七十三話 三人組の仕事とお家
「それなら、仕事はどうするんだよ?」
ポチャ、ガリバー、フツーウの三人はこの村、クロット村に滞在するらしい。
住むと言う事は何か仕事をしないといけないという事だ。
ちょっと前まで悪党の下っ端だったコイツ等はまともに仕事が出来るのだろうか。
「仕事ならライゼンさんが根回ししれくれてよ、俺は村の警護をすることになった。村の安全は任せてくれ!」
「私は市場でお店を手伝う事になりました、ライラス坊ちゃまがいらしたらお安くしておきますよ」
「オイラは畑仕事だ、美味しい野菜を育てるだ」
フツーウが村の警護、ガリバーがお店の手伝い、ポチャが畑仕事。
皆、働く場所が違うけど仕事と住む場所が見つかってうれしそうだ。
「あの人は本当に寛大だよな、悪さばっかりした俺たちに住む場所と仕事くれるなんて」
「この恩は一生かけてお返ししましょう!」
「んだんだ、一生付いて行くだ」
ライゼンさんは確かに優しいけどきっとフィオラからのお願いもあるんだろう。
この三人はフィオラに好かれなかったらきっと殺されてるな……。
「で、三人はどこら辺に住むんだ? この村結構広いからな」
「それがまだどの家に住むか聞いて無いんすよ、今日教えて貰います」
あれ? この村に空き家ってあったっけ?
フィオラと歩き回ったから大体の場所を把握しているが空き家なんて見た事無かったけど。
まぁ、ライゼンさんにはきっと考えがあるんだろう。
ーーーー
俺の家で俺、フィオラ、母さんとラウド、元子悪党三人と一緒に飯を食って、その後俺とフィオラで魔術の練習、三人はラウドと一緒に今後について話していた。
「今日は魔術の大きさを変えてみよう、ちょっと見ててくれ」
俺は右手で普通のサイズの氷塊を使う。
「これがフィオラも知ってる普通のサイズだ、そしてこれが――」
俺はそう言うと右手にある普通サイズの氷塊の一回り小さい同じ魔術を左手で使った。
「これが一回り小さくなったアイスボールだ」
「なんだか綺麗だね」
アイスボールはその名の通り氷の塊で拳サイズのそれなりに大きい、今使った魔術はそれよりもっと小さい氷の結晶ぐらいだ、太陽の光を乱反射してキラキラ光っている。
「サイズが違う分、威力も落ちちゃうんだけど……試しに見てみようか」
俺はそう言うと近くに土魔術の土壁を使って二つの的を作った。
それを片方ずつ発射する。
二つある土壁の内、普通サイズのアイスボールを放った方は崩れ落ち、小さい方は小さなクレーターが出来る程度だ。
「僕もやりたい!どうやって小さくしたの?」
「魔術を使う前に頭の中で小さくなったアイスボールを思い浮かべて見てくれ」
「うーん……浮かべたよ! ライラスが出したのと同じ大きさ、この後はどうしたらいいの?」
「右手にいっぱい魔力を込めるんだ」
「……魔力を込める?ってどうするの?」
そうだ、今まで一回も魔力を多く込める事を教えてなかった。
教えると言っても何となくでやってきたから俺も的確な事を教えれる訳じゃないんだよな。
「えーっと、そうだなぁ、ぐぅーと右手に力を入れてみてくれ、その後にいつも通りに魔術を使うんだ」
「う、うん! 頑張る」
フィオラは少しイメージが付かないらしく少し頭を傾けながらも眼を瞑って右手にめいいっぱい力を入れる、ギュッと力を入れているせいで顔が少し赤くなっている。
フィオラが力を入れ始めると透き通るほどきれいな水色の何かがフィオラを中心に渦巻く。
「なんだこれ、もしかし……なくても魔力なのか?」
フィオラは今、目で見て分かるレベルに使っている魔力が上がっている。
俺も色々な魔術を使ったり、魔術のサイズを変えて魔力をたくさん使って来たけど魔力が目に見えたのは初めてだ。
まてよ、フィオラの得意魔術は水属性と風属性の二つ。
普通に魔術を使うだけでも俺とは桁違いな威力になる、そのフィオラがいつもより多く魔力を使おうとしている。
少しだけ嫌な予感がする。
「フィオラちょっとまっ――」
「氷塊!」
フィオラが魔術を唱えると同時に甲高い音と共にフィオラの目の前にフィオラの倍近くも大きな氷の塊が現れた。
「うわぁ!」
想像以上に大きなアイスボールに驚き、フィオラはその場で尻もちを付いた。
その拍子に大きなアイスボールは崩れ落ちた。
「大丈夫かフィオラ?」
「う、うん。今の何だったの?」
たぶん魔力なんだろうけどさっきのが原因なのか、それとも魔力を上げたのが原因なのか……
魔力を多く入れたとしても一応は小さくするために魔力を使ったのに逆に大きくなったんだから今の俺の知識では原因は分からないな。
「俺も分からないが、魔力の大きさを変えるのはまた今度にして今日は他の魔術を使ってみようか」
「うん、でも今のでちょっと疲れちゃったかな、かなり魔力を使っちゃった」
「今日はお終いにして、休憩しようか」
フィオラと家に入って二人でリンゴジュースを飲んでいた時だった。
コンコン、と扉をノックする音が聞こえた。
「あら、誰か来たみたいね」
母さんが扉を開けに行った、この家は少しだけ村と離れているからそこまで来客が多い訳じゃ無いからいったい誰だろう。
母さんが扉を開けると緑髪で耳が長い青年の様な人が来た。
「パパ!」
その男性を見るとフィオラが嬉しそうに走って行った。
そう、フィオラんのお父さんのライゼンさんだ。
「おぉ、フィオラ! ライラス君に迷惑とかかけてないか?」
フィオラの頭を嬉しそうにワシワシ撫でながら娘が失礼してないかを聞いて来た。
「掛けてないよ! 大丈夫だよ!……大丈夫だよね?」
最後には何故か俺に聞いて来たから大丈夫だと言うとフィオラは嬉しそうにドヤ顔になった。
可愛い奴め、これが娘を持った父さんの気持ちだろうか。
もしも俺が結婚して娘が出来て彼氏を紹介されたら真っ先に殴りそうだ。
フィオラがもし彼氏を紹介してきた時はライゼンさんと一緒に見定めてやろう。
「ガリバー、ポチャとフツーウを呼んでくれないか」
用事はあの三人にあるみたいだ。
ライゼンに呼ばれて舎弟の様に三人が直ぐに整列した。
「「「ライゼンさん、何でしょうか!」」」
「今から三人には家を作ってもらう!」
ん? 家を作る?
次回、三人組家を建てる
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