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新たな世界で最高の人生記録!  作者: 勇敢なるスライム
第1章 幼少期
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六十五話 圧倒的悪寒

「やっと着いたー」


 なんだろう、あれからモンスターとは遭遇していないのにどっと疲れた

 そうだよな……簡単に生き物を殺せる訳がない。

 冒険者になってもモンスターの一匹討伐出来ないって笑われるよな。


 スライムとかならたぶん大丈夫なんだけど、どうも動物に近い魔物(モンスター)はちょっと厳しいな。

 動物と魔物の違いは簡単だけど結局俺からしたら一緒だ。

 今回で言えばウサギが動物、ウサギが魔力で変異したのが魔物だ。


 主人公みたいに序盤からホイホイ討伐出来たらカッコよかったのになぁ、現実はそうはいかないもんだ。


「早い所薬屋に向かうか。今は太陽が真上だから時間で言えば二時ぐらいか、薬屋は遠いけど余裕で昼の内には帰れるな」


 地図を見ながら足を動かす。

 この町の名前は【商業の町 カロア】


 この町は俺が思っていた以上に大きい。

 城下町って言われても納得するぐらいだ。

 まぁ、入り口に合った地図には城が無かったしただの広い町って感じだ。


 道が石で補正されていて歩きやすく、横幅がかなりある。

 馬車が同時に二~三台は並んで走れるくらい広い。

 それに色々な店が並んでいる。


「おぉ! 武器屋だ! 行ってみよっと」

 クロット村では一般的な武器しか売ってなかったけどこっちはどうだろう。

 店前にはズラリと武器が並んでいて安いのから高いのまである。

 一番高い剣はいくらだろ?


 父さんから通貨を教えて貰ったから今なら剣の値段が分かるかな?

 この世界の通貨の【セシリア金貨】が一つで確か一万円だから二十枚だと……二十万!?

 剣ってこんなに高い物なのか?


 ド〇クエだと二つ目の町にある一番高い武器でも二~三千ぐらいだろ。


「どうした坊主、俺の店の武器が好きなのか?」

 長い間吟味していると武器屋のガタイが良いおっちゃんから声を掛けられた。

 確かに武器を見るのは好きだけど流石におっちゃんの武器が好きかと聞かれればノーだ。


「どうだ? 俺の店の武器は質がいいだろ? 正直に言っていいんだぞ」

「ほんとに正直に言って良いですか?」

 俺の問いに「あったりまえだ」と答える。


 俺は武器に関して詳しい事は分からないが父さんが結構良質な武器を持ってて前にもいくつか見せて貰ったし、クロット村の武器屋も見てきた、目利きだけは良い自信がある。


 棚に並んでいるのを一つ一つ見ていく。

「俺はこれとこれがいいと思う、何でかは分からないけど一番高いのは嫌いだ」

 俺が気になったのは二番目に高い奴と三番目に高い奴だ。


 二番目の武器はセシリア金貨十枚で三番目は八枚だ。


 一番高い武器はなんかわざと着飾ってるような印象で嫌いだ。

 正直に思った事を告げるとおっちゃんの目が変わって右手が伸びてきた。

 ほら出たよ、大人の正直に言ってみなさいと怒らないからは信用したらダメなんだって。


 殴られる覚悟で目を閉じて歯を食いしばる。

「坊主、良い目してやがるな。ガキの癖によく分かってるじゃねーか!」

「え?」


 てっきり売り物にケチ付けたから殴られると思ってたら頭をワシャワシャと雑に撫でられた。

「理由まで分かったなら一流だったけどその年齢でその目利きは上等だ」

「どういうことですか?」


 うん、このおっちゃんよく分からないや。

 いきなり人の頭ワシャワシャしやがって。


「俺はな、わざとしょぼい剣を一番高く売ってるのさ。だいたい素人は一番高い武器を見て店を評価する、そんな奴はお得意様になって欲しくねぇ。けど一流の奴は二番目以降を見て評価する。何でか分かるか? 坊主」


「分からないです」

「どこまでも正直な奴だな、なおさら気に入ったわ! 大体のしょぼい店はな、背伸びしたがるから一番高い武器と二番目に高い武器とじゃ質が落ちるんだよ。だから一番目と二番目を比べる、差が少なければ平均的に良いのが置いてあるからな、そういうこった」


「おっちゃんも一番高い武器は背伸びしてるって事?」

「いいや、この武器はセシリア金貨が出るような価値は無いよ。 あってもセシリア銀貨五枚ってところだな、ただ見た目だけ良いように素材選んで作ったからな、見た目で言えば二十枚が妥当だな」

