四十五話 玉座に急げ!
「とりあえずこいつは適当に縛ってこの部屋に置いて他の部屋を見に行こう」
エルトリスは手短に支持を出すと素早くドレスを脱ぎ捨てた。
エルトリスはドレスの下に戦闘の時に使ういつもの服を着こんでいた。
それを見たシャルリアも同じように来ていたドレスを脱ぎ捨てた。
もちろんシャルリアも下にいつもの服を仕込んでいる。
これは式典などに出る冒険者ならだれもがしている。
冒険者は自分の身は自分で守るのが当たり前、それはどんな時でも適用される。
それが例え安全と称された宿屋に泊っている時も、強くて頼れる傭兵を雇っていても同じ事。
最後の最後に自分の身を守るのは自分だ。
それが命のやり取りする冒険者に課せられた鉄則。
だからこそ、どんな式典であろうが普通のドレスを着ていく時はドレスの下に戦闘服などを着ていくし武器も隠し持っていく。
急いで部屋を出て長い廊下を突っ切っていく。
通りにある部屋を片っ端から開けていくが、やはり何人かの部屋がすでに手遅れだった。
「師匠、王様の所には行かないんですか?」
「王様はたぶん大丈夫だよ。王様はこの国随一の王国騎士たちが守っているからね、もしかしたら王様の周りが一番安全かも知れないぐらいだしね」
貴族の中には護衛の騎士たちを連れている人もいたから死んでいた人は案外少ない。
これがもし一流の暗殺者集団なら貴族達が全滅も有り得たかも知れないと思うと寒気がしてくる。
部屋や廊下にいた暗殺者は片っ端から切り捨てそのまま貴族が待機している部屋を回っていく。
貴族達には今すぐ王様のいる玉座に行くように言っておいた。
道中は王国騎士もたくさん居て事情説明と書く部屋を回るように伝えておいた。
依頼人がカイロウ家と言う事は分かったけど理由が分からない、地下水道は弟の暴走だと思っていたけどもしかして家族ぐるみで国家転覆を計ってたとかかな?
それにしては弟のオスカーは兄の事を心底嫌いっていた口ぶりだったし、シャミルとか言う魔王軍幹部の奴は弟利用して国家転覆を計っていた見たいだしカイロウ家の当主がシャミルと絡んでいるとは考えにくいしな……。
まぁ今私が一人で考えても仕方ないか。
そんな事を考えている時だった。
「エルトリスじゃないか!」
廊下が十時に分かれていた所を走っていた時に聞いた事のあるいけ好かない声が聞こえてきた。
この声は……。
「なんでハンソンがここにいるの!?」
金髪にいつもギルドに居るときの服とは違う貴族みたいな服装に腰にはいつも付けている無駄にお洒落な剣を腰に指しているいけ好かない男とばったり会った。
「僕の家庭はこの国の有力貴族だからさ、君も知ってるだろ?それよりエルトリスこそ何でここにって今はそんな悠長に話してる場合じゃないみたいだね!」
話している途中に廊下の奥から暗殺者が三人襲って来たのを私とシャルとハンソンで一人ずつ斬り捨てていく。
ハンソンは普段から自分強いアピールしてくるけどどうせ口だけだろと思っていたけど今の剣筋を見た限り実力はそれなりにあるみたいだ。
「ごめんハンソン。今まで無駄にイケメンで口だけの男だと思ってたよ……」
「え!?それひどくないかい!僕今まで嘘は付いたこと無いからな!」
「だから先に謝ったんじゃないか。それよりそっちから来たってことはそっち側は粗方片付けた感じ?」
「あぁ、いきなり襲われてびっくりはしたけどね、僕の実力なら余裕だったよ!それよりいつも猫探ししかしないエルトリスとシャルちゃんこそ大丈夫だった事が不思議だねー。何か隠し事でもしてるのかな?」
無駄にイケメンで無駄にキザだからアホだと思ってたけど地味に察しが良くてめんどくさいなぁ。
「今は関係ないからその話は無しで。って事は後は王様のいる玉座に向かうだけかな?」
「そうだね。っと言っても実力からいえば三流にも行かない子悪党を集めただけみたいだし」
「暗殺者を捕らえて話しを聞いたんだけど……今回の黒幕はたぶんカイロウ家当主のカイロウ・ダウアスだよ」
「何を言ってるんだい?カイロウ家の当主がこんな事するわけないじゃないか、それ嘘の情報じゃないかい?」
「いや、嘘ついてるようには見えなかったよ。まぁ、なりすましてこともあるから確証はないけどね」
「昔に父に連れられてカイロウ家の当主とは会ったことあるけどそんな事するような人には見えなかったけど
な……。」
「本当かどうかは本人に聞いてみるしかない感じだね、ここに来る途中で当主のダウアスさんの部屋ものぞいてきたけど本人どころか死体すらなかったし、巡回してる騎士の人たちにダウアスさんを見たらとりあえず玉座に連れてくる様に頼んできたから城からは出れないだろうしまだこの城にいるよ、とりあえず王様の安否確認と情報収集も兼ねて一度王様のいる玉座に行ってみよう」
