二十四話 死闘
今回は少し長めに書きました!
気軽に見ていってください!
《~ライラス視点~》
あれ?おかしいな、視界がせまい、全身に激痛が走る。
どうなったんだっけ?記憶が曖昧だ。
フィオラが俺を見て泣いている。
「ラ……ラス…!……ラス!…………でよ!……ラ……!」
フィオラが何かを言っているがうまく聞き取れない。
限界だ、もう目を開けていられない。
意識と視界が完全に消える前に一瞬翼の生えた可愛い天使が見えた。
気がした。
俺、また死ぬのかな?
❖
時は少し遡る。
ライラスがフィオラに魔術を見せてすぐの事。
「ねぇ、ライラス。ライラスはどうして魔術を覚えようとしたの?」
魔術を覚えた理由か……なんでだっけ?普通に憧れていたから、かな。かといって五歳でずっと憧れてるって何か変だよな。
「特に理由はないけど、俺も便利そうだから、かな?」
「そうなんだ、何か特別な理由でもあるのかと思ってたよ」
う~ん、一応特別な理由ああるんだが……まあいいか。
そんな感じで雑談でもしながら歩いているときだった。
「ねぇねぇ!今何か聞こえなかった!?」
フィオラがおびえた口調でそう言った。
「特に聞こえなかったけど……」
「本当だって!何か聞こえたんだよぉ!ちょっと耳を澄ませてみてよ!」
エルフは耳がいいから普通の人が聞こえなくてもエルフであるフィオラなら分かるのかもしれない。
言われた通りに耳を澄ませてみる。
『グルルルルゥ』
「あっ、ほんとだ!何か聞こえた」
獣?の様な不快な鳴き声が聞こえて来た。
でもおかしいな、ラウドとこの森い入って、モンスターを見つける度にラウドの説明を受けていたが今のような鳴き声は聞いたことがなかった。ラウドも『この森にいるモンスターは全部教えた!』って言ってたしやはり今の鳴き声は聞いたことがない。
「だんだん近づいてくるよぉ!」
「フィオラ!俺の後ろにいるんだ!」
さっきより鳴き声が近くまで来ている……。
な!?いきなり鳴き声が後ろから聞こえてきた!次は横から!また後ろからも!もしかして一体じゃなく数体にいるのか!
よく考えろ。未知のモンスターが数体いる、数は聞こえた限りで多め、どうする?
森の奥まではまだ結構ある、5歳の体、しかも二人じゃ走って行くのは危険すぎる、モンスターが俺たちより足が遅いとは考えにくい。
戦うか?それもだめだ。相手がどんなに強いかもわからない敵が同時に来る、しかもフィオラを守りながらなんて今の俺には絶対に無理だ。
もっとよく考えろ!
とにかく相手の位置をしっかり確かめよう。
もっと神経を鋭くし、耳を澄ます……くそっ!草木が擦れる音がして正確な数と位置が分からない。
相手はまだ警戒しているのかまだ襲って来る気配がない、とは言え時間はもうほとんどない。
もっとだ!もっとよく考えろ!
謎が解けたのは頭がパンクしそうなときだった。
「ライラス、何か変だよ。」
「何が変なんだ!?」
「いろいろな所から声が聞こえてるけど、同時には聞こえないんだ」
「一体のモンスターが移動しながら鳴き声を上げているという事か!」
もう一度よく耳を澄ましてみる。……確かに鳴き声が聞こえた後に、移動した音が聞こえる。
「助かった!フィオラのおかげで謎が解けたよ!ありがとう!」
「うん!」
しかしピンチな事には変わりはない。これが不幸中の幸いと言うやつなのだろうか……
鳴き声が聞こえてから、移動して次の鳴き声が聞こえるまでの間隔を測る。
正面から聞こえた。1,2,3,4、次に後ろから聞こえた。
正面から後ろまでの移動時間はおよそ4秒。かなり早い。
高い木の上を自由自在に移動出来て、スピードが速い、おまけに移動しながら鳴き声をあげることによって自分たちが複数いると勘違いさせて来るような知恵がある。
結構モンスター階級の高い、それもC~A級ぐらいのモンスターで人型、知恵がある、多分サルに近いモンスターだろう。走って逃げていたら確実に捕まっていたな。これだから異世界のモンスターは怖い。
逃げるのは不可能。なら戦うしかない。
やはり遠距離にいる敵との戦いは魔術を使うのがいいだろう、先手必勝だな。
使う魔術は中級土魔術、手の平を向けて狙いを定める。杖を使って普段より先を尖らせて貫通力を上げた。
「【土槍】!」
