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新たな世界で最高の人生記録!  作者: 勇敢なるスライム
第1章 幼少期
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六十九話 フィオラ救出大作戦 完

 倒すと言ったもののさっき使った魔術はかなり威力を高くしていた。

 それをくらっても無傷で立っている。

 簡単には倒せそうに無い。


 そもそも最初の攻撃をどうやって受け流したのかが気になる。

 それが分からないと倒す事はたぶん無理だ。


「ヘイヘイ、どうしたクソガキ! 命乞いのセリフでも考えてるのか?」

「命乞いするセリフはおっさんが考えといた方がいいんじゃないか?」

「いうねぇ~! さっそく殺したくなって来たぜ」


 大柄な男は剣を肩に置いてヘラヘラと笑っている。

 煽り立てて来るのはたぶん俺を感情的にさせるためだろう。


 右手に構えている剣を男に向けたまま左手で腰に指している杖を引き抜く。

 離れている間に魔術で遠距離攻撃で牽制、近付いてきたら剣で応戦する。


 しかし、どの魔術を使えばこの大柄な男を倒せる?

 火魔術は駄目だ、狭い所しかも地下室という密閉空間。

 使ったら酸欠で俺とフィオラまで死んでしまう。


 それに風属性の中級魔術、しかも魔力を大量に注ぎ込んだ《ハイウィンド》を食らってもピンピンしている奴に他の風魔術が聞くのか分からない。


 今日レイブンと合った時に魔力を使いすぎたから魔力の底が見えそうだ。

 魔力を完全に使い切ると倒れてしまうから相手に効くか分からない風魔術は無闇に使えない。


 となると攻撃に使える魔術は土と水だけだ。

 風魔術はサポートになりそうだ。


 大丈夫! 作戦は完璧だ、コイツをサクッと倒してヒロイン助けてハッピーエンド!

 憧れの異世界で楽しく暮らす、完璧だ!


「おいおい、そんなに震えてちゃあ楽しく殺り合えねぇじゃね~か」

「え?」


 震えてる? 誰が?

 そう言われて見れば視界にある短剣が震えているのが見えた。

 耳を澄ませばうるさいほどの荒い呼吸音が耳に響く。


 震えているのは俺だ……どうして? 何度も父さんと対人戦の稽古をした、何度も自分が戦う姿を想像した、何度も何度もカッコよく人を助ける事を考えた。


 想像や稽古と何が違う? 


「さっきまで大口叩いてたのにそれか? そのままだと後ろの奴と二人で仲良く俺に殺されるぞ?」


 殺される……俺が負けたらフィオラも俺も死ぬ。

 今の俺には親友の命も掛かっている。


「ハァ、ハァ、ハァ」


 心臓の音と呼吸音がうるさい、頭が回らない。

 ダメだ、視界が歪む、頭が痛い手で押さえても治らない

 あれ? 俺はなんでここに居るんだっけ?


「オイ……クソがk……来な……のか? あぁ? なr……こっちから……ぞ!」

 あれ? 誰だアイツ? 何て言ってるんだ? 視界がぼやけているが正面にたっている人物が地下図いているのが分かる。 どうしたら良い? もう何も分からない。

 ダメだ、意識がもう……


「ら……ラス!」

 あれ……この声は誰だ? 何処から聞こえて来てる?


