七十七話 その客人、剣客につき
フィオラと魔術の練習が終わり、魔力をかなり消費した。
最近、フィオラに魔力を多く使っての大きさを変更する魔術を教えていたか知らないが俺もコントロールがかなり出来るようになって魔術もかなり進展してきた、今日もまた成長を感じられている。
フィオラと2人で村の中を歩いて居ると目の前に見慣れた黒い小型犬の様な生き物が歩いていた。
「あっ、ペコだー! こーら! また家を抜け出したの?」
ペコはフィオラに見つかると逃げようとしたがフィオラに捕まった、いや抱き抱えられた。
ペコも最初は「離せー」と言わんばかりに逃げようとしたがフィオラが頭を撫でると落ち着いたらしく逃げようとしなくなった。
ペコはフィオラに凄く懐いていて今も頭や顎を撫でられて至れり尽くせりになっている。
「よーしよし、良い子だ――痛ッ!」
俺がフィオラの真似をして頭を撫でようとすると俺は手を噛まれた。
まぁ、甘噛みだからそんなに痛くないんだけど。
フィオラは、途中で拾ったペコを頭に乗せてそのまま俺の家に向かった。
「ライラス実はペコに何か酷いことしたんじゃない? この子凄く良い子だよ?」
そう言われて思い返してみても特に嫌われる様な事してないしな。
最初、少し怪しんだり、オスメス確認したり……
「実は色々してたのか!?」
「ペコちゃんは寛大なのでオヤツをくれたら許します」
フィオラがペコに声を当てて話している。
はっきり言って可愛い。
ペコ(CVフィオラ)だな。
俺は持っていた干し肉をペコの前にチラつかせる。
俺が干し肉を右に揺らせばペコの顔も右に来る、左に揺らせばペコの顔が左に来る。
いつもは普段噛み付いてくるのとは裏腹にこの仕草が可愛いから少しの間これをしているが、これも嫌われる原因かもしれない。
「俺、結構餌を上げてるけどペコ太らないかな?」
「僕の家じゃペコいつも何か食べてるけど全然サイズ変わらないから大丈夫じゃないかな?」
コイツ、フィオラの家でも頻繁に何か食べてるのか。
名は体を表すって言うしなお腹ペコペコなんだろう。
家に帰って中に入ろうとすると外で俺の妹のルシェネをあやしていた母さんが出迎えてくれた。
「おかえり、ほーらルシェネお兄ちゃんとお姉ちゃんですよー」
「お、お姉ちゃん……立派なお姉ちゃんになります!」
フィオラが意気込んでいた。
「あっ! さっきのお姉さんだ!」
フィオラが向いた方向を見ると確かにさっき道を教えた二人組が家に居た。
「やぁ! さっきの親切な坊やじゃないか! まさか君がラウドのお子さんだったんだね! さっき家を訪ねた時に行ってくれれば良かったのに」
この人たちは誰だろう、父さんか母さんの知り合いなのは間違いないはずだから冒険者時代の仲間とかだろうか。
そうだとしてももう1人の金髪の女の子は誰だろう、年齢的に俺と同じぐらいかな。
「すみません、父様か母様に用事かと思った物で……」
この言い方だと俺にも用事があったって事なのか。
それにしてもどちら様かと考えているとそれを察してくれたのか話し始める。
「自己紹介がまだだったね!私はエルトリス、一応ラウドの元師匠かな」
「何ですか元って、今も慕ってますよ」
「よく言うよ私から逃げたくせにー」
「うっ、あれは少し事情が……」
エルトリスさんはラウドを少し弄って笑っていた。
あのラウドが弄られてるのってあんまり見ないから少し面白かった。
「僕はライラス・クリウスです。よろしくお願いします」
「ラウドと違って行儀がいいね、お母さん似かな? いやでもラウドも大人になって礼儀を覚えたからそれかな?」
ラウドとエルトリスが話に花を咲かせているのでフィオラの方を見ると金髪の女の子と話していた。
「ねぇねぇ! 名前! 何て言うの!?」
