三十話 フィオラが嫌いな広場の話
庭で遊んだ日から2週間がたった。
フィオラには魔術を教えながら文字の読み書きも同時に教えていった。
ちょうど魔術教本は使う文字が多かったからすぐに文字を読めるようになった。
さすがに書きを教えるのはまた今度にしておこう。
今では初級までなら使えるようになった。
驚いたのはフィオラも無詠唱で魔術が使えた事。
父さん曰く、無詠唱はできる人とできない人で別れるのだとか。
でも詠唱した方が魔力を込めれるから時と場合によって使い分ける人が多いらしい。
フィオラの威力が高かったのは風魔術と水魔術、苦手な魔術はなかった。つまり全部にプラス補正が掛かっている、大概チートだな。
俺は今まで見たかぎり得意な魔術が一つもなかった、代わりに不得意な魔術も一つもなかった。
うーん。ガチャしてちょっと強い外れ枠引いた気分だ。
まぁ人生はそう簡単じゃないよな。
俺もチート能力とかあれば楽なんだけどな。
フィオラは魔術が使えたとき凄い満足していたし教えた事は正解だろうけど、5歳児に魔術を教えてもいいのだろうか。
俺の実年齢は、って実年齢って行ったら俺がサバ読んでる見たいになるな。
まぁ、合計年数は20歳ぐらいだけどチンピラ見たいな盗賊?に母さんが襲われそうになった時は感情に任せた暴れてしまった、結構やり過ぎたとは思っている。
今度会ったら謝っておこう。
初級魔術は辺り所が悪くても怪我ですむが、中級魔術以上だと使い方次第ではあっさりと人の命を殺めてしまう。
俺でも感情に身を任せてしまうようなのに五歳のフィオラに中級魔術を教えると何かがあった時にやり過ぎてしまうかもしれない。
まぁ、もう少しよく考えておこう。
ーーーー
「そろそろフィオラちゃんが来る時間じゃないのか?」
「今日はお昼からですよ」
今は父さんと剣術の稽古中だ……やっぱり父さんは強い。
何回斬りかかっても片手で弾かれてしまう。
色々考えて戦ってはいるんだが、どうも勝てない。
そろそろ一回は当てたいんだけど……
「うわぁっ!」
考えすぎて転んだ。
「おいおい大丈夫か?」
「だ、大丈夫です」
「今日はそろそろ終わりにするか」
お昼まではまだ結構時間が空いてしまった。何しよう。
ってすることはだいたい決まっているんだけどな。
フィオラが中央区の広場には行きたくないと言った。
その理由がどうしても気になるので今の内に調べてみようと思う。
【クエスト発生!】
中央区にある広場に行ってフィオラが行きたくない理由を探れ!
っとまぁ一人でぶつぶつと言いながら剣術稽古後のお片付けをしている。
水で汗を流して、用意していたタオルで体を拭く
上の服を着て腰のベルトに杖をさして、準備オッケイ!
さぁ、出発だ!
ーーーー
中央区は家から村まで続く長い道を通って村の北門から入ってすぐの所にある。
この村の中心には小さく綺麗な噴水が置いてある。
その噴水には素人が見ても凄いと分かる天使の彫刻が施されていた。
こんなのあったんだ。
知らなかった。
彫刻を色々な角度から眺めてみると後ろに何かが書かれていた。
文字が薄れていてよく読めないが一部だけ読み取れた。
「ファイス」
作者の名前、なのかな?
彫刻を見る限り、素晴らしい彫刻家なのは間違いないだろう。
この名前は覚えておこう、ファイス。いつかこの広い世界で会えるだろうか。
違う違う!今は中央区の広場を調べに行く途中じゃないか。
あやうく本題を忘れるところだった。
早く広場に行かないと。
フィオラと遊ぶのはお昼から、出来れば広場を調べに行ってるのはフィオラに知られたくない。
早めに調べて、早めに帰ろう。
噴水から少し歩いた所に広場はあった、俺が思っていたより広かった。
そりゃ日本とは違って遊具がないもんな。広いわけだ。
子供が何人か遊んでいるくらいで特に違和感もない。
ましてや微笑ましいと思うくらい良いイメージだ。
フィオラはここの何が嫌だったんだ?
