三十八話 地下水道調査その1
エーデンス王国 冒険者ギルド
二人の駆け出しFランク冒険者がクエストボードの前で必死に稼げるクエストを探していた。
「師匠、なんでこんなにペットの捜索が多いんですか?」
そう言ったのは、金髪ロングで透き通った碧眼の幼い少女 名前をシャルリア。
その少女は村を盗賊に襲われ間一髪の所をとある女性に助けられた。
そのとある女性がもう一人のFランク冒険者。
「私も聞きたいよ、何でペットがこんなに逃げ出すんだよ!」
そう言ったのは、黒髪ロングに輝いた翠眼の大人の女性 名前をエルトリス。
「師匠、とりあえず何かクエストを受けましょう!そうしないと近々宿無しご飯無しになってしまいます!」
「そ、それはまずい!私毎日シャルの作る美味しいご飯が食べたいよ!」
そうは言っても毎日毎日猫や犬を探し回っても一回のクエストで稼げるのは一日の宿代払ってお釣りが少しだけ。
ご飯代や日用品なんかも買わないといけないので結局は赤字だ。
しかも一日でクエストクリアできるかも分からない。
このままじゃ本当に食料に水も無しの状態で長旅をしないと行けなくなる。
ギルドの人ももう少し雑用の仕事をしないとモンスターとは戦わせてくれない
モンスターと戦って報酬を貰って素材を売るにはまずは最低ランクのFランクから抜け出してEランクに上がらないといけない。
そしてEランクに上がるにはFランクの仕事をたくさんしないとEランク昇格の許可を出してくれない。
「何かいいクエストはないのかなぁ~」
そう思いながら探しているとクエストボードの端っこにある依頼書が目に入った。
「し、師匠!このクエストFランクでも受けれてしかも報酬が他のクエストの五倍はありますよ!」
「ほんとかシャル!」
シャルリアは師匠に依頼書を手渡した。
「地下水道の……調査?何でこんなクエストが他の五倍もするんだ?」
「よく分からないですけどチャンスですよ!他の人に先に取られる前に受けましょうよ!」
「何か怪しいな~このクエスト、まぁ王都だし問題は無いかな?よし!取り合えず受けてみよう!」
そう言って二人はいつもお世話になっている受付嬢の所に持って行った。
「すみません!カンナさん!今日はこのクエスト受けます!」
「あら、シャルリアさんとエルトリスさんじゃないですか、毎日ご苦労様です!」
カンナさんと呼ばれた受付嬢は元気が良くて笑顔で対応してくれる頼れるお姉さんだ。
髪は茶髪のポニーテールで年は師匠と同じくらいかな?
師匠って何歳なんだろ?と思いつつ何となく聞いてはいけない気がしたので口には出さないようにした。
カンナさんは師匠とも仲が良くてよくクエスト効率的なやり方や助言をくれる、まぁペット探しだけど。
カンナさんは師匠と私の事を本当の初心者だと思って気を使ってFランクでいるように言ってはくれるんだけど、師匠は剣術の達人だし私は師匠の弟子だしもっと難しいクエストも受けたいんだけど師匠があんまり目立ちたくないらしくてコツコツFランクから始めている。
「こちらこそいつも助言ありがとうございます!カンナさん!」
「カンナ、私たちはそろそろ稼ぎに行くよーほら!Fランクでも受けれて他のクエストの報酬五倍!これは稼げるよ!」
「え!?他の報酬より五倍!?ちょっとそれ見してください!」
「う、うん」
カンナさんは驚きながら師匠から少し強引に依頼書を取って見てみる。
「ほんとですね、確かに正式な依頼書です。でもなんで……」
「へへーん、日頃の行いがいいからだね」
「エルトリスさん。はっきり行ってこのクエスト怪しいですよ!地下水道の最奥に行って帰ってくるだけで他のFランククエストの報酬5倍だなんて!」
やはり師匠と同じくこのクエストを怪しんでるみたいだ。
確かに私だって怪しいとは……少しぐらい……思ってた……もん!
「私だって怪しい事ぐらいわかってるよ!でもお金ないし……」
「師匠、危ないなら他のクエスト行きますか?」
師匠と私が居れば問題ない気もするけどなぁ~。
「いや、カンナ!心配してくれて嬉しいけどさやっぱり受けるよ!シャルがご飯食べれなくなるのは私嫌だよ。このクエストは私一人で……」
「ダメです!」
「シャルリアさん、危険かも知れないから今日はお姉さんとお留守番しよ?ね?」
「嫌です!」
もう一人になんてなりたくない。
師匠とずっと一緒がいい。
「シャルお願いだ。もしかしたら何かあるかもしれない」
「私は師匠の弟子です!そして師匠の次に強いです!」
「確かにシャルは強くなったよ、私が思っていた以上に。でも経験が足らないし地下水道は狭いから一人の方が動きやすいんだ」
「……」
「わかってくれるだろ?」
「――――わかりました」
「ありがとう!シャル!」
ーーーー
(エルトリス視点)
地下水道前
それにしても行って戻ってくるだけなんて本当に怪しいな。
たぶんだけど何かモンスターが潜んでいて、でも討伐依頼なら大金を出さないと駄目だから調査してきてもらってついでにモンスターも討伐してもらう。
私が考えている中で一番ありえる考えだ。
私なら敵の巣に潜って敵の有利な局面で全方位囲まれてだいたいは勝てる。
でもシャルは慣れてないし、私もカバー仕切れるかわからない。
それとシャルとはぐれてしまったら探しながら倒しながらは流石の私でもたぶん無理だ。
私が武者修行していた時はよくモンスターと戦っていた。
不意打ちもされたし、寝床を襲われたり、食料が底を尽きたり。
危険な時や命を失いかけた時もあった。
今思えば笑い話に出来るけど当時は必死だった。
シャルには確かに経験が足らないから置いてきたが実は本当の理由が他にあったりもする。
こんな事行ったらシャルに怒られるかもしれないけど、私はシャルに危ない事はして欲しくない。
出来ればあの時、シャルと初めて会ったときに孤児院にあずけるべきだったのかもしれない。
シャルは優しい子で家事もできるから本当なら結婚して普通の家庭を気づけたんじゃないのかもしれない。
危ない事はさせたくないと思ってしまうのはエゴなのかな。
一人寂しげに考えつつ地か水道の門を開く。
エルトリスの装備は動きやすい服に左腰には安物のショートソード、右腰には小さめのグラディウス、ブーツの縁には隠しダガーが一本。
エルトリスは普段はショートソードだけの一刀流だか状況に応じてグラディウスを使う。
ショートソードとグラディウスの二つを使い分けている。
ブーツの隠しダガーはその両方が使えない状況に陥った時に使うのだがほとんど使っていない。
しかし念には念を入れておけと昔師匠に言われてからは一番気に入っているのは隠しダガーかもしれない。
「――とりあえず始めるか!」
【クエスト発生!】
地下水道を調査しよう!
