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第18話 まともに観戦できません

『全剣技』……あらゆる剣技が使えるスキル。それまで聖剣だとか闇剣だとかを一筋に頑張ってきた人達の努力を一瞬で灰燼に帰す、ふざけんなスキル。これがあれば事足りる。なので、それまで頑張ってきた人達は残念ながら人の夢と書いて儚い存在に成り果てる。

 それにしても全剣技とは随分と曖昧な名称である。文字通り全ての剣技を網羅してしまう時点でその鬼畜ぶりをうかがい知ることができるが、これを戦場で用いると鬼ではなく神と呼ばれる。もちろん、相手にとっては死神である。このスキルを持っている者は『剣聖』と称されることが多いが、とりあえず『剣聖』と言っておけば何でも許されると思ったら大間違いである。



 隣国の首都にたどり着いた俺たちは、街の中を見て回っていた。


「流石に武術に力を入れているだけあるなぁ」


 街の中は傭兵や武術者が多い。店も武器屋や道場が多く、いかにも武の街といった印象を受ける。


「街の真ん中には闘技場があって、腕が競えるみたいですよ?」


 クレアは楽しそうに言った。意外と嫌いじゃないらしい。そんな華奢な体をしている癖に……。


「折角だし、覗いてみるか」


 俺たちは闘技場へと向かった。

 闘技場は結構な広さであった。ドームの真ん中が丸くくり抜かれている感じで、客席はすり鉢状になっている。何万人か収容できそうである。


「こちらは闘技場です。参加致しますか?」


 大変お美しい受付嬢が尋ねてくる。

 いえ、俺が参加したら血の雨が降ります。


「観戦でお願いします」


 受付嬢からパンフレットをもらった俺たちは観客席に移動する。


「こりゃ、すごい熱気だねえ」


 外からでも歓声は聞こえたが、中に入ると怒号のようである。こういう闘技場では公式に賭けも行われている。というか――


「いつの間に二人とも金を賭けたんじゃ!」


 クレアとメイシャの手には配当の書かれた賭け札が握られていた。


「まあまあ、折角ですから」

「アンタが出たら全財産賭けるんだけどな!」


 悪びれる様子もない。まあ、いいけど。

 あと、俺が出たら配当は一倍どころかマイナスになるからな。慰謝料とかで。


「ええと? 今は誰が戦ってるんだ?」


 俺はクレアの持つパンフレットを覗きこむ。


 『御免流剣術ロウガ』VS『獣態剣技バルード』と書かれている。


 俺は目を闘技場の中央にやる。大刀をぶん回して戦っているのがロウガ、それに対して四肢を地面につけ口に剣を咥えて戦っているのがバルードか。へえ、変わった戦い方だな。


「凄い戦いですね! 参考になりますか?」

「そうだなあ……」


 俺はふと自分のステータス画面を開き『全剣技』のスキルを選択した。


「あっ! あるわ」


 スキルの中には『御免流剣術』や『獣態剣技』も含まれていた。『全剣技』の名前に偽りなしだな。


 俺は更にパンフレットに目を通した。


 『裸体流剣技』やら『色仕掛剣術』やら『厨二病剣』やら書かれている。


 どうしよう。

 見たいような……。

 恥ずかしくて見たくないような……。

 それを使える自分が恥ずかしいような……。

 そんな複雑な気持ちになった。



 結局観戦したが、途中ヒートアップしたクレアに二,三発殴られた。



―――――――――――――――――――――

女神への質問コーナー

Q 闘技場は色々な意味でハラハラしますね。女神さまも観戦したりするんですか?


A 私はどちらかというと参戦する方ですね。いえ、平和的にですよ? 闘技場は人材確保やガス抜きの面があるので必要ではあります。でも、女神の力を悪用してはダメですよ?

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