四十二話 ターニングポイント エルトリスの。
これは私の昔の話。
私はとある王家で生まれた第一王女。
王女となる為、なんでも出来るように子供の頃からたくさん教え込まれた。
私にとって王女になるための稽古は苦痛で仕方なかった。
でも唯一剣術の時間だけは大好きだった。
特訓すればするほど強くなっていく実感があった。
私は剣術以外は苦手であまり褒められた才能が無かった。
剣術の達人になるために必要な要素は三つあると教えられた。
力、技術、そして魔力、この三つが無いと達人の域には届かない。
魔力の適正検査を受けた時だった、結果を聞いた時目の前が真っ暗になったのを今でも覚えている。
私は魔力が全く無かった。
魔術が使えないならまだよかった。
魔力を直接使う事で身体能力を上げることが出来るからだ。
魔術は魔力を別の物質に変えて使うから色々の属性がある。
魔術が使え無くても魔力の使い道はいくらでもあるからだ。
そしてこの世界で魔力が使えない人は落ちこぼれ扱いされる。
苦手でも他の事は少しなら出来る、ただこの世界に必須の魔力が無かった。
父と母が求めた王女像は何でもできる王女だった。
魔術は愚か魔力すらない私は剣術以外は出来なかった、出来るように頑張った。
苦手な政治もダンスも、話し方立ち振る舞いも。
それでも私は期待されなくなった。
そして私は王位継承権が無くなった。
私が必死にしている間に妹が生まれた。
父も母も周りの人たちも私の事を全く見てくれなくなった。
私は悔しかった。
もう一度見て貰おうと努力した。
妹が大きくなって来たころに妹が才女と持てはやされた。
私と違って何でも出来た、それに私が欲しくて欲しくてたまらなかった魔術も妹は持っていた。
そして魔術にも才能があった。
私の完全上位互換、私が唯一勝っていたのは私の大好きな剣術だけだった。
強くなればきっと私も認めて貰える、そう自分を騙して全身が悲鳴を上げても頑張った。
そうして私は子供ながらにして技神流も力神流も上級になった。
もうどの宮廷剣術士も私には勝てなくなった。
魔力で強化された相手とは身体能力では勝てなかったが技術で捻じ伏せた。
私には剣術の才能があった。
これだけは妹にも勝っている自信があった。
これだけは……これだけは譲れない。
そう思っていた矢先に父から告げられた。
妹に剣術を教えろと言われた。
嫌だったどうしても嫌だった、でも父の命令は絶対だった。
そしてもう一つ絶望的な命令を受けた。
姉妹という事を隠すように言われた。
妹を周囲の人間を妹が第一王女だと宣言した。
私の存在が消された。
希望も夢も何もかも……。
そうして最初の授業の時間が来た。
初めて妹と面と向かって会った。
今までずっとはなされて育っていたからだ。
妹は可愛かった、純粋な目をして私を師と慕ってきた、この世の理不尽さを全く知らないような目だった。
最初は嫌々教えていた。
でも剣術を学んでいる妹を見ていると昔の自分を思い出した。
ただ純粋に剣術を楽しんでいた、強くなっている自分に嬉しそうに剣を振っていた。
そして思い知らされた、私は剣術を全く楽しめていなかった、その時点で既に妹に負けいた。
全て負けていると分かると今まで悩んでいたことが割とどうでも良くなった。
感情を押し殺して妹に剣術を教えている時だった。
私に希望の光が差し込んだ。
王国に最強と名高い剣術士が来た。
王女という立場を伏せ、フードで顔を覆い壁に飾っている模造刀を持ち出した。
本当にその人が強いか、そして自分の実力を示すために……。
結果から言えば、勝負にすらならなかった。
悔しさより、喜びと期待が上回った。
すぐに弟子入りを志願した。
断られると思っていたけど師匠が変わっている人で良かった。
なぜか爆笑した後に事情も聞かずに連れて行ってくれた。
私は皆に、両親と妹に内緒で国を立った。
師匠との出会い、それが私の分岐点だ。
読んで頂きありがとうございます。
更新遅くなり申し訳ありませんでした!
次の話は早めにします!
次話の投稿楽しみにしていてください!