「F級冒険者の割に指示と考えに無駄がないなーさっきの時もそうだし。やっぱり何か隠してたりして……。」
「しつこい男は嫌われるよ、それに無駄口叩く暇あるなら早くダウアスさん探して連れてきてよ、一応この国の一大事なんだからさ」
「たしかにそうだね、ここらで王様に恩を売って爵位上げて貰ったり土地貰ったりしないとね!」
「うわー考え方が汚いなー、ほんとに貴族のなの?」
「貴族のひとは皆こんな感じさ、口に出さないだけ」
確かに普通の貴族は自分の利益しか考えないし嘘つばっかりだし。
「師匠。早く玉座に行かなくていいんですか?」
「そうだった!ハンソンと話してるとなんか調子狂うなー、ほらさっさと行く!」
そういってハンソンの肩を軽く叩く。
「ほんとにエルトリスは素直じゃないね。か弱い二人はぼくが守ってあげるからね、先に行って来るから後ろについて来てくるんだ!」
ハンソンは捨て台詞のように告げて先に玉座のある方に走っていった。
「誰がハンソンに守って貰うか!シャル!私達も遅れないように急ぐよ!」
「はい、師匠!」
ハンソンを追いかけながら走っているとシャルが小声で話しかけてきた。
「師匠、貴族の人ってみんなハンソンさん見たいな人達なんですか?」
「いや、アイツが特別なだけだよ、あまり貴族達は冒険者に成りたがらないからね。貴族の子供は若い内に騎士を育てる騎士養成学校か魔術を教える魔術大学とか魔術学院に行くからね、そもそも冒険者になる理由が分からないぐらい」
「師匠、ハンソンさんは悪い人じゃないですよ? 私が一人でいる時には面白い話聞かせてくれます。もう少し優しく接してあげてもいいんじゃないですか?」
「それは分かってるけど何かむかつく」
ハンソンは確かに良い奴だし貴族なのに他の貴族とは違って人の事見下してないし、シャルに優しくしてくれる。
そういう良い面はしっかりと理解してはいる。
けどイケメンでキザでナルシストなのは見ていてなんか鬱陶しい。
「この話はいいや!ほらもうハンソンに追いついたよ」
「遅かったじゃないか、もう粗方片づけたよ」
普通に言えばいいのにキラキラの金髪の髪をかき上げた後にウインクしてくる。
やっぱりハンソンとは仲良くなれないみたいだ。
道中に襲撃してきた暗殺者達がうめき声を上げながら何人も倒れていた。
斬って動けなくはしているがしっかり急所を外している所を見ると本当に腕は立つみたいだ。
今居る所はパーティーの時、貴族達の為に用意された待機室のある二階、玉座は四階の大きな通路の奥にある。
もう少し進んで階段を上がって三階に行きまた廊下を通り階段を上がって長い廊下を通らなくては王様のいる玉座には行けない。
「師匠、なんで騎士の人達はあまり居ないんですか? 入った時はあんなにたくさん居たのに」
「たぶん王様の所じゃないかな?」
「そうだろうね、王様は自分の命を最優先に考えるからね。たとえ他の人が何人犠牲になろうとも自分が一番大事、この国の王様はそういう王様さ」
貴族だから思う所があるのか遠い目をしながら呆れ半分で端的にそう告げた。
「いいのー?貴族のあんたが王様の悪口何か言っても?聞かれたら打ち首かもよ」
「聞かれなきゃ大丈夫、貴族と言っても僕は次男で家は兄が引き継ぐし僕が王様と会う事はほとんど無いから気にする必要ないね」
貴族らしくない発言に軽く笑いつつ階段を駆け上がる。
三階の廊下に出ると直ぐに騎士達が何人か倒れていた。
鎧事切断されているものも居れば兜の隙間から血を流す者。
そのほとんどが致命傷でほぼ即死していた。
一人だけ私達に気づいてかすれた声で何かを伝えようとしたものが居た。
それを聞いたハンソンは直ぐに騎士の所に駆け付けた。
「大丈夫か!?」
「ハ、ハンソンさん……早く玉座に……」
「もういい、喋るな!傷が悪化する!」
「ダウアスさんがおかしな奴を二人連れて……ガハッ」
話している途中で大量に吐血しそのままその騎士は動かなくなった。
「くそ! どうしてこんな事に!こいつはなぁ、こいつは結婚したばかりなんだぞ!それにアイツも可愛い娘が生まれたってこの前俺に嬉しそうに話してきた、アイツも、アイツも!」
普段のハンソンではありえないくらい怒りと悲しみを露にしながら倒れた騎士達の話をして行く。
ハンソンは誰とでも仲良くなれる、いつも騎士達ともギルドで飲んでいた。
それは見習いから騎士長まで全員の名前を覚えている。
「ハンソンさん……」
「ハンソン、今は……」
「あぁ、分かってるさ。今は先を急ごうか」
さっきの騎士の情報では敵は二人、それもさっきまで相手にしていた奴らとは大違いのはずだ。
気を引き締めて行こう。
最後まで読んで頂きありがとうございます!!!
「面白いなぁー」「続きが気になるなぁー」と思って頂けたら幸いです!
次話の投稿楽しみにしてください!