フィオラが珍しくグイグイと聞いていた。
「しゃ、シャルリア……です。貴方は?」
「シャルリアちゃん!!! 私、フィオラ!よろしくね!」
フィオラがウキウキでシャルリアと名乗る少女の手を握ってブンブン振っている。
「紹介が遅れたね、この子はシャルリア。訳あって私が引き取ってる子で私の愛娘兼、愛弟子です」
髪色を見ても分かるがやはり血縁では無かったのか。
何の師弟関係かなと思ったけど2人とも帯刀しているのとラウドの師匠の話しは聞いているので剣術で間違いないだろう。
「って事は俺もようやく兄弟子って事ですか師匠!」
父さんかま師匠と言うとシャルリアと言う少女は少し頬を膨らませてムスッとしていた。
自分の師匠が取られた気分なんだろうか。
「そっか! あんた私が弟子取らないからずっと弟弟子だったもんね」
「そうですよ! 俺ずっと兄弟子になるの心待ちにしてたんですから」
ラウドは嬉しそうに兄弟子と呟いていた。
俺の中で最強だったラウドの師匠、どれほど強いのだろうか。
俺はラウドに攻撃を当てたことがない、ラウドは5歳にしてはやる方だと言っていたが俺はラウドを倒せるぐらい強くなりたい。
魔力と言う人間の力を超越した存在がある世界だ、行けるところまで自己鍛錬に励みたい。
「ところで師匠、今日来たのはどう言った用事ですか? 一応手紙は頂いていたんですけど肝心の説明を聞いてないですよ」
「実はね今から私の愛弟子のシャルとラウドの息子のライラスの2人に模擬戦をして欲しいんだ!」
なんで模擬戦?と思ったのは俺だけでなく対戦相手のシャルリアちゃんも何で?と言う顔をしていた。
「まぁ、たぶんライラス君が勝つだろうけど!」
今、ピキリと聞こえていないはずの音が聞こえた気がした。
嫌な予感がしてシャルリアちゃんの方を見ると静かに怒っているのが分かった。
「師匠、もしかして前に言ってた私より強い人って私よりちんちくりんなこの人の事ですか? 見たところ歳は私と同じか少し上ぐらいだと思いますけど」
俺より歳下って事は流石に無いだろ……同い年ぐらいか。
「残念、ライラス君は今年で5歳です」
またピキリと音が聞こえた、いやなんか怖い。
「師匠は私が二歳も下の子に負けるって思ってるんですか?」
「そういうことだね」
どうしてさっきからエルトリスさんはちょくちょく弟子を煽るんですかー!
俺、何もしてないし父さんの師匠の弟子に勝てるほど剣術に優れて無いんだけど……いやボコボコにされる未来しか見えないんだけど。
「ライラス君でしたか?……今剣術の階級は幾つですか?」
「は、はい! 今、力神と技神の両方が初級です。はい。すみません」
「ライラスなんか喋り方変だよ?」
しー!しー!フィオラ今は静かにしてくれー!頼むー!
と心の中で叫ぶ。
「え?……初級?」
またなんかピキリって聞こえるって!神様絶対わざと俺にだけ聞こえるように仕向けてるって!
「なぁ師匠、シャルリアちゃんは今何級なんだ? あの言い方だとどっちかはもう中級行ってる感じか?」
父さんがコソコソと小声でエルトリスさんにシャルリアちゃんの階級を聞いている。
俺も気になって耳を向ける。
攻撃を流す技神流が中級に行ってると俺の勝率グンと下がるから出来れば力神流が中級だと嬉しいな。
エルトリスさんは良くぞ聞いてくれたと言わんばかりに口角が上がり腕を組み、目を見開いてこう言った。
「シャルは……シャルリアは7歳にして力神流と技神流、共に上級だ」
「え……えぇぇぇぇぇぇぇ!?!?!?」
家中にラウドの声が響き渡った。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
評価やコメント、お願いします!
次話の投稿、楽しみにしていてください!!!




