四十三話 弟子と師匠のおしゃれ
《エルトリス視点》
地下水道の事件から数週間後、クエストの難易度が大幅に違ったことで予想以上の大金が手に入った。
ちょっと多かったのでカンナとは別のギルド職員の人に聞いてみるとカンナがギルドマスターに訴えかけいたらしい。
ギルドマスターに文句言う受付嬢とか凄いなぁと思いつつ心の中で感謝しておいた。
この国を出れるだけの資金が手に入ったのであと数日したら私の弟子だったラウドの元に顔を出しに行けそうだ。
そして問題がこっちの方だ地下水道の一件は王国の中でも有力貴族のカイロウ家当主の弟が犯人だったなんて国民に話したらパニックになるからだろう、王様に呼び出しを食らった。
呼び出しと言っても私宛に手紙が送られてきて中にはパーティーの招待状が入っていた。
カンナが言うにはどんな招待状であれ招待状が無いと王様に会うどころかお城にすら入れて貰えないらしい。
呼び出された理由はだいたい分かっているから問題は無いんだけどちょっとぐらいは心配なんだよね。
もしかして証拠隠滅されたり……。
まぁ、一般兵には流石に負けないけど。
特に一人で来いと言うわけでも無かったので今回はシャルも連れていく。
めんどくさいだろうし留守番してもらう予定だったんだけど留守番するか聞いたら絶対に嫌って言われたのと地下水道の時留守番差せた事についてちょっと怒られた、一応私が師匠なんだけど毎日ご飯作ってもらったり部屋のかたずけしてくれるからシャルには頭が上がらないよ。
一応、王様に会うからとカンナが私が昔に着させられていた洋服みたいにおしゃれな服を二着用意してくれた、私とシャルの服だ。
武器の持ち込みは普通は禁止なんだけど冒険者は申請さえ済ませれば持ち込みしてもいいらしい。
そしてその申請はすでにカンナがすませてくれていた。
「カンナっていつも私達に親切だよねー ほら最初にあった時もさギルドの説明なんか色々教えてくれたし、この前も魔光石くれたしさー」
「そんなこと無いわよ、ギルドに来た人には皆平等に接してるつもりよ?」
カンナはプロ意識が高いせいで誰が見ても分かるくらい私達に優しくしてくれているのに感謝しても褒めても素直になってくれないからいつもこんな感じに軽く流されちゃう。
「とか言ってー この前ハンソンが口説こうとしたらすごい剣幕で断っていたくせにー」
「ああいう軽い感じで来られるとなんかこう、軽い女に見られるでしょ!そういう風に思われたくないの!一応皆には頼れるお姉さんでいたいの!」
いつもの大人な感じの雰囲気が外れてちょっと背伸びをしている子供のような感じになっちゃった。
もしかしたら何か地雷を踏んだかもしれないと思ったエルトリスだった。
「二人ともおしゃれして行くんだから裏に行くわよ!私がお化粧してあげるから!」
お化粧と聞いてシャルが凄く嬉しそうにしていた。
「いらないよ、私達は普通の冒険者として行くんだし……」
「や、やっぱりそうですよね……」
「あーあ、シャルちゃんがっかりしちゃったーエルエルのせいだー」
「そのエルエルって何!?もしかして私の事!?」
「そうだよーだってもうエルトリスさんって呼ぶ間柄じゃないじゃん!エルトリスだからエルエルだよ!」
凄い満面の笑みで言われたら断りずらい……。
「もう分かったよ、エルエルでいいよ。後シャルがしたかったら化粧してもいいから!」
「いいんですか!」
「どうせ綺麗な恰好で行かないと駄目なんだし少しくらいおしゃれして行って大丈夫でしょ」
「さすがシャルちゃんの師匠ですねー弟子には優しいー」
「ありがとうございます!師匠!カンナさん!」
「先に行っておくけど私はしな――」
「はやく見たいですね!師匠のおしゃれした姿!」
「え?」
「だからー!シャルちゃんは最初からエルエルのおしゃれした姿が見たかったんだよ?もちろん一度言ったんだからやっぱり無しっていうのは無しだからね!」
断りたいけどシャルの前で嘘つく師匠は見せたくない……。
「わかったよ!好きにすれば!」
「やったね!シャルちゃん!」
「はい、カンナさん!」
一通おしゃれされた後。
「おしゃれしたら凄いだろうとは思ってたけどエルエル凄いね、なんで普段からおしゃれしないの!?」
「化粧とか面倒だし、冒険者にとっては邪魔だし、あと私自分じゃできないし」
「シャルちゃんも今のエルエルすごく可愛いと思うよね!?」
