四十七話 少年と おば……お姉さん。
ハンソンを置いて行ってすぐの事。
「でも本当に置いてきてよかったんですか?」
「シャルも言ってたじゃないハンソンは頼りになるってだから大丈夫だって、ハンソンならそこまで手こずらないだろうし問題無し!」
「た、確かに言いましたけどー」
「それより先を急ぐよ、何たってさっきみたいなやつがもう一人いるんだから」
ハンソンたちが戦ってるのが四階に上がる階段の通路に行く道、つまりその先に階段があるはずだ。
一直線になってる廊下をかなり走って来たぐらいの時だ。
「師匠、何か後ろから聞こえませんか?」
「ん? そうかな?」
シャルに言われてから耳を澄ましていると少し遠めから何か聞こえてきた。
「うわぁぁああぁぁ――」
その声の主が判明する前に私達の足元に何か飛んできた。
しかも痛そうな音を出しながら。
「なんでハンソンが飛んできてるのさ……」
「いやぁ、アイツ思ったより強くてね、次は大丈夫だから先に行ってきな!」
そう言い残してまたさっきの大男が居る方に走っていった。
あ、アイツ剣忘れて行ってる。
「ハンソン! 剣忘れてるよー」
まってあれに素手で戦ったら流石に死にそうなきが……まぁ、仲間を信じてあげよう!
また長い廊下を進んでいくと階段が見えてきた。
エルトリスが階段を上ろうと一段目に足を掛けた時だった。
エルトリスの居る所に多方向から高速でナイフが飛んできた。
「へぇ、今のを避けるんだ」
どこからともなく聞こえてきたデジャブ発言を聞きつついくつかナイフを弾き、後ろに大きくステップして避ける。
「危ないなぁ~今投げた奴出てこい!」
「僕のナイフを避けるとは見事だね、その報酬に姿を見せてあげるよ」
するとずっと見ていたはずの階段の正面に少年が出てきた。
「え!?まだ子供じゃん、君いくつ?」
「う、うるさいな! おばさん! もう十五歳!立派な大人だ!」
軽くからかうと少し感情的になった。
やっぱりまだ子供だ、それに身長もかなりちっちゃい。
さてはサバ読んでるな。
それよりも……。
「ねぇ、今私の事なんて言ったの?おばさんとか聞こえたんだけど……あ?」
「ひぃ、だ、だってそうじゃないか! 僕から見たらおばさんだよ!」
「もしかして、シャルもそう思ってるの?」
シャルリアに笑顔で聞いてきた。
もちろん首を横に振った。
そしてシャルは思った目が笑ってない、本気で怖いと。
「悪い子にはお姉さんのお仕置きが必要だね、行くよシャル!」
「は、はい! 師匠!」
そこからは少年とおば……お姉さんとの攻防戦、少年が死角に消えナイフを投げ、お姉さんが防ぐ。
「あはは、このままだと僕の一方的な攻撃で僕の勝ちだよ、その女の子僕よりかなり年下じゃないか、所詮は魔力制御が少し上手いだけの子供、僕の相手じゃないね! おばさんは娘を連れてとっとと帰りなよ!」
それを聞いた瞬間二人は先ほどより続けていた攻防戦をやめ二人で攻めに入った。
シャルは魔力をより精密に操作し身体能力を上げ、エルトリスは飛んできたナイフを全て無駄の無い動きで皮膚すれすれで避け一歩また一歩踏み込む。
「ちょっとやそっと早いくらいで僕に追い付けるわけが無いじゃないか!」
少年は死角に、また死角に逃げ込み攻撃を続ける。
二人でいくら死角を防ごうがまた死角に入られる。
「君、めんどくさいよー、お姉さんもう怒らないからそろそろ出ておいでー」
「それ絶対怒るやつだよ!知ってるぞ!」
その軽口に釣られ階段正面に姿を現した。
「なんで君その年で暗殺者なんてやってるんだい? 他に道はいくらでも……」
「いくらでも無いから……この道以外無いからしてるんじゃないか!いちいち人の私情に口を挟むなよ! 僕だってしたくて殺しなんてしてるわけ無いじゃないか!」
「ごめん……無神経だったね」
「いいよ別にどうせここで殺すんだし、死ぬ人に同情されてもなんとも思わないよ」
「お姉さんを簡単には殺せるかな?」
「もうここで使って上げるよ僕の超究極最大最強完璧の必殺技を! はぁぁぁぁ!喰らえ僕の悪魔的完全無敵炸裂必殺技!」
「あれ?必殺技の名前変わってない?てか一文字もあってないよ!?」
そんな会話をしてる時だった。
「師匠、また例の音が聞こえます」
「え? また!?」
耳を澄ませてみればついさっきに聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「な、なんだよこの音は!?」
それを聞いたこと無い少年は少し戸惑っている。
「うわぁぁあぁぁーー!!! そこの君危ないよ!危ないって!どいてどいて!」
「え?」
少年が何がどうなってるのか分からないまま飛んできた無駄にイケメンなナルシストとぶつかった。
しかも肘が顔に入ってた、あー可哀想、あれ絶対痛いやつだよ。
「痛てて、あれ君大丈夫!?あー口から泡吹いてるよ!これやばいやつだって!」
飛んできたハンセンが少し慌てている。
てかなんでまた飛ばされてるんだか……。
「安心してハンセン、その子敵だから、例の二人の内一人だよ」
「え? ほんとに!? ご、ごほん! まぁ、二人とも見たかい僕の華麗な肘の攻撃を!完全に決まっていただろう?」
さっきまで慌てていたのにまたサラサラの前髪を掻き分けて決め台詞っぽく言ってきた。
やっぱりハンセン好きになれないタイプだね。
ハンセンが飛んできて直ぐにハンセンと戦っていた大男がこっちに走ってきた。
「おい貴様ぁ!最初の威勢はどうした!このままでは儂に殺されるだけだぞ!」
「やばい!アイツ追いかけてきた! あ、それよりエルトリス僕の剣が無いんだ!アイツいつの間に僕の剣奪ったんだ!?」
「あぁ~さっき飛んできたときに落としてた、今はシャルが持ってるよ」
「おぉ、シャルちゃんありがとう、この剣高かったから無くしたらやばかったよ」
「まぁ、次は勝てるから安心して先に行ってて大丈夫だ!」
もうハンセン勝てないんじゃないかと思いつつもハンソンに任せて先を急ぐ。
また飛んできたときは一緒に戦って上げよう。
もう邪魔してくるやつはいないはずだ。
後は玉座に行ったカイロウ家当主、カイロウ・ダウアスを倒すだけ。
二人で急いで階段を駆け上がる。
やばい!そろそろ早めにライラス側の話を書かないとやばい!
という事であと数話で一旦エルトリス&シャルリア達の話をきってライラス&フィオラ達の話を書こう思います!
ぜひ期待していてください!