地下水道はこの国の全ての水をパイプで通して最後に行き着く場所だ。
もちろん吐瀉物なんかも大量に流れている。
とても言い表せる物が無いくらい臭かった。
シャルを置いてきて正解だったよ。
地図を見た感じ地下水道は少しいりくんでいて迷子になりそうだ。
入った感じ特に何も問題はなさそうだけど……慎重に行こう。
地下水道は真ん中に水が流れていて両端に歩く所があった。
水の流れる音と私の足音がコツンコツンと反響して聞こえる。
地図を見ながら暗い地下水道を松明で照らしながらゆっくりと進んでいく。
歩いているとカランと音を立てて何かが足に当たった。
「うわっ!何々!?」
慌てながら松明を照らして足元を見てみる。
「なんだただの骨か――って何でこんなところに骨なんかあるんだろ?」
辺りを見てみると人の骨が大量に落ちていた。
いくつかの落ちている頭蓋骨を手に取って見ると何かの違和感を感じていて頭を悩ませていた時だった。
地下水道の奥からカタカタと音が聞こえてきた。
「誰だ!」
返事は返ってこない。
エルトリスは右腰に差している鞘に手を付け軽く深呼吸をした。
シャルリアと一緒の時や他の人に見せる楽観的なキャラから一変して凛々しくそして目は鋭く変わる。
これがエルトリスの戦闘スタイル。
素は楽観的なのだが戦闘中、こと稽古に置いては特にこんなか感じだ。
これは師匠の真似をしている内に癖になってしまった。
シャルには真似してほしくないな。
私は清く、正しく、そして美しい師匠なんだよ!
なんて心の中で思いつつ辺りをもう一度見渡してみる。
地下水道の道はそこまで広くないのでショートソードでは取り回しが悪いか……。
そう思い右腰に差しているグラディウスを右手で引き抜き空中で半回転させてから構える。
特に名前の決まっていない適当な構えで歩き始める。
グラディウスを構えながら進んでいくと『カラカラ』という音が大きく聞こえてきた。
音が聞こえる方向を見ると人影が写った。
それでもエルトリスは話しかけずにその人影の足元に松明を投げ込んだ。
「うわっ、スケルトン……しかもナイトじゃん」
スケルトンは人骨に何らかの影響で魔力がこもってしまったモンスター。
因みに皮膚や肉なんかが残ってる遺体ならスケルトンじゃなくゾンビになる。
肉体どころか骨まで無くて魂だけになったときに魔力がこもると物理攻撃と普通の魔術が効かないやっかいなゴーストとかになってしまう。
普通のスケルトンはEランクと雑魚だけどナイトやソルジャー、アーチャー、ガーディアンなんかが付くとランクが上がってD級になる。
個人だとあんまり強くないし一体居たところであんまり変わらないんだよね。
ナイト・スケルトンは剣と盾を持っている。
アーチャーは弓、ソルジャーは長剣、ガーディアンは大盾。
こんな感じで持っている武器が違って前衛後衛に分かれて来ると非常に面倒で厄介なんだよ。
あっ、この話しシャルにも聞かしてあげたかったな。
帰ったら聞かせてあーげよっと。
スケルトンに近づいてグラディウスで横薙ぎに斬りつける。
型も何も無いただの力業。
それでも常人が見ても綺麗だと分かるほど鮮やかな一撃。
スケルトンはいつ斬られたかすら理解出来なかっただろう。
切ったスケルトンの骨を見てさっきも感じた違和感の正体が掴めずムカムカしているとまた奥から『カラカラ』と音が聞こえてきた。
「まぁ、何体も居るのが自然だよね」
このクエストを出した人の意図が分かった気がした。
たぶん討伐依頼なら、それもC級のモンスターが要るなら結構お金がかかるからFランククエストの探索を、名目にして来た冒険者にスケルトン達を退治してもらおうとかそんな感じだろう。
他のFランククエストより五倍だと損しているように聞こえるがCランクモンスターがうじゃうじゃ居る所の探索か討伐ならもっとお金出さないと駄目だから五倍でもお得なんだろう。
冒険者関係の話はカンナから聞いたからそれを考えれば納得だった。
C級モンスターがいるのにFランク冒険者が受けれるとか詐欺じゃん、私じゃなきゃ危なかったよ。
後でカンナさんに言っておこっと。
さぁ、もっと奥に進もう!
スケルトンはこの私が全滅だー!
最後まで読んでくれてありがとう!
『面白い!』「次話が楽しみ!」【早く書け!】
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次話の投稿楽しみにしていて下さい!!!




