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新たな世界で最高の人生記録!  作者: 勇敢なるスライム
第1章 幼少期
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五十四話 フィオラといじめと二人目と

 あれからどのくらい時間がたっただろうか。

 たぶんほんの数分ぐらいしかたっていないと思う。


 俺は荒い息をしていた「すぅーはぁー」と大きく深呼吸をする。すると狭まっていた視界が広がって少し冷静になってきた。

 広がった視野で辺りを見回す、俺の周りには五人の少年が倒れている。

 死んでいるわけでは無く、ただ気絶しているだけだ。

 多分大きい怪我は無いと思う。あっても擦り傷程度の軽傷だ。


「ははは、家に帰ったら父さんと母さんに怒られるな」

「ごめんね、ごめんねライラス。僕のせいで……」

 フィオラが泣きながら謝ってくる。


「いいんだ、フィオラは何も悪くないよ」

 フィオラが泣き止んでくれないので頭を撫でてあげる。

 おかしいな、寝ている時に撫でた時は幸せな気持ちになれたのに今は罪悪感が出てきてしまう。

 いじめを根本的に解決しようとしていたのにこれじゃあまたフィオラがいじめられるかも知れないからだろうか。


 もちろん手加減はした、でもカルロスを含めた五人は気絶している。

 自分で何をしたかもしっかりと覚えている。


 少し前にいじめを止めるために暴力はいけないとか思っていた俺が暴力で解決してしまった。

 やっぱり子供になってから感情が上手くコントロールできていないと思う。

 それとも体が違うからなのかは俺には分からない。


 それにしてもやり過ぎた。


 風魔術で吹き飛ばして、水魔術で勢いよくぶつけ、殴り掛かってきた奴は中学~高校の柔道で習った投げ技で昏倒させた。


 フィオラに中級魔術はまだ早いとか言ってた自分が恥ずかしい。


 とりあえずフィオラが泣き止むまではここに居よう。

 俺が持っていたバスケットはフィオラを見つけた瞬間に落としてたみたいだ。

 フィオラが大事そうに持っていたバスケットは今も大事そうにフィオラが持っていた。


 フィオラが泣き止むまで待っていると騒ぎを聞いて駆けつけた俺の父さんが迎えに来た。


 ーーーー

 ライラス家にて。


「まずは事情を話しなさい」

 四人まで座れる机に母さんと父さんが二人で並んで座り、反対側に俺とフィオラが並んで座った。

 フィオラはずっと膝の上で握り拳を作っている俺の手の甲にそっと手を重ねてくれていた。

 フィオラに触れられて俺の手が震えていることが分かった。


 父さんが険しい顔をして俺の方を見ながら話してきた。

 俺は俯きながら淡々と事情を話す。


「おおよその事情は分かった。でもな、ライラス。何があっても暴力はいけない、それも実力差が明確な一般人相手にするならなおさらだ、分かるだろう?」

「……はい」

「ち、違うんです! ライラスは僕の為に――‼」

 フィオラが言おうとすると母さんが首を横に振って手で制してきた。


「ライラスのした事はな、間違っている。……でもな」

 父さんは歩いて俺の横まで来て俺の両肩に手を掛ける。

 さっきまでの険しい表情から一変して笑顔でこう告げた。


「ライラス、お前は力無き者を、女の子を守るために勇気を出して五対一で戦い、守ったんだ! それはとても立派で勇気が合ってなかなか人に真似できる事じゃない。お前は人として正しい事をしたんだ。俺はお前を誇りに思うよ、ライラス!」

 父さんはそれだけ言うと優しくぎゅっと抱きしめてきた。


「ううっ……! 父さん! 母さん! ごめんなさい! いけないって、ダメだって思ってても……でもフィオラが、フィオラがいじめられてるの見てたら我慢できなくて! それで……! それで……!」

 抑えていた感情が高ぶり過ぎてフィオラの前で号泣してしまった。


 最近、二人目の子供の影響でお腹を大きくした母さんが「よくがんばったわね!」と言って俺とフィオラの頭を撫でてくれた。

 母さんの自愛に満ちた表情が女神に見えた。


 かく言う父さんは「こらこら、男が簡単に泣くもんじゃないぞ!」といいながら父さんも涙を流していた。

 なんで父さんがもらい泣きしてるんだと思いながらフィオラを見てみる。


「ううっ……!よかったねぇ、ライラス‼」

「なんで……フィオラが、泣いてるんだよ」

「だってぇ!……ううっ! だってぇ!」

 父さんと母さんとフィオラに抱きしめられながらで少しの間二人で号泣してしまった。



 泣き止んでから、冷静に考えると同年代の女の子の目の前で男の俺がワンワン泣き叫んだのを思い出すとくそ恥ずかしい。


 フィオラは終始手を握りしめてくれていて今もギュッと握りしめている。

 流石に恥ずかしくなったのかパッと手を離して目を反らしてきた。


「ありがとう、フィオラ」

「う、ううん。お礼を言うのは僕の方だよ、助けてくれてありがとう。ライラスはかっこよかったよ!」

 二人でえへへと笑い合っていると父さんが咳ばらいをした。


「ごほん! これからカルロス坊の両親とかが色々言って来るかもだけど気にすんな! 後の事は俺が何とかしてやるよ!」

「本当に迷惑かけてすみません」

「良いって事よ! 子供は迷惑とか気にすんな!」

 父さん、さっきと言ってる事が違いますよ、と心の中で思う。


「ガキンチョ二人は気にせず外で遊んで来い!」


「「ありがとうございます‼」」


 ーーーー


「ライラス、本当に助けてくれてありがとうね!」

「助けて当然だよ! なんせ俺とフィオラは()()だからな!」

「しんゆう?」

「あぁ! 友達よりも仲がいい事を言うんだ! もう親友だろ?」

「うん! 僕とライラスは『しんゆう』だよ!」


「それとフィオラ、そのバスケットはどうしたの?」

「ライラスこそのバスケットはどうしたの?」


「俺はフィオラがいきなり帰っちゃったから仲直りしようと思って一緒にサンドイッチ食べようと……」

「僕もいきなり帰っちゃったからお詫びに一緒にサンドイッチを食べようと思って」


「ふふっ! 考えてる事同じだね!」

「俺たちこんなに食べれるかな?」


 なんて言いながら二人でサンドイッチを頬張った。



 そして俺は最後に一番気になる事を聞いてみる。

「あ、あとさ……なんでいきなり帰ったんだ? 俺何か悪い事したなら謝るよ」

「ち、ちがうんだ! 僕が帰ったのはライラスが悪いとかじゃなくって! その、あのー!」

 フィオラが自分の胸に手を当て、一度大きく深呼吸してから意気込んだように俺の眼を見て。


「じじ、実は僕、ライラスの事が――!」

 フィオラが最後まで言う前に家の方から母さんの悲鳴が聞こえてきた。


 二人で慌てて母さんの様子を見に行くと……


「う、うまっ、産まれる‼」

「「な、な、なんだってぇーーー‼」」

「んー?」


 俺とラウドが大きな声で驚いて、フィオラが目をパチパチさせていた。

 ライラスはこの世界に来てから休む暇が無いな、と思いながらも弟か妹かも分からないままどちらでもいいようにいくつもの名前を頭の中で考えた。


読んで頂きありがとうございます!


心も恋も成長が早いフィオラに対して! 鈍感系主人公のライラス!

今後も白熱しそうです!


次話の投稿楽しみにしていてください!!!

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