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第8話 まともに同行できません

『魔法無効化』……この世のあらゆる魔法の効果を打ち消すスキル。たとえそれがどんなに強力な魔法であったとしても無効化する。魔法絶対防御とか呼ばれたりする。魔法戦においては『もうあいつ一人でいいんじゃないかな』状況を作り出す一方、補助魔法であろうが回復魔法であろうが無かったことにするので考えものだったりする。このスキルのせいでパーティー内で疎外感を感じる者も多いとか。



「そ、それでは参りましょうか、勇者様」


 そう言うクレアの背中には大量の荷物が背負われている。傍目から見ると、いたいけな美少女に大量の荷物を持たせる鬼畜な勇者に見える。罪悪感が無いわけでもないが大丈夫。クレア、君は男の子だから。頑張れ。


「さて次はどこに行くんだったっけ?」

「この町から北西にある試練の洞窟に参ります」


 即座にクレアが答えてくれる。ああ、やっぱり仲間はいいな。一緒に居れば食事にも困らないだろうし、何というか冒険に安心感がある。


「試練の洞窟では過去に女神に選ばれた勇者の足跡を知ることができるとか」


 ほう。あの女神に選ばれた勇者か。さぞ頑強な精神耐性をお持ちの方々だったに違いない。断言できる。歴史は繰り返される、と。


「過去の勇者たちの足跡をたどれば魔王の姿も見えてくるって訳か」

「そう思います」


 確かにその辺の魔物を蹴散らしているだけでは埒が明かないとは思っていた。一歩一歩進んでいくしかないな。


「さて試練の洞窟へは――」


 マップを広げてみる。城があるこの町から北西へ、ざっと150kmほどあるようだ。結構あるな。何故町の近くに設置しないんだ。人が住んでいる町の近くに設置しないから大事な場所が魔物の巣窟になるんと違いますか?


「2~3日かかるぞ、これ」

「ご安心ください、勇者様!」


 クレアはエヘンと胸を張る。張る胸は持っていないが。尻尾はパタパタしている。


「私は移動魔法を持ってますから一瞬で行けますよ!」


 そう言うとクレアは俺の手を握ってくる。ちょっとドキッとしてしまう自分が悲しい。


「さあ、参りましょう勇者様!」

「あ、ちょっと――」


 制止する間もなく魔法を発動するクレア。まぶしい光に包まれた後、一条の光となって飛んで行ってしまった。…………彼女だけ。


「行っちゃった……」


 大事な食料が行ってしまった。美味しいご飯が行ってしまった。


「仲間とは一体……」


 俺は再びサバイバルな予感を予期しつつ、トボトボと町の外へ歩き始めた。




――――――――――――――――

女神への質問コーナー

Q 仲間と思ったように足並みが揃いません。どうしたらいいですか?


A 冒険をする上で足並みを揃えるというのはとても大切だと思います。同じ経験をした数だけ思い出も深まりますし仲も良くなるでしょう。魔法だけではなく道具に頼ってみてもいいかもしれません。自分のことを相手に伝えて理解してもらうのも有効です。とにかく根気で頑張りましょう。女神もあなたのことをもっとよく知りたいと思っています。もっと踏み込んだ質問をしてもいいんですよ? 女神はあなたが遠慮してるんじゃないかと心配になってしまいます。

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