九十二話 登場、フィオラの母 マリーネさん
「フィオラの母のマリーネです!」
俺は記憶を辿って思い返す。
見たことあるんだよな、と思いながら目に前にいる人と初めて会った時を思い出した。
確かペコが一人で走っていってそれを追いかけていたらこの人に出会ったんだ。
ペコはフィオラ以外には滅多に懐かない、フィオラとずっと一緒にいる俺でもなかなか懐いてくれない。
唯一俺と仲良くしてくれる時はおやつの干し肉を上げた時ぐらいだ……
それなのにこの人はペコが最初から懐いていた、その時は珍しく懐いているなとは思ったけどあまり気に求めていなかった。
よく考えればフィオラに雰囲気が少し似ていてペコが懐いていた時点で察しの良い人なら分かっていたのかも知れない。
「こんばんは、フィオラの友達のライラスです。会うのは二度目……ですよね?」
「あ!覚えててくれたんだね!」
マリーネさんは笑顔で自分の口の前で軽く両手を合わせた。
この人は感情が仕草に表れやすいのか凄く嬉しそうだ。
「ささ! 立ち話もなんだから、上がって上がって!」
「ありがとうございます、お邪魔します!」
誘導されるがままに机に連れられて向かい合わせで座った。
マリーネさんはニコニコしていてとても上機嫌だ。
「いつもフィオラとペコの面倒見てくれてありがとね! 君と会ってからフィオラが凄く楽しそうなんだよ、いつも君の話ばかりしてくれるんだ」
だから初めてあった時にすぐに俺がフィオラの友達だって分かったのか。
友達が自分の事を話しているのは嬉しいような……ちょっぴり恥ずかしいような……
聞いている感じ良い話をしてくれているのは分かるが、自分が他人から、それも親しい間柄の人からどう評価されているのか気になるのは当然だ。
知的好奇心に胸躍らせて、少し勇気を出して聞いてみる。
「フィオラは普段俺の事どんな風に話ているんですか?」
「えーっとね、例えばー、いじめられてた所を助けてくれた事とか……ペコを拾った話とか……誘拐された時に颯爽と助けてくれた王子様みたいだとか……」
俺はその話を聞きながら内心喜びつつ続く言葉を待った。
たまには素直に頑張りを褒められるのも悪くないなと思い、完全に有頂天になっていた。
「あとはー!」
うんうん、それからそれから。
「私の愛娘に超危険な魔術を教えていることとか……」
そう言いながらこちらをチラリと横目で見てきた、その顏は笑っていながらも目が一才笑っていない1番怖いタイプの表情だった。
俺は全身から冷や汗がドバッと大量に出てきたにうぃ実感した。
「そそ、それは……その……ごめんなさい」
俺は言い訳をいくつか考えてから一呼吸置いて清く謝った。
「あはは! 今のは冗談だよ! 娘に自分を守る手段を教えてくれてるんだし半分は感謝してるよ!」
「そのもう半分は……」
あ、また目が笑ってない奴だ……フィオラのお母さんは怒るとたぶん超怖いタイプだ、怒らせないようにしよう。
娘は母に似るって事はもしかしてフィオラも……
フィオラとは喧嘩しないでおこうと誓ったライラスだった。
魔術のことで少し釘を刺されたがフィオラの話で盛り上がって少ししてから少し疑問に思っていた事を聞いた。
「そういえばフィオラとシャル……シャルリアって子が先に家に向かったはずなんですけど二人は今どこに居るんですか?」
家に入った時少し見回して見たけど二人の姿が見当たらなかった。
来る途中で寄り道しているのだろうか。
「二人は今お風呂に入ってるよ、もう少しで出てくる筈だけど──」
話をしていると奥の部屋からフィオラとシャルの声が聞こえてきた。
「それでね!シャル!──あ!ライラスだ! いらっしゃい! ライラスが僕の家に入るに初めてだよね!」
「いつもはフィオラが迎えに来てくれるからな、今度は俺も迎えに行くよ」
「うん! 約束だからね!」
フィオラは元気いっぱいで笑っている姿は天使そのものだ、こっちまで笑顔になってしまう。
単色で純白のパジャマを着ていた、天使のようなフィオラにピッタリだ。
「お風呂にゆっくり使ったの久しぶりだからとてもよかったです!」
その隣ではシャルが久しぶりの風呂の湯に興奮しながら感激していた。
旅をしている時は満足に風呂にも入れないのは女子としては嫌なのだろう、久しぶりにくつろげた見たいで満足したみたいだ。
シャルはフリルの付いた赤いレースのパジャマを着ていた。
この服は多分エルトリスさんが選んだのだろう、ちょっぴり大人なパジャマだ。
「二人ともそのパジャマ凄く似合ってるよ」
「えへへ、ありがと!」
「ありがとうございます、師匠が選んでくれた大切なパジャマですから……」
お風呂上がりの二人とも談笑しているとフィオラのお父さんが帰ってきたみたいだ。
「おかえりパパ! お仕事お疲れ様! 今日はシャルとライラスとお泊まり会だよ!」
「ただいまフィオラ! そうかそうかシャルちゃんとライラス君とお泊まり会か……ライラス君とお泊まり会!?」
フィオラのお父さん、ライゼンさんが俺の方を二度見していた。
俺はとても悲しい表情をしているライゼンさんに軽い会釈をした。
ライゼンさんは俺の近くまで寄ってきて俺の両肩を軽く掴んでこう言った。
「ライラス君、一緒にお風呂入ろう!」
一体どうなったら友達のお父さんと二人で風呂に入る事になるんだ……
最後まで読んでいただきありがとうございます!
次話の投稿、楽しみにしていてください!!!