「はい!お姫様みたいです!」
さっきから二人の視線が鋭い。
理由はカンナに化粧とかでおしゃれされたからなんだけど。
「あ、あんまりジロジロ見ないでよ……ずっと見られるのって結構恥ずかしいんだから!」
「絶っ対!今度からおしゃれした方がいいって!周りの人の見る目変わるよ!」
「見る目変わるって、普段周りの人って私の事どんな風に思ってるのさ!」
「えっとねー、目つきが悪くて、基本無口だし剣幕凄いし、最近ヤッカムさんとかジェイソンさんとかハンソン……は変わらないか。まぁハンソン意外と話すようになってから周りの人に誤解されなくはなったけど第一印象結構怖いよー、近寄りがたいって言うか話かけるなってオーラが凄いい出てる感じだね!」
「う、うそだよ!……私、頼れる師匠でいたいから出来るだけお淑やかに振舞ってたのに!ねぇシャル!私って怖くないよね!?」
「その剣術の時はちょっと怖いですけど、他の時はすごく優しいです!でも初めて話す人とかは勘違いしやすいとは思います」
「け、剣術の時は!熱が入るというか何と言うか……もう少し普段から優しそうに行くべきかな?」
「い、いえ!師匠は今のままが一番いいです!」
「ほんとう?このままでもいいかな?」
「はい!時に優しく時に厳しい師匠が一番カッコいいです!」
「えへへ、シャルが言うならそうするよ」
弟子にとことん優しくて弟子に弱いエルトリスを見て額に手をあてて、やれやれ思うカンナだった。
おしゃれが終わった後に一応カンナから説明を受けた。
私は、と言うか王国に住んでいる人には常識だけど辺境の村育ちのシャルは知らないので軽く説明だ。
だいたいの王国は貧民、平民、貴族や王族の住んでいる三つの区画にに分かれて生活している。
私達がいつもいるギルドは貧民街と平民街の間に属している。
私達が普段見る服装と言えば傷だらけの鎧や服を着ている冒険者、汚れた服を着ている貧民、綺麗でもなければ汚い訳でもない普通の服を着ている平民、少しおしゃれな制服を着ているギルドの受付の人、白と青で着飾った綺麗な王国騎士の鎧姿くらいだ。
貴族達、上流階級の人たちが住んでいる貴族の領域に入るとギルドの風景とは全く違った景色だった。
その景色をみた二人は全く違った感想を浮かべていた。
初めて見る綺麗な街並みに感動している少女が一人。
昔の嫌な記憶が遡り少しの嫌悪感を抱く女性が一人。
さっきから横でその少女がはしゃいでいる。
「すごいです!すごいです師匠!歩いている人みんながキラキラ輝いています!すごい綺麗ですよ!」
「はい、はい、綺麗なのは分かったから一度落ち着いて深呼吸してみよう!」
そう言われるとシャルが大きく『すぅーはぁー』と深呼吸をした。
落ち着きましたと言わんばかりのドヤ顔でこっちを見てきたけど全然落ち着けずに目をキラキラ輝かせてはしゃいでいる。
シャルは辺境の村育ちだからこんな感じの風景は初めてなのか……。
「いいなぁー私もあんな風に……」
ボソッと、よく聞いていないと分からないような小さな声でそう呟いた。
剣術に没頭しててもやっぱり根はまだまだ年相応の女の子だしね、私だったらシャルに教えてあげれなかった、カンナには感謝しないとね。
「シャル!一度自分を見てみるんだ。シャルは凄い可愛いし、カンナにおしゃれして貰ったし、今は他の人より輝いてるよ」
シャルは自分なんか可愛くないと思っている節があるけど今まで色々な国の美人な人をみてきた私はその人達以上にシャルは可愛いと思っている。
「ほ、本当ですか!」
「あぁ。本当だよ、だからもう少し落ち着くんだ」
「分かりました!ありがとうございます、師匠!」
シャルが移動中凄いキョロキョロ辺りを見渡しては「あれは何ですか!」と聞いてきたから一つずつ説明しているともうお城の門前に着いた。
昔、この国に来た時に遠目からは見た事あったけどいざ間近で見ると迫力が違った。
私が生まれた国の城よりは少し小さいけど私が今まで見てきたどのお城より気品があり迫力があった。
流石は美と装飾品にたけている国だけはある。
後は王様主催のパーティーに顔だして王様に話しを聞くだけだ。
最近シャル&エルトリスの話多めに書いていますがもう少しでライラスパートの話に戻ります!
でもこれからも両方書いていきますしこれからも登場人物が増えていくので楽しみにしておいてください!
次話の投稿楽しみにしていてください!!!




