表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラノベっぽい恋愛リレー小説  作者: 黒鏡スキ→髭虎→柴野まい→小鳥遊賢斗→∞
3/7

楽しくて、苦い(作:柴野まい)

 朝、俺は暴力女(貧乳)と一緒に映画を観るために、郊外のショッピングモールに行こうとしていた。

「なんでいるんだ」

「それはこっちのセリフだ」

 ……バス停前で遭遇したよ!

 うん、そりゃそーだよな! あのモールに行くバスこれしかないからな!

「とんだ災難だよ」

 そう言いながら蹴られた。

 俺の大事な部分を。

「ぐぉっふぅ!?」

 スズメバチに刺された時の100倍痛かったぞ!

 くそっ!

「貧乳のくせに」

「あ? 今なんつった?」

 俺の頭にエイリアン掴みをかましてきた。

 痛い痛い! いろんな意味で終わるわ!

「堪忍してつかぁさい」

「うん。私は寛大だからね。許してあげようじゃないか。もう一度言ったら……どうなるか、分かっているよね?」

 ヒエッ。

 背後になんかやばい感じのオーラが見える。

 腕組みして仁王立ちしてるから余計に怖い。

 貧乳だから迫力はないけど。

「わ、わかった」

「よろしい、では行くぞ!」

 何事もなかったかのように笑顔になってる。

 変わり身の早さすげー。

 そしてこえー。

 おっぱいに癒されたい……。

 バス待ちの列には、そりゃあおっぱいはあるけどさ。

 はー。あの成長期おっぱいが恋しい。

 会いたいなー。

 って、行くぞってなんだ!

 なんでお前走ってんの!?

「バスは!?」

「男だろうが! 走れ!」

 ふざけんなぁぁぁ!!

 流石にこいつを1人で行かせるのは、俺の良心が痛む。

 ぐちぐち言いながらもついてきた俺偉いぞ、偉い。

「つ、疲れた……」

「正直ごめんな。本当について来るとは思わなかった」

 泣いていいな、俺。

 心の中でシクシク泣いていると、隣にいた体力おばけがペットボトルを差し出してきた。

「おお、ありがとな」

 お礼を言いながら、ペットボトルを受け取る。

 俺の苦手なブラックコーヒーだった。

 嫌がらせだ。

「俺がブラックコーヒー苦手なの知ってるだろ!?」

「もちろん知っているとも。せっかくの私の好意を無下にするつもりかい?」

 ぬぬぬ。そう言われると申し訳なくなってくる。

「ありがとな」

 とりあえずもらっとく。

「さてと。映画の座席はとってあるんだよな?」

「もちのろん! 特等席だよ!」

 それは楽しみだ。

 その後なんやかんやあったが、なんとか俺たちは映画館に入れた。

 面白くて熱中してた。

 ううむ、ここまで良い映画だったのか。

 タイトルから感じるギャグ感は打ち消されず、しかし感動させようとしてくる映画製作者に敬意を払うわ。

 1番の名シーンは、主人公が転生した直後に戦った敵の言葉だ。

「チクビのないおっぱいなんてただの肌色だ!」

 俺にも衝撃が走ったぜ……。

 その後、チクビ最高!とチクビに取り憑かれた主人公が、自分に魔改造を施したんだ。

 そして完成したのが、胸部装着型対世界破壊兵器チクビームだったんだ。

 なんの因果か、適当に設定したはずのチクビームは、ガチの世界破壊兵器への特攻をもっていた。

 なんやかんや戦いに巻き込まれて、そして世界を救うわけだ。

 その途中で最初に戦った敵は、息をひきとるんだ。

 チクビの良さについて語り合う親友になれたのに。

 泣いたわ。

 そして世界を救った後、チクビの良さを教えてくれた敵の墓に行って、酒をかけ、お礼を述べて颯爽と去って行ったシーンは、涙なしには観られなかったぜ。

 隣にいたペチャパイも泣いていた。

 上映が終わって、俺たちは映画の感想を言いあいながら、劇場を後にする。

「泣けたねえ」

「ああ、来てよかったよ」

 そして、隣人お待ちかね、買い物タイム突入である。

 しばらくそのまま買い物してた。

 前を向くと、そこには、幼馴染がいた。ロリ巨乳最高!

 こっちを見てはいたけど、声もかけずにスルーされた。

 ガーン。

 その後、いろいろ買ってた。ピアスイヤリングネックレス。似合わねー、と笑っていたら、蹴られた。痛い。ペチャパイに映えてていいと思うのもあった。

 そして、別れの時。……カッコ良く言って見たかっただけだ。月曜日に会うし。

「今日は楽しかったよ」

「ああ。俺も楽しかった」

「また一緒に来てくれるかい?」

「ああ、お前のペチャパイも悪くないなと思ったしな」

オシャレしているこいつに、不覚にもドキッとした。

「……じゃあさ。私のことも意識してくれたってことだよね」

「え?」

「私は君を特別だと思っている。友達としてではなく、ね」

 え……?

 呆然としてる俺の前には、いつもばか騒ぎしてるペチャパイ。告白、ってことだよな。え、え、でも。……俺には。

「すまない。俺には好きな奴がいる」

「……それは、幼馴染さんのこと?」

 そう言って、向こう側を指差す。

 そこには、幼馴染がいた。さっきと同じように。

 !?

 答えられなかった。

「わかってた、わかってた!」

 そう言って、顔を覆って走り去っていく。

 そして、幼馴染が後を追いかける。

 なんでお前が行くんだ。

 呆然としていると、メールに着信がきた。

 追いかけてくんな、という短い文面。

 俺は、追いかけなかった。

 その後に飲んだブラックコーヒーは、まずかった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