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第2話 まともに熟睡できません

『知覚特化』……知覚が著しく鋭くなり敵の接近に気が付いて奇襲を未然に防いだり、ダンジョンで違和感を察知してトラップを回避したり隠し扉を見つけたりできるようになる。盗賊が持っていると神スキルと言われる。



「もういい! 諦めた!」


 ひとしきり地面を這った後、俺はそう結論付けた。一日くらい食わなくても人は死なない。そんなことより人としての尊厳が傷ついてしまう。

 日はすっかり沈んでしまっている。しかし村まではまだしばらくある。俺は意を決して野宿することにした。


「野宿なんて子供の頃のキャンプ以来だな」


 本当は草や藁を敷き詰めて簡易的なベッドを作りたかったが、相変わらず草は引っこ抜くと粉になるので諦めた。とりあえず邪魔になりそうな石を排除した後できたスペースにドカッと横になった。魔物が襲ってくる危険もあるので装備はそのまま身に着ける。ちょっと寝辛いが仕方がない。命を落とすよりマシであろう。スキル『知覚特化』もあるし敵が近づいてきたら分かるだろう。


「これでやっていけるかな、俺」


 不安が胸をよぎる。戦闘ではない。生活のことである。正直女神はやりすぎである。確かに力は無くては困るが、物には限度というものがある。このまま一人で旅をするのはきつい。


「まあ、また明日考えよう」


 俺は目を瞑った。異世界における野宿。緊張がなくはない。耳を澄ませば色々な音が聞こえてくる。


 風でざわめく木々の音。

 近くを流れる川のせせらぎ。

 草むらで鳴く虫の声。

 魔物と思しきものの遠吠え。

 多分一番近くにあるであろう村の生活音。

 村人たちの話し声。

 「実は以前から好きでした」

 「ああ! 私もです」

 抱き合う二人。

 衣服を脱ぐ音。

 そして擦れ合う体。

 「今夜は寝かせないよ」

 そのまま二人はクライマックスに。


「って、聞こえ過ぎぃぃーーーーーっ!! うるせえーーーーーっ!!」


 起きて動いている時は気づかなかったけど、いくらなんでも音を拾い過ぎだ! 


「くそ! なんでパッシブスキルがOFFにできないんだ!?」


 女神の要らん配慮が恨めしい。いっそ自分に睡眠魔法をかけたいが『魔法無効化』のせいで効かない。そもそもステータス異常にならない。


「このままじゃ『不眠』のステータス異常になるわ!」


 結局、その夜は一睡もできなかった。



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女神への質問コーナー


Q なぜパッシブスキルはOFFにできないんですか?


A 人間って、うっかりすることありますよね。あの時パッシブスキルをONにし忘れたせいで手痛い目にあった。そんなことになったら大変ですよね。なので常時ONにしておけば危険を回避できると思いました。異世界の夜、一人できちんと眠れてますか? 一人で寂しくないですか? 女神はとっても心配です。

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