 セシリア金貨が約一万円でセシリア銀貨は一枚千円、セシリア銅貨は一枚百円だ。

 日本円と違ってややこしいけど端数が無いのが良い所だ。


 一番高い武器はあまり見ていて楽しくなかった。

 男は……特に俺はカッコいい物とか武器とか見るのも構えるのも大好きだからな。

 良い武器は見るだけで楽しい。


「坊主、名前は? ちなみに俺はダイダロだ! 武器屋と鍛冶師の間じゃ結構有名なんだぜ」

「僕はライラスです」

「よし、ライライだな。ちょっとまってろよ」

「ちっげーよ! ライラスだ!」


 今の短時間でどうやって間違えるんだよ。

 ビックリしてつい素が出てしまった。

 お行儀の良い子供で居ないと父さんと母さんに示しがつかない。

 でも今は別の町にいるんだし少しぐらいは良いか。


 ちょっと待ってろと言って店の奥に入って行ってから少しして一振りの短剣を持ってきた。


「俺の店では一番良い剣だ、大人だと片手武器なんだけどライデスなら両手で使えば行けるだろ?」

「おい、勝手にデスにするな。あと俺金持ってない、しかも子供に殺傷能力ある物渡すなよ」

「気にすんなって、俺が気に入ったから上げるだけだ。危なくて怪我するってんなら家にでも飾っときな」


 文句を言う俺を無視して無理やり手に渡された。

 試しに鞘から抜いて見ると店に置いてあったどの武器よりも輝いていた。

「どうしてこれを店に置かないんだ? 詳しくは分からないけどこれならホントにセシリア金貨二十枚以上あるんじゃないか?」

「ライカスならその良さを分かってくれるか! 良い武器は俺が誰に渡すか決めるんだよ」

 素直にありがとうと告げると嬉しそうに頭をワシャワシャ撫でてきた。


「また遊びに来いよ、ライス! あっ、でも俺町を転々としてるから次来た時いないかも知れねぇ」

「名前間違えるのわざとやってるだろ……分かったよ、次あった時はちゃんと客としてくる」

「おう! 俺の武器をよろしくな! そうそう、それ結構いい素材使ってて魔力が浸透しやすいからライラスもいつか魔術を覚えた時使って見ると良い」


 へぇ、魔力が浸透しやすいのか。

 あれ? 前にと父さんに聞いた時魔力が浸透しやすい武器ってめちゃくちゃ高かった気が……まぁいっか。

「わかりました、いつか覚えますね」

 俺はそう言いながら、その場で杖と剣を構えて無詠唱で基本属性の初級魔術を()()に使って見せた。

 確かに魔術が使いやすい……これなら物凄くコスパが悪い無詠唱でも少しは楽に使えそうだ。


「おいおい、まじかよ……」

 ダイダロが呆気に取られている間に武器屋を後にした。


 まって、母さんの言う事全然守ってない。

 歩き出してから自分の深刻差に気付く。

 モンスターとも戦闘になったし、武器屋に寄り道したし……ばれたら外出できなくなるかも。


 少し焦りつつも昔に惑星保護機構に所属する地球外生命体のエージェントから聞いた名言を思い出した。

『バレなきゃ犯罪じゃないんですよ』

 便利な言葉だ。


 なんてふざけながら歩いていると気になっていた視線が消えたことに気が付いた。

 武器屋に来た時にはまだ気になっていたって事は武器屋でダイダロと話してる間に消えたって事か。

 やっぱりただの気のせいだったんだろうか。


 少し気にしつつも自分の装備が豪華な事に気づいた。

 母さんからもらった小さな杖とダイダロから貰った一振りの短剣を腰のベルトに差している。

 なんか冒険者になった気分だ。


 しかも大体のゲームの主人公は武器が一つだけしか持てないのに俺は小杖と短剣の二つ持ち。

 ようやく物語の主人公より豪華な装備になってきた。


 目指せ主人公! (すでに主人公です)


 主人公を目指すべく意気揚々と歩いていると目標の薬屋が見えてきた。

 えーっと……地図の場所と店の名前もしっかりと同じだ。


 お店に入って、言われた通りの薬を買って終了だ。

 なんかこう言う時ってだいたい大事なイベントが起こると思うけど現実では起きない物なんだな。

 神様は何やってるんだか。


 そんな呑気な事を思っている時だった。

 直ぐに自分の発言を恨むことになるなんて……


「この町で人さらいなんて珍しいねぇ」

 通りすがりの人族の夫婦の話声が聞こえてきた。


 人さらいか、父さん曰く奴隷制度が許されている所もあると言う。

 俺は悪い事や悪い奴は嫌いだ、だけど見ず知らずをホイホイ助けるような正義のヒーローに成りたいとは思わない。大切な人と自分が関わった人、悪事を見た時ぐらいしか助けない。

 こう言う事件は俺みたいな一般人が出しゃばるより騎士や自警団に任せた方が良い。


 俺はその子が助かる事を願う事しかできない。


「まぁ、さらわれたのが亜人だから良かったけどね」

「あぁ、ホントにそうだな。エルフで良かったよ」


 脳に悪寒、全身に寒気が走り、恐怖心に駆られる。

 勘違いかも知れない、知れないが……頭の中で嫌な予感と言う奴が全身に駆け巡り、気のせいと思っている事が頭の中で綺麗に繋がっていく。


 エルフの子供、最後まで付いて行きたいと言っていた事、後ろから感じる誰かの視線、そして途中からそれが消えたこと……考えていたらキリがない。


「おい! お前! その攫われたエルフの子供って緑髪じゃなかったか!?」

 感情が抑えきれずに夫婦の男の方の胸ぐらを掴んで問いただす。


「な、なんだい君は!? この手を離せ――」

「早く答えろよ‼ 緑髪じゃなかったか!? 場所も教えろ‼ 早く言えよ‼」


 頭の中が真っ白になっていく、今が冷静じゃないって事も分かる。

 それでも関係ない。


「そ、そうだよ‼ 場所は武器屋の近くだった――」

「くそっ! やっぱり気のせい何かじゃ無かった‼ クソ! クソ!」


 胸ぐらを掴んでいた男を八つ当たり交じり荒く離して走り出す。

 人族の夫婦が『いったい何だったんだよ』なんて文句はライラスの耳には入らない。


「待ってろよ! 俺が必ず助けに行くからな! フィオラ‼」


読んで頂きありがとうございます!


嫌な予感ほど当たる時ってありますよね。


次話の投稿、楽しみに待っていてください!!!

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