八十三話 謎の女性と3人と
暇だ……凄く暇だ。
剣術の訓練も父さん達で盛り上がってるし、フィオラも母さんと料理をしていて楽しそうだ。
俺も何かしたいと思いふらっと村に向かっている。
パーティーの準備にはもう少し時間がかかるだろう。
俺は別に寂しく無いんだけどペコが一人ぼっちで可哀想だから連れて行ってやろう。
そう、俺は決して寂しいからじゃない。
家の近くの芝生の上で寝ているペコを最後の干し肉で手懐けてから頭に乗せて村を目指す。
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とりあえず村の中央区の噴水前までやってきた。
パーティー開始まで後少しなので元小悪党の3人組に伝えに行くとしよう。
最初は1番近い果物屋の手伝いをしているガリバーの所。
幾つかあるお店を通り過ぎてから目標地点の果物屋のカウンターに高身長で少し痩せているメガネを掛けた店員が立っていた。
「おや、ライラス坊っちゃまでは無いですか。どうです? このリンゴは今並んでいる中で1番甘いですよ」
ガリバーは数あるリンゴの中から特に赤くツヤのあるリンゴを見せてきた。
「お、確かに美味そう。あーでもいいや、今お金あんまり持ってないから」
そう言うと「そうですか……」と少し落ち込み気味だ。
俺は3人組の中でガリバーとポチャの2人は結構好きな部類で唯一何故か好きになれないのはフツーウだ。
何故か好きになれない上に最近では俺の親友のフィオラと2人だけで話す等と、とても親しげにしている。
俺の予想ではフィオラの初恋相手だと見ているが親友の俺からすれば更生したとはいえ、誘拐までする小悪党+ロリコンに可愛い親友を渡すほど馬鹿じゃない。
後でフツーウに少し探りを入れてみよう。
「もう少しでパーティーの準備が終わるから仕事が一段落したらポチャと一緒に来てくれ、フツーウには俺から言っておくよ」
フツーウには他にも用事があるからな、しっかりと真相解明してやろう。
「分かりました、ライラス坊っちゃま! 早急に仕事を終わらせて参ります!」
「それとガリバー……この村はどうだ?楽しくやれてるか?」
俺的には3人組が村で上手くやっていけてるか少し不安だ。
初めて会った時は俺の勘違いで攻撃してしまったからな、少し申し訳ない。
「えぇ、それはもう。ライラス坊っちゃまやフィオラお嬢様に村の人達皆いい人で感謝していますよ。今ではしたくない悪行からも足を洗って晴れて仕事が出来ますし、家だってみんなで作りましたしね」
「それなら良かったよ、じゃあ俺はフツーウの所に行ってくるから仕事頑張ってくれ!」
俺はガリバーに手を振りながらフツーウの働いている銀狼の森の入口に向かった。
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「で、俺の所に来たと……」
「お、このクッキー美味いな」
ペコが食いたそうにしてるから俺のかじったクッキー上げようとしたら拒否されて皿に載っているクッキーの方を食べた、可愛げがあるのか無いのか。
「パーティーの件を伝えに来ただけならなんで滞在してるんだ? ライラス坊」
今は村付近にある銀狼の森の入り口にある小屋の……いや場所説明長いな、とりあえずフツーウの仕事先に来ている。
そして図々しくも小屋の中でクッキーを貰っている。
「いや、フツーウが最近フィオラと2人で仲良く話してるから何の話をしているか気になって」
俺はクッキーを1つかじりながら答える。
それを聞くと少しにやけながら「ははーん、そう言う事か」などと何か勘違いしやがった。
「分かるぜ、ライラス坊。二人で話してる内容は言えないがお前が心配してる事は何もねぇ、安心しな」
くそ、やっぱり勘違いしてやがる。
そして1番聞きたかった内容が聞けなかった。
「そんなんじゃないって、単純に気になっただけだよ。でもフツーウがロリコンじゃなくて助かったよ」
否定したけど余計に怪しくなってしまった。
まぁ、いいか。いつか勘違いだって分かるだろ。
「誰がロリコンだ、誰が! まぁ、もう少しで今日の仕事は終わりだから終わったらすぐに向かうよ。なんなら、ライラス坊も俺の事フー兄って呼ぶか? 俺、一人っ子だったから弟も欲しかったんだよ」
「いや、遠慮しとくよ。何かやだ」
「ちぇ、連れない弟だ」
ガリバーとフツーウには伝えてポチャにはガリバーが伝えてくれるからとりあえずはこれでOKかな。