少し考えてみる。
もしかしてフィオラはこの場所が嫌だったというよりここにある、他の何かが嫌だったんじゃないのか?
例えば大きな怪我をしたとか。
でもそれだけであんな悲しそうな顔をするものなのか?
いまいちピンとこない、もう少し詳しく調べてみよう。
とりあえず聞き取り捜査だ!
「ねぇねぇ!君たち!少し聞いてもいいかな?」
俺が走りながら話しかけると皆が小声で「あの子誰?」「知ってる?」「俺知らない~」とか話している。
ひそひそ話が終わると一人の少年が俺の方に歩いてきた。
「な、なに?」
お!話してくれた。
無視されなくてよかったー。
「俺、ライラスって言うんだよろしく!」
「僕はペンタ。で、何かな?」
「ペンタ君はさ、緑色の髪の毛でとがった耳をしている子をしってる?」
俺がそう言うとペンタ君は顔が少し怖くなった。
ビンゴ!これは何か知ってるな。
「そ、そんな女の子知らない」
「ほんとに?」
今度は目を反らして返事をしなくなった。
「じゃあ何でその子が女の子だって知ってるの?俺は緑色の髪で耳が尖った子って言ったんだよ?一度も女の子とは言ってないよ」
俺がそう言うと分かりやすいように反応してくれた。
「え、えっと、それは」
「お願い!教えてほしいんだ!」
「わ、わかったよ」
「ありがとう!ペンタ君!」
「実はね、昔はたまに遊んでたんだ、フィオラちゃんでしょ?」
「うん」
「でもね、遊んでる時にカルロス君が来たんだ」
なんだそのゴーンしそうな名前は。
「カルロス君って?」
「僕たちより年上でね、体も大きくて、それで喧嘩も凄く強いんだ」
「うんうん」
「カルロス君がね、他の子をいじめてたんだ。石や泥を投げたり、叩いたりしてたんだ」
「……それを助けたのがフィオラだったのか」
「そうなんだ。おかげでその子はカルロス君に虐められなくなったんだ、代わりに虐められたのが」
「フィオラなんだな」
「う、うん」
日本ではよくある話だ。
虐められている子を正義感の強い奴が助ける。
そうすると虐めの対象が変わる。
虐められていた子や、それを見ている子は自分が虐められたくないからただ見ているだけの傍観者になる。
虐められている子からしたら、見ているだけの子も虐めてくる奴も同じに見える。
でも自分が虐められたくないのはみんな同じだ。
これに関しては悪い奴は一部の人だけ。
虐めをしている奴だけだ。
ペンタ君はフィオラと最初から仲良くしてくれていた。
「ペンタ君は優しいんだね」
「そんな事ないよ、僕はフィオラちゃんが虐められているのを知ってて無視したんだ、きっと嫌われちゃったよ」
「確かに嫌いになったかもしれないけど、気持ちを込めて謝ればフィオラならきっと許してくれるよ」
「そうかな?」
「ああ、もちろんさ」
「わ、わかった!今度謝っておくよ!じゃあね!また今度遊ぼうよ!」
「ああ!今日はありがとう!」
とりあえず事情は分かった。確かに初めてフィオラにあったときに虐められてるって言ってたな。
理由は亜人族で女の子だから虐められてたんだってフィオラは言ってたけど、多分勘違いだな。
本当はただ気にくわなかっただけだと思う。
問題はカルロスだ。今すぐ調べたいが今日は時間がないから調査はいったん終了だ。
早く家に戻らないとフィオラが家に来る。
また時間が空いたら早めに調べておこう。
フィオラは友達の俺が守ってやる!
最後まで読んで頂きありがとうございます!
不定期更新で申し訳ありません!
少しでも「面白いな!」と思ってくださった方はお気軽にコメントなどしてくださると作者が喜びます!
次話の投稿お楽しみに!




