三十六話 向かう先はクロット村
私の名前はシャルリア、五歳の時に村を盗賊に襲われた。
運よく生き残ったのは私だけだった……。
盗賊に襲われていた時にある女性が私を助けてくれた。
その女性の名前はエルトリス。
とても素敵な名前だと思った。
師匠は最初、隣町の孤児院に連れて行ってくれると言った。
私は力が欲しかった、そして師匠は強かった。
村の大人達が手も足も出なかった相手をいとも簡単に倒してしまった。
私は師匠と一緒が良かった。
師匠は「私はお母さんの変わりになるような事はできないんだよ。料理もまともに作れないし……」と言った。
私はお母さんからいつでも好きな人と結婚出来るようにと掃除、洗濯、炊事の全てを教えて貰った。
それが結果的に結婚相手の為に使う物では無かったけれど私には都合が良かった。
「私、料理作れます!洗濯も、お掃除だってできます!弱音も吐きません!私を弟子にしてください!お願いします!」
後から思ったけど師匠はたぶん最初は子供の嘘だと思っていたんだと思う。
最初の頃全然頼ってくれなかったからだ。
師匠はだいぶ渋った後に一言「分かったよ」とだけ言った。
色々あったが今は師匠と一緒に旅をしている。
師匠は剣術の達人だった。
それは素人の私が見ても昔に見た村の傭兵とは話にならないほどだった。
師匠の剣術はとても鮮やかで美しかった。
ただ強いだけじゃない、完璧だと思った。
私はそんな師匠の弟子になったのだと嬉しかった。
自分も師匠の様になりたいと思った。
しかし私の予想以上に大変な道だった。
師匠は稽古の時だけは厳しかった。
私は約束した通り師匠の前では弱音は吐かなかった。
今なら言えるが正直に言う師匠の稽古はとても辛かった。
師匠の攻撃は軽く当たるだけで痛かった。
そして何度も何度も吐いた。
それを2年の間続けた。
その間、盗賊や追い剥ぎに何度も遭遇したが私一人でも楽勝だった。
泊まった町や村に道場があればそこで師匠と二人で道場破りをしていた。
私は幼い体だけど道場生にも負けなかった。
年齢が10歳離れていようが私は勝った。
師範代だろうが私は勝った。
私は師匠以外には負けたことが無かった。
これからも師匠以外には負けないと思っている。
私がそう思っているのを師匠は分かっていた。
私の作った朝食を食べながら次に行く所の話し合いをする。
「師匠、次はどこに行くんですか?」
「実はもう決めているんだ」
「どこなんですか?」
「辺境の地、クロット村だ」
師匠は詳しく説明はしてくれなかったがクロット村?には師匠の知り合いがいるらしい。
誰だろう?
師匠は自分の事は聞いても全然話してくれないから誰にあいに行くのか分からなかった。
師匠が説明してくれたのは一言だけ。
「シャルより強いやつがいる」
私はそれを聞いた途端、自分でも分かるぐらい機嫌が悪くなった。
シャルリアは師匠の事を尊敬している。
シャルリアは師匠の事を信頼している。
シャルリアは師匠の事が世界最強だと思っている。
そんな師匠に教えてもらっている自分も師匠に劣るが物凄く強いと思っている。
要は天狗になっているのだ。
師匠は天狗になっているシャルは一度負けないと分からないと思ったのだ。
シャルリアの師匠のエルトリスは思った。
シャルは私を信頼しすぎている。
私は力神流、技神流の両方を極級まで体得している。
この世界では魔力を使って身体強化をしながら戦うのが当たり前だった。
魔力で強化するのなんて誰でも出来るはずなのだ。
しかし私は出来なかった、私は魔力がほんの少ししかないのだ。
だから努力して技術だけで勝たなければならなかった。
もちろんだいたいの人には勝てる事は間違いないのだが。
私は弟子をあまり取らない。
剣術しか教えて上げれないからだ。
今まで弟子を取ったのはシャルリアを入れて合計3人。
私は剣術しか教えれない。
だから凡人に教えても実戦では役に立たない。
私が教えるのは天才だけだ。
今まで私が教えて来た奴は皆天才だった。
シャルリアもその一人だ。
私が教えなくても勝手に感覚で魔力の使い方が分かるので教える必要がない。
シャルリアは魔力の使い方が鮮やかなほど繊細に使える。
だから七歳と言うまだまだ子供でも師範代に勝てた。
もう一度言おう、シャルリアも天才だった。
私は魔力を一切使わずに二代剣術の両方を極級まで登り詰めた。
しかし私より強い奴を私はたくさん知っている。
つまりシャルを倒せる奴は数えきれないぐらいいる。
私はとある二人の弟子を育てた。
一人は剣術、魔術の両方の天才だった。
もう一人は剣術に特出した天才だった。
そして私はとても酷い人間だった。
二人の天才すぎる弟子を持った凡人は弟子に嫉妬していた。
妬ましく、悔しく、羨ましい二人の弟子に抜かされる事を私は恐れていた。
教えるのを途中で投げ出したのだ。
エルトリスはその二人の弟子を教えるのを投げ出してからシャルリアに会うまで弟子を一人も取らなかった。
また誰かに抜かされるのが怖いからだ。
成功しかしてこなかった人間はいつか失敗した時立ち直れなくなる。
シャルリアには敗北感を味わって貰おう。
確かアイツはクロット村で結婚していたと聞いた。
一人の息子も授かったらしい。
年は確か今は五歳ほどか。
二歳年下だがアイツの子供だ。
きっと私より……。
その後の事を考えるのは怖くて出来なかった。
今いる所からだと数ヶ月で付くだろう。
朝食を食べ終わり。
旅に出る身支度をすませる。
さぁ、向かおう私の弟子のいる元に。
辺境の地、クロット村に。
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次話の投稿、楽しみにしていてくでさい!




