アレス
よろしくお願いします!
国は燃え、城は崩壊し、人々は阿鼻叫喚の地獄絵図と化していた。その様子を上空から見下ろしながら俺は膨大な魔力を練っていく。
「愚か者共よ、自らの過ちを悔い改めよ。『ダークプレデター』」
俺の眼下には闇が広がり、それは街全体を覆う巨大なものとなった。その後、全ての生命がこの世から駆逐されたであろう地を一瞥し、俺は空を駆けていった。
その日、歴史から1つの大国が消滅した。
人々はそれを神の怒りによるものと記したが、真実を知るものは誰もいない、国を滅ぼした張本人である俺ーアレスーを除いては
そして、長い年月が流れた。
「ふああぁ...体がダルい、腹減った...何か食べないと...。あれ?ここは...あぁ、異空間か。ならとりあえず外に出ないと」
『あの出来事』の後、力を使い果たした俺はしばらくの休養のため自分で作った異空間に移動していた。
さて、俺はこれから外に出るのだが腹が減りすぎて動けないのだ。くっ、こんなことなら異空間に食料を貯めておくんだった...
ふむ、どうしようか。このまま外に出ても恐らく魔物に襲われるだろう、しかし、ここでなにもしなければ餓死してしまう。
ならば、ここは多少危険でも良い人に拾われることに賭けるか。よし、そうしよう。
そして、俺は異空間の外に出たのだが...
「まじか...近くに町どころか人すらいないとは...」
いや、人がいたら急に何もないところから出てきた俺に驚くかもしれないし、これはこれで良かったのか?
よく見るとここは他の草が生えてるとこと比べると多少整備されている様子だ。ここで待っていると、もしかしたら誰か通るかもしれないな。ここでしばらく待つしかないか。
そしてしばらくすると、馬の蹄の音が聞こえてきた。
「おい!大丈夫か!何があった!?」
見ると、そこには金髪碧眼の美人とその後ろには複数の武装した人達がいた。
「し..食料を...どうか...頼む..」
「誰かこの男を馬車に乗せろ!王都に連れて行く」
「「はっ!」」
そして俺は馬車に乗せられ王都に向かうことになった。
良かった、魔物より先に良い人そうな人に会えて。しかもこれから王都に連れてってもらえるらしい。
それにしてもこの人たちは一体何者だろう。統一された防具に統率のとれた動きからすると、ひょっとして兵隊だろうか。大丈夫だよな?怪しい人物像だからといって拘束とかされたりしないよな?
...と、とにかく今は飯が食えるかもしれないことを喜ぼうじゃないか。
しばらくすると周りが喧騒で包まれ始めた。
恐らく王都に着いたのだろう。
あ、馬車が止まった。
「おい、歩けるか...って無理そうだな。ほら、俺に掴まれ」
「あ...あぁ、すまない」
男に連れられ建物の中に入ると、俺は椅子に座らされた。
少しの間待っていると香ばしい香りのする食べ物が俺の前に置かれた。肉や魚のような固形物ではないのが少々残念だが、長い間食事をしてなかったんだ、仕方ないだろう。
「ん、うまい...!」
マジでうまい、食べる手が止まらないぞ
「ふふ、気に入ってくれたようで良かった」
そう言って俺の前の席に座ったのは、あの金髪碧眼の美人な女性だった。
「私はクラルト王国第二兵団団長エルザ・ゲーリックだ。安心してくれ、もう大丈夫だ。君の名前を教えてくれないか?」
「アレスです」
「そうか、ではアレス殿。君は何故あんなところにいたのだ?魔物や盗賊に襲われたのなら冒険者ギルドや駐屯兵にも報告しなければならないのだ。」
ほぉ、冒険者ギルドとな。今の俺は無一文に等しいし、冒険者として金を稼ぐのも悪くないな。今後の方針は決まったな。
「実は大陸を旅している途中、魔物の群れと遭遇しまして...そのため荷物を全て捨て、必死に逃げていたのです。」
「そうか...それは災難だったな。では身分証も持ってないのか?」
「すいません...」
「いや、謝ることはないさ。それならどこかで身分証を発行しないといけないな」
「あ、それならこの後冒険者ギルドに行こうと思ってます」
「それなら良いが...大丈夫なのか?まあ、冒険者は薬草採集や雑用など簡単な仕事もあるからそれをすれば問題はないが...」
と、エルザは俺を見ながらそう言う。いや、確かにパッと見弱そうに見えるかもしれないがそれなりに戦えるぞ?
そう伝えると
「ふふ、そうか、まあ頑張ってくれ」
そう言って俺の肩をポンと叩いた。あ、絶対信じてないな。
「ところで何の魔物に襲われたか分かるか?」
「ウインドウルフです」
エルザは一瞬目を見開くと、すぐに笑みを浮かべ
「ほう、よく逃げ切れたな。それなら冒険者としてもやっていけるかもしれないな!」
まぁ、確かにウインドウルフは他の魔物に比べると疾いが、ある程度の実力があれば逃げきることも可能だろう。俺は多分、運で逃げ切れたんだと思われているんだろうな。まぁ、実際遭遇すらしてないんだけど。
「お世話になりました」
そして、嘘をついてごめんなさい!
さてと、それじゃ冒険者ギルドに行くか




