六十八話 敵のアジトに不法侵入!
三人組の誘拐犯がアジトから出て行ってからレイブンと二手に分かれた。
レイブンは出て行った三人組の誘拐犯を追いかけて、俺は無人になったアジトから誘拐されているであろうフィオラの奪還。
レイブンは三人居た犯人を一人で任せろと言ったという事はやっぱり相当腕に自信があるみたいだ。
レイブンの実力を想像しながら扉にそっと手を掛ける。
ゆっくり押すとギィーと扉が軋む。
中は暗く、机には食べかけのパンや瓶が置かれていてソファーや床には毛布があり生活感が感じられる。
明かりが消されているからやっぱり中に人は居ないようだ。
腰に差している短剣を右手に持って、自分の中心に剣を構える中段構えの体勢を取る。
明かりが無いから歩きずらい、目が慣れるまでは少し時間がかかる。
部屋の明かりに慣れるまでに一部屋目を調べ終わる。
一応人が入れそうなタンスなどは全部調べた。
次の部屋を探していると廊下が一つだけあった。
この家の構造は廊下の右に一つ、左に一つ、奥に一つの計四つ。
スパイ映画の様に壁沿いに歩きながら二部屋目を調べる。
二部屋目は人が隠れれそうな所は無く、すぐに三部屋目に移動した。
三部屋目には隠れれそうな場所こそあったがどこにもフィオラが居なかった。
後調べていない部屋は廊下の一番奥にあった部屋だけ。
つまりはそこにフィオラがいる可能性が高い。
ゆっくりと慎重に廊下を進んで行く。
廊下がやけに長く感じる。
長い廊下を歩いている内にだんだんと恐怖心と緊張感が高まる。
もしフィオラが殺されていたら、レイブンを倒せるぐらい強い奴がいたら、誘拐犯が帰ってきたら、別の仲間が隠れていたら。
家から村に続く長い道は楽しい事が考えれて好きだ。
でも今回の長い廊下は嫌いだ、いやな事ばかり考えてしまう。
そんな事を考えていると最後の部屋の前まで来ていた。
取っ手に手を掛けて慎重に扉を開ける。
扉を開けて部屋を見渡す、この部屋にある物は薄汚れた絨毯と壁に立てかけている絵画や壺。
盗んできた物を置いている置物かもしれない。
部屋を詳しく調べ終わって嫌な汗が流れる。
フィオラが何処にも居ない。
慌てる前に顎に手を当ててよく考える。
もしかしてこの場所から移動した?
いや、それなら家の前に居た子供が見ているはずだ。
それにこの建物には窓が無かったし裏口も無かった。
移動するなら入り口からしかありえない。
もしかしたら見落しがあったかも知れない。
そう思って引き返そうとしたときだ。
「うわっ!」
ゴトンと音がして盛大に転んだ。
何かに躓いてしまったらしい。
後ろを振り返っても躓きそうなものは何も無かった。
あるとすれば絨毯ぐらい……
そう思った時だった、絨毯に大きめの正方形の段差が出来ていた。
転んだ原因はこれだ、そして普通絨毯に段差なんてものは下に何か無い限りありえない。
勢いよく絨毯を持ち上げる。
すると絨毯の下に取っ手の様な物が付いた扉があった。
「これだ! 映画とかで見た知識が役に立った!」
扉を開けると映画とかで見た階段があった。
たぶん、いやフィオラは絶対下にいる。
だいぶ目が暗闇に慣れてきた。
このまま行ける。
石でできた階段をゆっくりと下りて行く。
右手に持っている短剣をギュッと強く握りしめる。
敵が居たら倒す、そしてフィオラを助ける。
階段を下りる度にコツンコツンと音が反響してくる。
一番下まで降りると目の前に扉があった
この先、この扉の奥に必ずフィオラが居る。
思い切って扉を開けると……
「フィオラ!」
やっぱり、誘拐されたのはフィオラだった。
部屋の奥で手足が鎖で縛りつけられている。
フィオラの所に行く前に左右を確認する。
大丈夫だ、誰も居ない。
ここで油断するのは良くない、アニメとかで左右確認して安心しきっていると天井からヤられるのは何度も見てきた、しっかり天井を確認して何もない事を確認する。
大丈夫、後はフィオラを助けて一緒に表の町に出れば安全だ。
「大丈夫かフィオラ! 助けに来たぞ!」
気絶しているからか返事が無いので軽く肩を揺する。
「んんーあれ? どうしてライラスが居るの?」
「もう大丈夫だからな! 安心しろ今助けてやるか――」
「危ないライラス‼」
危ない? 何が? 何で?
そう思った、でも幾度となくこういうのは見てきた。
敵が消えたら大体後ろから出てくるし、危ないと言われれば後ろに敵が居たりする。
そう言うのは何度も想像したし妄想した、アニメでも見て来た! だから大丈夫。
短剣を持っている右手を後ろに向けて魔力を大量に込める。
使う魔術は風魔術、人を吹き飛ばせる威力まで魔力で底上げされた魔術を思い浮かべる。
「魔力全快!【ハイ・ウィンド】!」
轟音と共に自分の後ろ向きに暴風が吹き荒れる。
「なっ!?」
後ろから人の声が聞こえた。
やっぱり後ろに誰かいたみたいだ。
でもなぜ後ろ人が? 入った時に誰もいない事は調べたはずなのに。
まぁ、それも逃げる時に軽く調べてから行こう。
でも魔力で威力上げすぎて殺してたりしないよな……流石に無いと思っておこう。
後ろを振り向く、予想通り大柄な男が剣を構えて立っていた。
「え!? なん……で?」
「よぉ、クソガキ。もしかして俺が倒れてないのに驚いたか? まさか魔術が使えるガキだとはちょっとびっくりしたぜ」
え?あれだけ魔力を込めた中級魔術だぞ?
しかも敵からしたら不意打ちだ、なんでコイツ無傷で平然と立ってるんだよ。
「俺は慎重な性格でよぉ、あの使えない三人がヘマしてもいいように隠れてたって訳さ、まさかここがバレるとは思ってなかったけどよぉ」
そう言いながら男は親指を後ろに向ける。
親指の向いている方向を見ると扉の死角に人が隠れれそうな窪みがあった。
そうか、扉の死角で隠れてたのか!
「さぁ、どうする? ソイツとどういう関係かはしらねぇえが助けて俺から逃げるのは不可能だぜ? まぁ、ここがバレたからには生かしては返さねぇえけどな! 精々楽しませてくれよ! クソガキ!」
「安心してまっててくれフィオラ、直ぐに助けるからな!」
さぁ、どんな卑怯な手を使ってでもコイツを倒してフィオラを助ける!!
更新大変遅くなりました!
コロナで色々ありましたが、次回からは更新頻度戻せそうです!
次話の投稿、楽しみにしていてください!




