二十六話 フィオラを家まで送り届けろ!
父さんから話を聞いた所、俺とフィオラが襲われたモンスターの名前は『トロール』と言うらしい。
父さん達は『ジャイアントトロール』と言うトロールの上位種と戦ったんだとか。
トロール種は治癒力と攻撃力が高いモンスターでトロールはC級、ジャイアントトロールはA級。
E級並みの力の俺がC級と戦うとか……無理ゲーだな。
まぁC級モンスターを足止め出来ただけでいい方か……
災難だったが忘れよう。
それより今の俺はしなければ行けないことがある。
フィオラを家まで送り届けるのが今回の任務だ。
「じゃあ行こうか、フィオラ」
「うん」
フィオラと一緒に家を出る。
フィオラを家まで送り届ける事になった、まぁ俺から言い出した事だけど。
そうして家から村まで続く長い道をフィオラと一緒に歩く。
「どうしてこの道はこんなに長いの?」
なんだ?童話の赤ずきんか?俺はおばあさんじゃないぞ。
「この道だと村と海が見渡せるだろ?その景色がキレイからだよ」
これはこの前ラウドから聞いたから間違いない。
「ちょっと長すぎじゃない?」
「それは俺たちがまだ子供だからだよ」
「僕子供じゃないのに~」
十分子供だけどな……これが背伸びってやつか。昔は俺もよく親に子供扱いするな、とか言ってたな。俺の実の両親……実の両親って言ったらラウド達が実の親じゃないみたいに聞こえるな、前世の親か。
俺の前世の親は元気にやってるだろうか……俺が死んだ事を悲しんでくれているだろうか。俺は結構やんちゃしてきて親に迷惑かけたからな……せめて死ぬまでに少しぐらいの親孝行をしてやりたかったな。まさか前世に未練があるとは……俺は昔から生まれる世界を間違えたんじゃないかと思ってしまっていた。
法律というルールで雁字搦めに縛られて、衛星によって二十四時間監視されて、生まれた時には世界はもうすでに誰かに探索され尽くされている。理不尽過ぎやしないか?と
考えすぎるのは俺の悪い癖だな、もっとプラス思考に行こう。もう俺がいる世界は違うのだから……たぶん前世の親は元気にやっているだろう、いやそう思っておこう。
「この道を歩くと少し考えさせられるな」
「ライラスは何を考えていたの?」
「昔の事だよ、こことは違う世界の事」
「ん~うん?」
よく分かってなさそうだ、そりゃそうか。分かられたら怖いわ。
そんな感じで話しているともう村の入口についた、話していると意外と早いものだな。
「フィオラはどこに住んでいるんだ?」
「んー、お店がいっぱいあるところの近くに住んでるよ、あと海も近くに見える!」
商業区か……村の中心から南だから……このまま真っ直ぐ歩くだけか。
商業区を目指して歩いていると、色々な人が手を振って挨拶をしてくる。俺もたま~にされるがほとんどはフィオラだ。
「よお!フィオラちゃん!今日は元気そうだね!ほれ、これ食べな、採れたてでおいしいよ!」
そう言って今も果物屋のおじさんからリンゴを貰っていた。
「えへへ、リンゴ貰っちゃった。僕、リンゴ好きなんだ」
フィオラが噛みつくとリンゴからシャリッと音が鳴る。
「ん~やっぱりおいしい!」
すごく美味しそうに食べている、幸せそうだ。
フィオラが食べているのは皮が真っ赤ですごく水々しい、見ただけだおいしいリンゴだと分かる。
でも俺が知っているリンゴとちょっと違うんだけどな、形とか味とか……理由は環境の違いだろうけど。味は似ているから問題なしだ。
何故だかは分からないがこの世界にもリンゴは存在する。まぁたぶん世界を作った神様が同じだっただけだろ。神様がいるかは知らないけど。
「ああ、そうだな。甘酸っぱくておいしい。リンゴは俺も好きだ」
そう言うとフィオラが足を止めた。
「……ライラスも、いる?」
少し考えて首をかしげながら聞いてくる。ほんとに仕草が可愛いな。なんだか妹が出来たみたいだ。
「いいのか?フィオラはリンゴ好きなんだろ?」
「ライラスは大事な友達だから、特別だよ」
またドキッとしてしまった。なんでだ?……まあいいか。
「ありがとう」
俺も一口貰う、やっぱりだ見た目通り甘酸っぱくて美味しかった。
そしてまた歩き始めた。
❖
リンゴをもらった後は8人に挨拶された。
フィオラは人気物だ。
商業区に来てから歩く人がよりいっそう増えた。
区画に分けているだけあって土地は広いし、人も多い。
ただ人が多いわけじゃない、村全体がいつも活気づいている。
「この村の人たちは本当にみんな元気だよね」
「ほんとだな、笑ってない人がいないぐらいだ」
「えへへ、僕たちも笑顔だね!」
「そうだな。でもフィオラはいつも笑ってるだろ?」
「僕はライラスにあってから笑う事が増えただけだよ、昔は親の前でもあまり笑わなかったんだ……」
そうか、フィオラは亜人族というだけで同年代からはいじめられてるって言ってたしな。いじめは辛いだろうな……
少し話ながら歩いていると海が見えてきた所でフィオラがいきなり立ち止まった。
「ついたよ、ここが僕の家なんだ!」
フィオラが指差した方を見る。
フィオラの家はこの村の平均サイズよりは少し大きかった。
屋根の色は薄緑でフィオラの髪に似ている。とても綺麗な色だ。
「フィオラ、今まで笑わなかった分、俺がフィオラを笑顔にしてやるよ!」
「……ありがとね、ライラス!」
「フィオラも、俺と友達になってくれてありがとな!」
こうしてライラスとフィオラはより仲良くなったのだった。
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