「ライラス‼」

「!?」


「フィオラ……」

「大丈夫?」


 そうだ、俺が殺されたらフィオラもいずれ殺される。

 俺がしっかりしないとダメだ‼


 両手で頬を叩く。

 地下室にパシンと音が響く。


「フィオラ、ありがとう。もう大丈夫!」

 フィオラの声を聞いて腕の震えが収まった。

 怖くなくなった訳じゃないけど、少し吹っ切れた気がする。

 俺は目の前にいる男を殺さないし、フィオラも殺させない。


 大柄な男がこっちに剣を構えて目前まで迫ている。

 自分の後ろ向きに剣先を向けている、下段構えだ。

 下段構えの初動は下からの切上げが基本だ。

 大丈夫、コイツは父さんより遅い。


 力で言えば勝てる訳がない、だからこそ力ではなく技術で勝つ。

 左手に持っている杖に魔力を込める。

 使う魔術は土属性 中級魔術 「【土塊(ソイルボール)】」 土で出来た塊を飛ばす魔術

 下段からの切上げ攻撃中の手首目掛けて土塊を飛ばす。


「いでっ⁉」

 今回は早さと硬度を落として威力を高めた。

 残り魔力が少ししか無いから精度を高める事に魔力を使った。

 少し遅めに飛んで行った土塊は男の手首に当たるとバラバラに砕けた。


 下からの素早い切上げ中に当たった分痛みは格段に上がってる。

 剣を手放して右手首を左手で押さえている。


「やりやがったな! クソガキがよぉ!」

 男が後退している間に後ろにいるフィオラの方に杖を向ける。

 使う魔術は 土属性 中級魔術 「【土槍(ソイルスピア)】」 魔力を込めて先端を鋭利にして飛ばす。

 ヒュンという音を立ててフィオラを縛っていた鎖が砕ける。


「ありがとう、ライラス」

「もう少しで助けるからな。 後ろで隠れていてくれ」


 首を縦に振って頷くとフィオラは俺の後ろに直ぐに隠れた。


 魔術は使えても二回が限界だ、それ以上使うと魔力が空になって意識が飛んでしまう。

 使いどころは考えつつ、だしおしみはしないようにしなければ。


「おい! クソガキ! 直ぐに殺してやるからそっから動くんじゃねぇーぞ!」

 男は落としていた剣を左手で拾い、右手はだらん、と脱力している。

 そのまま剣を片手で構えてこっちに走ってくる。


 透かさず杖を構えて魔力を込める 「【土塊】」

 今度は顔面目掛けて威力と硬度を落として速度を上げた土塊を飛ばした。

 さっきよりスピードが上がっている分、避けれないはずだ。


「舐められたもんだなぁ! 二度も同じ魔術食らうわけねぇーだろ!」

 男は顔面に飛んできた高速の土塊をいとも簡単に斬り落とした。


 しまった! さっきより早く飛ばせば当たると思いこんでいた。

 さっきは俺が震えてたから油断してたに過ぎないのか。


 使えてもあと一回が限界だ。

 土塊をぶった切ったそのままこっちに突っ込んできた。

 思ったより早い! 杖を向ける時間が無い。


 男が剣を頭の位置まで持ち上げてから真下に振り下ろす。

 速度が速すぎて避けれない、受けてしまえば再起不能になってしまう。


 左手に持っていた杖をその場に落として短剣を両手で持つ。

 大人用の短剣だから子供の俺が両手で持てば丁度良いサイズだ。


 力量差がある時の対処方法は父さんと戦ってる時に教えて貰っている。

 力で勝てないなら技術でずらせば良い。


 剣を振り下ろす少し前のタイミングで体を少し捩じる。

 剣の腹目掛けて短剣を振りかざす。


 カンッ! と言う甲高い音と共に男の体勢が前のめりになって剣が地面に激突する。

 その一瞬できた隙に男の腹に手を当てる。


 使う魔術は風属性 中級魔術 「【ハイウィンド】!」

 倒れない程度に残っている魔力を込めれるだけ込める。

 流石にこの距離からこの威力、勝った!


 杖が無いが込めた魔力量の多さで言えば最初の時と同様の威力を腹からゼロ距離で放った。

 轟音と共に男が壁に目掛けて吹き飛ばされた。


 壁とぶつかる衝突音が聞こえた。

 魔力があと少ししかないからか倦怠感が襲って来る。

 風魔術を使った影響と壁に当たった時の衝撃で土埃が舞っている。


 安心する前に男がどうなったかだけ見ないと安心できない。

 土埃が収まるまで短剣をしっかり構えておく。

 内心、死んだりしてないか心配なレベルだ。


 土埃が収まった。

 人影が見える。


「痛っでぇーな! 流石に今回のは効いたぜ!」

「おいおい嘘だろ⁉ なんで……」


 成人男性なら簡単に吹き飛ぶ威力をゼロ距離で撃ったんだぞ? 痛いで済む訳がない!

 コイツ、風属性耐性でも付いてんのかよ。


「お前、顔色わりぃーな! あれだろ魔力枯渇寸前なんだろ! 最後の魔術は鎖斬った時の鋭利なやつにすべきだったな!」


 あと少し、あと少しだけで勝てるのに……どうしてコイツには風属性が――

「どうして風魔術が効かないか気になるんだろ? ここまで俺を追い詰めたクソガキには特別に教えてやるよ! あれを見てみろ!」


 男が壁に指を差した、その壁を見ると壁に()()が付いている。

 もしかしてコイツ……壁を蹴って衝撃を和らげてるのか⁉


「だいたい分かったみたいだな! そうさ! 俺の身体能力があると吹き飛ばされても体勢が立て直せるんだよぉ! 残念だったな! 秘密が知れてももう魔術が使えないもんな! 残念だったなクソガキ!」


 くそ、思ったより魔力が限界に近いからか体が重い。

 これだと受け流すことも出来ない。

 このままだと殺される。


「これでお前をぶっ殺して俺はあのエルフのガキを――グギャ⁉」

 話している途中に耳を塞ぐ轟音と共に男が凄まじい速度で壁に吹き飛んだ。

 後ろを見ると俺の杖を構えているフィオラが居た。


 そうか俺が落とした杖を拾ってたのか‼

 もう一度男の方を見てみると今度こそ完全に意識が飛んでいるようだった。

 得意属性の風魔術に俺の杖で威力が底上げされている一撃を食らったんだ、いくら身体能力が高くても意味は無いだろう。


「ありがとう、フィオラ。助かったよ」

「えへへ、ライラスの力になれて良かったよ!」

「こんな所早く抜け出して帰ろうか、俺たちの村に」

「うん‼」


 フィオラに右手を出すと透かさず左手を重ねてきた。

 遠足は帰るまでが遠足だからな。

 親友を助けれて本当に良かった、後の事はレイブンに任せよう。

 アイツならきっとどうにかしてくれるはずだろう。


読んで頂きありがとうございました!!!


バトル回が終わって次はまた日常回に戻ります!

バトルシーンは書くのが楽しいです!


次話の投稿、楽しみにしていてください!!!

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