食べる
「美味い!美味いです、リネルさん」
「ふふ、良かったです。アレスさんのために心を込めて作ったんですよ?」
この茶髪のポニーテールの女性は宿屋の看板娘で、リネルという。
「ははは、嬉しいです」
「おいおい、うちの娘に手を出すんじゃねえぞ?この色男」
そういって笑いながらやってきた男はリネルの父、サーマルでこの宿の主である。
「いえいえ、リネルさんは俺には勿体無いですよ。手を出す勇気もありませんよ」
「おう!その通りだ!」
「ちょっと、パパ!ごめんなさい、アレスさん。パパが失礼を...」
「失礼だなんて思ってないですよ。」
そういったところで俺は朝食を食べ終わった。
「それじゃ、行ってきます!ご飯美味しかったです!」
「はい、行ってらっしゃい」
「気をつけてな!」
宿を出た俺は冒険者ギルドに入った。
どうやらブライ達はいないようだな...
「おはようございます、サーシャさん。何か仕事はありますか?」
「あっ、アレスさん!はい、ありますよ!どうぞ」
「うん、じゃあ、これにします」
「分かりました。気を付けて行ってらっしゃい」
「行ってきます」
森に入り、薬草を探す。
「おっ、あったあった。」
目的のものを見つけ、採集している時、俺はこちらの様子をうかがっている者の気配を感じた。
「誰だ?」
俺がそう言うと茂みの向こうから、数匹のウルフが姿を表した。
なんだ、ウルフか。こいつらは、どれくらいで売れるかな。
出来るだけ傷はつけないほうがいいよな。
「グルルルゥ」
おっ、くるか?俺の攻撃は決まったぞ
「グルァ!!!」
ウルフが地面を蹴り、俺に噛み付いた.....だが俺に届くことはなかった。
ウルフは力が抜けたように俺の前に倒れていた。
どうだ!これならほとんど傷はついてないだろう!
見るとウルフ達の眉間の辺りに焦げた穴が見えた。
俺がしたのは、熱を凝縮したものを光線のように放出しただけだ。
これで余計な傷はつかないし、そこから菌が繁殖するということも無い。
これは、普通のウルフよりも高く売れるんじゃないのか?
げへへへ、楽しみだぜ
俺はウルフ達をアイテムボックスに収納し、帰還した。
本当は昨日投稿するつもりだったんだけどね