ペンタ君とカルロス君は2人で来るはずだし、ガジェットさんは行けたら行くって言ってたからたぶん大丈夫だろ。
ほんとにやる事無くなっちゃったなたぶんまだ時間はあるだろうからどうしようか。
悩んでいる頃には村の中央区まで来ていた時だった。
いきなりペコが頭から飛び降りて走りだした。
「あ、ちょっとまって!」
俺も慌てて追いかけるが想像以上にペコの足が早い。
あれ。これ俺が遅いのか……分からないけど少しずつ距離が離されて行って居住区あたりで見失った。
名前を呼びながら辺りをキョロキョロしているとベンチに座っている金色でロングヘアーの美人な人が目に入った。
とても美人で大人びているがどこか幼さもあり少し安心出来る何かがその女性にはあった。
少し呆気に取れらているとその女性の膝の上で頭を撫でられているネコか犬か分からない見慣れた動物がそこにはいた。
咄嗟にその女性の近くに言って話しかける。
「すみません、その子の飼い主です。ご迷惑とか掛けてないでしょうか?」
飼い主とは少し違うが似たような物だろう。
とりあえず見つかって良かった。
ペコが居なくなるとフィオラを悲しませてしまうからな。
その女性は少し首を傾けてからこう言った。
「えーっと、この子の飼い主は私ですよ?」
あれ……えっと、どうしよ。
困ったな、ペコの元の飼い主だろうか、それとも見た目によらず悪い人なのだろうか。
「あの……すみません。正しくは飼い主は僕じゃなくて僕の友達なんですけど……」
それを聞くとその女性はまた何かを考える様に顎に手を当てて首を傾げた。
これは飼い主のダブルブッキングだろうか。
「あの……この子の元の飼い主さんでしょうか?」
「違いますよ、今の飼い主ですよ」
そう言いながら膝の上で寝ているペコの頭を撫でている。
ペコがこんなにくつろいでいるのはフィオラ以外見た事ない。
俺の母さんですらそこまで懐かれないのに。
もしかしてほんとのほんとに飼い主さんだろうか。
俺らが勘違いして勝手にペコを誘拐したってことか!?
確かに確認とか取らずに野良だと思い込んで名前まで付けただけな気がしてきた。
少しの間、頭を傾げていた女性が急に何かを閃いた様に目を開いて顔の前で手の指先同士を合わせた。
「君は好きな子はいるかな?」
「今は居ないで……え? どうして好きな子を、聞いたんですか!?」
あまりに自然すぎる質問の仕方だったから普通に答えたけどどうしてペコの話から好きな子の話になるんだろうか。
「そっかそっか。それじゃあ、可愛いと思っている女の子とかはいるかな?」
「えーっと……答えた方が良いですか?」
その女性はうんうんと首を縦に振った。
その動作の影響で綺麗な金色の髪がなびく。
シャルリアと同じ金髪でもこの女性は透き通った金色だ。
シャルリアの髪は色が鮮やかな金色だ。
「そうですね……僕の自慢の親友は凄く可愛いですよ。もうその容姿は天使その物で見てるだけで癒されるんです」
「うんうん、それからそれから?」
少し食い気味になって聞いてくるので俺も何だか嬉しくなってついつい話を続けていた。
魔術の才能がある事、誰にでも優しい事、そしてとても強い事。
「その子はとても凄い子だね。君の話を聞いてると直ぐに分かるよ」
「そうなんですよ!良い子なんです! でも最近、僕のポジションをとある人物に取られつつあるので問題があるとすればそれぐらいですよ」
フィオラの良い所を知らない人に教えて、褒めてもらえると自分まで褒められている気分になる。
「うんうん、良く分かったよ! それじゃあこの子は君に託すよ、次は逃がしちゃダメだよ? この子は賢いから直ぐに帰ってくると思うけど……」
「わ、分かりました。ところで名前を聞いても――」
「いけない! 早く帰らないと部屋の掃除が残っていたんだわ! それじゃあまた会おうね、ライラス君!」
あれ?今、ライラス君って言ったような。
まぁ、1度も名乗ってないし気のせいだろうな。
それにしても変わった人だったな……
さぁ、パーティーに参加する人達には声をかけたし、もう準備も終わっている頃だろう。
さぁ、元小悪党3人組のマイハウス建築祝い件、遠路遥々やってきた父さんの師匠のエルトリスさんとその弟子のシャルリアちゃんのクロット村へようこそパーティーの会場に向かおう!
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