第六話
固有スキル『学問』
始祖にして起源。俺が、俺から始めたもの。
俺以外の人間には発現することはない。
『学問』
己を高め、謎を解き、知を深める。
自身の思考に基づいて効果を発揮。
専門分野に深めることができる。
ヤワディを展開し、無数の刃が俺を中心にとぐろを巻く。
鬼たちの攻撃はもう、俺には届かない。
この世界はオルタナティブなのだと考えたとき、選択肢の内容は
【勝利、敗北】
この二つのみだろう。
むろん勝利以外を手に入れるつもりはない。
「さて、お前たちには敗北をプレゼントしてやろう。」
刃が一瞬のうちに広がり、あらゆるものを切り刻む。
学問で、俺は今回武術を深めた。これで今後からヤワディを簡単に操作できるようになる。一定期間復習しないと、忘れてしまうから注意が必要なのは欠点だ。そのせいで生前の記憶通りに体が動いてくれない。
まったく、ギャップとは酷く印象に残るものだな。
「て、てめえ、よくもぉ!」
まさか二人とも息があるとはな。
「なめんじゃねえ!」
刃を一度戻し、今度は龍のように。
二人の周りを何十にも囲い込み、そのまま天に向かうように。
「画竜点睛。」
一気に蛇腹剣の巻き付きが強くなり、縮小していく。、
刃がすさまじい勢いで、おびただしい回数で鬼を切り裂く。
金棒すらすでに屑のよう。
すべてが無駄。
切り裂く音とその無残な結果は、さながら龍が通って行った後のよう。
静かになった。
朝。目覚まし時計で起きるはずの朝に、あのけたたましい音がない。
替わりに俺のベッドの上にローゼンがいた。
俺に馬乗りになっていた。
「おはようございます。」
「・・ああ、おはよう。」
耳元で。
「私のファーストキス、責任取ってくださいね?」
「は?」
しまった、俺が寝ている間に既成事実を作りに来たか。そして見事に成功した、と。してやられたな。
しかし、ローゼンの言っている意味は違った。
「では頂きます♪」
「んむぅっ!?」
俺に宣言していただけだったんだ。そして、俺が否定する前にキスしてしまえば俺はその宣言を受け取ったことになると。
ローゼンは用意周到だった。俺の手首足首は寝ている間にベッドの柱に固定され、俺の顔を両の手で包んでから、しっとりとねっとりとしてきた。
そりゃあ驚いた。めっちゃ舌を絡めてくるし、貪るような勢いだし、長いし。目もずっと俺の目を見つめたままだし。
大体20秒ほど。一度口と口が離れるも、唾液の橋ができている。
「ん、」
ベッドから降りようとしたローゼンを俺は、既に拘束を外した両手で逃がさないよう後ろに手をまわし、ゆっくりとローゼンの口の中を凌辱する。
たまらず口を放そうとしても俺は強引にローゼンを抱きしめた。
10分ほどそうしていると、ローゼンはすごいことになっていた。とろんとした感じで、瞳がハートマークになっているんじゃないか。そんな感じ。口から舌がはみ出ていて、喉まで唾液がこぼれている。時折体がびくっと跳ねる。
「あ、あ。」
呆けた表情にもう一度ディープをかまして、俺は部屋から逃げた。
学校にて。
「な、なあ、今日ナフガニンさんすげえ色っぽくないか。」
「ああ、しかもどこかぼーっとした感じだな。」
大と涼がそう言っているが、高木はどう思う?
「うむ、エロい。」
「おい、お前それ以外になんか表現方法なかったのか?」
「「「エロい。」」」
草。ぶれないお前らが俺は好きだ。
原因はわかりきっているが、別に俺が何かできるわけではないだろう。
一つ、懸念があるとすれば姉だろう。どっちの姉かって?両方だ。
どっちかにでもこの情報が入ってしまえば俺はたぶん死ぬ。精神的に。
「あ、そうだ。今日の体育って、確か男女合同で球技大会の練習だろ?」
「はっ、高木!まさか!」
「そう、今日はわざわざ女バスの練習を覗かなくても合法的にあの先生が見れる!」
高峰、だっけか。
「イエスっ。」
そんなにすごいのか?
「そうか、確かにお前は見たことがないよな。」
大。
「ああ、あれはすごかった。」
涼。
「あいつのあれは、こう、ただでかいんじゃない。ふつくし淫だ。」
淫になってるぞ。
体育。ドッヂボールが球技大会の種目であり、男子にとって女子の目は気になるものだった。
「おらぁ!」
相手さんの6組はなかなかに強い。まだ1分とたたないうちに人数は倍近い差ができてしまった。おれはまだ当たってはいないが、大は既に外野にいる。
後ろの女子たちも必死に応援しているが、ここから逆転は難しいだろう。
「あ、まずい!」
男子がボールをよけると、その先には女子がいる。当然高校男児の玉の威力は強く、コート一つ挟んでも勢いは変わらない。
「ちっ、しまった。」
投げた6組の奴が青ざめる。ボールの先にはローゼンがいる。
しかしローゼンは例のごとくぼーっとしていたらしく、動かない。俺は横に飛んで手を伸ばし、何とかボールに触れる。地面に足がついた瞬間すぐに『流水』を発動。ボールは俺の手のひらに収まる。
「ふう。」
「いまだ、投げろ!」
わかってる。
投げようとした時、体が自然なフォームに勝手になってしまい、どのタイミングで手を放すべきか自然とわかってしまった。逆らわずに投げてみると、これまた驚くべきことに、先ほど投げたやつにクリーンヒットした。ど真ん中に入ったのにもかかわらず、その威力ゆえか、取れずにボールが落ちる。
そこからは7組が圧倒し始めていった。
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