二十八話 場所探し
「じゃあ準備してくるからリビングで少し待っててくれ」
「わかったよ!」
さぁ、勢いで教えるとは言ったものの俺はフィオラに魔術を教えれるのか、少し自信はないがやるしかないか。
えーっと、何を持って行こうか。魔術の本と、杖と後は……ってそれしかないか。
準備もできたし早くフィオラの所にいくか。あまり待たせ過ぎたら悪い。
階段を降りてリビングに行くとフィオラと母さんが何か話していた。
「やっと来たわね、ライラス。こんなに可愛い女の子を待たせるのは良くないわよ?」
案の定母さんに注意された。
「分かってますよ母さん。次からは気を付けます」
「ぼ、ぼくは全然大丈夫だよ?」
「なら良かったわ!」
そろそろ父さんが帰ってくる頃だ、フィオラといたら絶対に冷やかされる。そうなると面倒だから早めに移動しよう。
「じゃあ母さん、フィオラと遊びに行ってきます」
「ええ、あまり遅くにならないようにね」
「分かりました。じゃあ行こうか、フィオラ」
「うん」
ーーーー
家を出てすぐの事。
「ライラス、今から何をするの?」
「フィオラの魔術の特訓だな」
「ほんとに?」
「ああ、本当だ!約束しただろ?」
「うん!」
魔術の話を言うとフィオラが笑顔になった。フィオラは魔術が大好きだ。
フィオラが笑顔になってくれるとこっちまで嬉しくなってくる。これは魔法だろうか魔術だろうか。
守りたい、この笑顔。なんてな(笑)
そもそも魔術と魔法の違いがいまいちよくわかっていない、まあ呼び方の違いなだけだろうけど……
「とりあえず!まずは場所探しだ!早く見つけたらその分早く魔術が使えるようになるぞ!」
「わ、わかったよ!」
でも本当に俺が人に物を教えれるのか?俺も魔術は完璧に使えるわけじゃないしな。
とりあえず最大限頑張ってみるか。
「ねーねーライラス。魔術ってどこでなら使えるの?僕必死に探すよ!」
「そうだなー、周りに人がいなくて、できれば草や木が少なくて、広めな所で、動きやすい所だな!」
「うぅ、なかなかそんな場所ないよー」
それは俺も思うが、俺はその条件に当てはまる場所を一つだけなら思いつくんだが。
家の庭なんだよなー。正直庭でもいいんだが、もう少し考えて本当になかったら、その時は諦めて庭に戻ろう。どうせ,いつかはラウドに冷やかされるんだし。
「まぁ、とりあえず村に行ってみよう、何か思いつくかもしれないしな」
「うん!」
それから、いつもの長い道を歩きながらフィオラと魔術の事を話した。
「ライラスはなんで魔術を習おうと思ったの?」
「ん~そうだな、だいたいはフィオラと一緒だな」
「やっぱり魔術ってカッコいいよね!早く僕も使いたいなぁ~」
「そのためには早く場所を見つけないとだな!」
「が、がんばるよ!」
そんな感じで話しながら歩いていると、すぐに村の前に着いていた。
「さぁ、どこでするか。フィオラは良さそうな所は思いついたか?」
「ひ、一つだけなら、あるんだけど……」
「けど?」
「やっぱりなんでもない……ごめん」
「ん?まぁ、ないんだったらまた探せばいいだけだから、あんまり気にするなよ」
俺だって単純に家の庭は嫌だから、人の事が言える立場じゃないしな。
「とりあえず、村の中を歩いていたらいい所も見つかるだろ」
「じゃあ、まずは中心にいかないとだね」
「……それもそうか」
確かに村の中心から探した方が効率がいいな。
なぜか5歳児に判断力で負けた気がする、フィオラは頭の回転がはやいのか?まぁ単純に俺の頭の回転が遅いだけか。
入り口から少し歩くともう村の中心についた。
この村は村と言いつつ結構広い、村は三つの地区に分けられている。
人が多く住んでいる『居住区』、海に近く商業が盛んな『商業区』、そのどこにも繋がってる村の中心が『中央区』だ。
区域に分けているだけでこの村の規模が分かる。
村の中心には小さな噴水がある。控えめだけど綺麗な噴水だ。
「ねぇねぇ!次はどこに行くの?」
「んーそうだな、今はお昼前だから商業区にでも行ってみるか」
「人が少ない方がいいんじゃないの?」
「魔術を使う所はそうだけど、まずは村の人に聞いてみた方が早く見つけれるかもしれないだろ?」
「そっか!村の人なら知っている人がいるかもしれないもんね!」
「ああ、俺らより長くここに住んでいるんだし遊ぶ場所の一つや二つ知ってるだろ」
と、意気込んではいたのだが、色々な人に聞いて回った結果から言えばそこまで該当する場所はなかった。
その中で良さそうな候補は中央区にある公園のような広場だけだった。
他は近くに道があったり、周りが畑だったりとフィオラが魔術を失敗した時のことを考えると魔術の練習に向いている場所がなかった。
「残念だったね」
「まぁ少しは候補が見つかったじゃないか」
「……?どこ行くの?」
首をかしげて聞いてきた。うん、かわいい。
「聞いた話どおりなら中央区にある広場なら練習できるかも知れない」
「……そこやだ」
「え?」
「あそこは……行きたくない」
フィオラにどこがいいか聞いた時なにか変だったのは事だったのか。
でも何で行きたくないんだろ?行きたくない事情があるんだろうけど何か分からない。
「行きたくないんだったら他の所に行けばいいだけだよ」
「……ごめんねせっかく見つかりそうだったのに」
「大丈夫だからあまり気にするな」
フィオラはコクリとうなずいただけだった。
フィオラと過ごした時間はほんの少しだが少し分かった事がある。それは暗い時と明るい時が分かりやすい事だ、言い換えたら気持ちが凄く顔に出やすい。
今みたいに暗い顔をしているって事は何か広場にあるんだろう、今度一人で広場に行ってみるか。
「なら俺の家の庭に行こう、そこならいいだろ?」
「……うん」
「じゃあ戻ろうか」
俺が手を出すとフィオラが握ってきた。不安な時は人に触れるのが一番だからな。
家に戻る時は魔術の話をして帰った、フィオラに少し元気が戻った気がした。
投稿遅くなってすみません!
続きが気になった方は次話の投稿楽しみにしてください!




