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新たな世界で最高の人生記録!  作者: 勇敢なるスライム
第1章 幼少期
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八十一話 二人だけの秘密

フィオラはシャルリアと手を繋いで森の入り口まで戻る。


シャルリアちゃんは最初、少し怖かったけど今は小動物みたいで可愛いくて怖がりさんだ。

師匠と呼んでいるエルトリスさんに合わせる顔が無いらしく繋いでいる手はプルプルと小刻みに震えている。


もしシャルリアちゃんが怒られるなら僕も一緒にごめんなさいをしよう。

僕の方が二歳年下だけど心はお姉ちゃん気分だ。



「ま、まって……何か聞こえます」

「え? 僕は何も聞こえないよ?」


シャルリアは辺りを軽く見渡す。

視界には何も映らない、目では確認できない。

軽く息を吐いてから眼を瞑る……極度に集中している状態には全ての音が鮮明に聞こえる。

風が通る音、草木が靡く音、動いている何かが草に擦れる音、ゆっくりとこちらに近ずく足音。

一人、二人……いや、一匹だ。

四足歩行の大きな何かがこちらにゆっくりと迫ってきている。

「あっちに何かいる」

シャルリアは草むらを指さしながら小声でそう告げた。


次の瞬間、草むらから現れたのは爪が大きなモンスターが現れた。

これはD級モンスターのネイル・ウルフだ。

今まで何度も倒したことがあるから問題無いけど……シャルリアはフィオラを横目で見る。

フィオラちゃんを守りながら倒せるかと頭を悩む、しかしモンスターは狩猟本能があるから逃げると必ずと言って良い程追いかけてくる。

私がフィオラちゃんを守らないと、そう思って腰に手を当てる。

そこでシャルリアは普段なら必ずある物がない事に気づいた。

常に帯刀しているはずの師匠から代々受け継いだ刀が無かった。

そうか……模擬試合をした時に外してそのまま飛び出したんだった。


そこでシャルリアはエルトリスと会ってから初めて恐怖心に襲われた。

それは村を盗賊に襲われ時以来、忘れていた物だ。

モンスターの群れに囲まれた時も世界中で恐れられている魔王の配下と対峙した時もそばには必ず師匠がいた、剣術があった、師匠の弟子という自信があった。


だが今のシャルリアは近くに絶対的信頼のある師匠は居ない、自慢の剣術は剣が無いから使えない、挙句の果てには自分より年下についさっき任されたばかりだ。

呼吸が乱れて荒くなり、心臓の鼓動は驚くほど速く、全身から嫌な汗が出始める。


その時、優しい声が聞こえてくる。

「大丈夫だよ、僕が守ってあげるから……だからシャルリアちゃんも僕を守ってね」

震えていた自分の手を優しく、力強く握ってくれた。

何故かは分からないが信頼できる……そう思った時にはシャルリアの震えは止まっていた。



シャルリアちゃんが元気になってくれて良かった。

本当は僕も怖いけど、こういう時にライラスなら必ずこうする。

ライラスは自分も怖がりなのに怖がってたら僕が怖がるからそんな素振りは見せてくれない。

だから僕がそうして貰ったようにシャルリアちゃんには僕が怖がってる姿は見せない!


「もう、大丈夫です……一緒にアイツを倒しましょう!」

「うん! 僕、これでもちょっと強いよ!」


シャルリアは周りを見渡す。

周りに使えそうなものが無いか探しているからだ。

最初に目に留まった物は剣の代理にしては心細い木の枝だ。

でも今はどんな些細な武器でも必要だ、足止めさえできればいいからだ。



フィオラはライラスから貰った杖を取り出す。

僕はライラスみたいに色々な魔術を連続では使えないし魔力もそれほど残ってない、初級魔術が数回使える程度だ。

でもライラスが言ってた、僕には水と風の魔術なら初級でも強いって。

だから使うのは水と風の初級魔術だ。



ネイル・ウルフは少しずつ間合いを詰めてくる。

獲物を狙う目で爪を立てて喉を鳴らしている。


シャルリアは木の枝で出来ることを考える。

木の枝では正面切って攻撃をするどころか防御することも出来ない。

攻撃するなら口の中か目のどちらかだ……だけどどちらも警戒しているモンスターに攻撃するのは骨が折れる。


そう考えている間にネイル・ウルフがシャルリアに飛びかかる。

大きく飛びかかってくるネイル・ウルフの攻撃を飛び込んで回避する。

その後も続く攻撃をギリギリ躱していく。

しかし平地ならともかくここは森の中。


「しまった……!?」

足元にあった木の枝に足を取られ、その場でしりもちを着く。

ネイル・ウルフはここぞとばかりに倒れているシャルリアに飛びかかる。

シャルリアは避けれないと悟り、手で顔を庇う、その瞬間。


「ウィンド!」

フィオラの声と同時にネイルウルフに初級とは思えない威力の風が襲い、少し後ろに吹き飛んだ。

シャルリアは少し状況が掴めていなかったが直ぐにフィオラのおかげで助かった事に気づく。

「……ありがとう!」

「まだだよ! ウォーター!」

フィオラはすかさず次の魔術を放つ。

これも初級魔術とは思えない威力の水がネイル・ウルフの顔にかかる。

少しの衝撃と水のせいで動きが止まっている。


「「今だ!!!」」

フィオラは魔術を放ち続け、シャルリアは止まっているネイル・ウルフの目に目掛けて木の枝を突き刺した。


ネイル・ウルフはたちまち叫んで森の奥深くへと走って行った。


二人の少女はその後、お互いの顔を見合ったまま目をパチパチさせて――

「「やったぁー!!!」」

二人は手を繋いで飛び跳ねながら勝利を喜んだ。


これは普段、絶対的信頼している人に守られていた二人の初めて自分たちで困難を突破した瞬間だった。



ネイル・ウルフを撃退してすぐ、二人は森の入り口まで来ていた。

シャルリアとフィオラの二人は草むらから覗き込み見張りのおじさんが寝ている事を確認して忍び足で前を通り過ぎる。



前を通り過ぎた後は二人で笑い合いながら走った。

「森で会った事は誰にも言っちゃダメだよ! こっそり入ったのがバレたら怒られちゃうから」

「分かりました! これは私とフィオラちゃんだけの秘密です!」


二人が向かうのは親友のライラスと師匠のエルトリスがいるクリウス家だ。


最後まで読んで頂きありがとうございます!

次話の投稿、楽しみにしていてください!!!

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