当たった!多分だが足に命中した。
移動中に当てたのでその場に落ちてきた。戦うのに上からいつでも襲って来られるというのは非常に怖いので助かった。
木の陰からソイツは出てきた。
おいおい嘘だろ、こんなやつが俺達の周りをぐるぐる移動してたのかよ。
見た目は予想通り人型のサルやゴリラに近いモンスターだった。
なにがやばいかと言うと、体が2メートルぐらいある事だ。
今の俺たちは1メートルぐらいだから体格差はおよそ二倍。力だけなら確実に負ける。
剣術は役に立ちそうにないな。魔術も俺は基礎の攻撃魔術しか使えないからな。
「ど、どうするの!?ライラス!」
フィオラにだけは怪我をさせ無いようにしないと。俺の大切なこの世界で初めての友達だからな。
俺が囮になってその間にフィオラに父さん達を連れてきてもらうか……今はちょうど森の奥にフィオラが一番近くて、人型のモンスターは一番遠い、フィオラが走って俺がモンスターの妨害をすれば、もしかしたらうまくいくかもしれない。
「フィオラ、今から森の奥に向かって走るんだ」
そう言いながら森の奥の方向を指さした。
「ライラスは、どうするの……」
「俺は、アイツの足止めをしておく。その間に父さんたちを呼んできてくれ」
「嫌だよ!ライラスを一人にはできいないよ!ライラスも一緒にパパの所に行こうよ!」
「お願いだ。頼む、二人で行くとフィオラを守れないんだ、今の俺にはフィオラを守る力がない」
「で、でも………………うん、わかったよ!絶対に魔術を教えてね!」
フィオラの目が変わった。怯えていた目から一変して力強い目をしていた。
魔術を教えてと言ったのは、生きて会おうと言う意味だろうか……そう思っておこう。
フィオラが走りだした。それと同時にモンスターも俺に向かって走ってきた。
これで大丈夫だ、と思った時だった。
モンスターを見たときになにか凄く嫌な予感がした。何かが変だ……目線だ!モンスターは俺を見ていなかった、俺の後ろで走っているフィオラを見ていた。
「戻ってこい!!!フィオラァァァ!」
叫んだ時にはモンスターは跳んでいた、高く高く、フィオラの正面めがけて。
やばい!死ぬ、俺の友達のフィオラが死ぬ。あのモンスターに殺される。そう悟った。
その時、頭より先に体が動いていた。
俺がした行動は、中級風魔術の【強風】でフィオラを俺の方向へ吹き飛ばして、俺の横に来たところで逆向きに風を送ってその場で止める。
それと同時にモンスターの着地地点に中級火魔術の【火炎】と初級風魔術の【風】の複合魔術を使った、ただ単に火の威力を上げただけの魔術だ。
そのモンスターが地面についた瞬間ソイツの体が激しく燃える。それと同時に中級土魔術の【土壁】で密室になるように囲む。これで木に火が移らない。そして前世でもし魔術が使えたら、と俺が考えていた必殺技の一つが使える。
「うわゎあ!ってあれ?どうしてライラスが横に?あれ?あれ?それに痛くない」
一歩遅れれば俺のせいで死んでいた。よかった、本当に。
「ごめんフィオラ、俺のせいで危ない目にあって、ほんとにごめん!」
「ん?どうして謝るの?ライラスは僕を助けてくれたじゃないか!僕がありがとうって言う所でしょ?」
「それでも……」
「ありがとう、ライラス!」
フィオラがはにかんでそう言った。フィオラの笑顔はなぜか元気が貰える。おし!頑張るか!
「フィオラ今度は俺のそばにいてくれ、俺、頑張って守るよ!」
「うん!」
これで少しはダメージが入っているはずだ……できればこれで死んでてくれれば助かるんだが。
願いは叶わず、俺が作った【土壁】は数秒で破られた、予想以上に速かった。がしかし俺の必殺技が炸裂する。
大きな爆発音と共に再度そのモンスターは激しい炎で焼かれた。
これが俺の必殺技
「【逆気流】!」
密室で火事になった時に大量の酸素がいきなり入ったら大爆発するユ〇バーサル・ス〇ジオ・ジャパンでお馴染みのアレだ。
魔術を使えば火災が起きたときなどでしか起きない【逆気流】がすぐに起こせる。
俺の勝ちだな。
そう思った時だった。
火が消えて煙が立ち上っていた、その煙からソイツは出てきた。
所詮動けるだけだ……どうせすぐに倒れる。
「おいおい、嘘だろ。なんで無傷なんだよ……」
ソイツは無傷だった、あれだけ焼かれて、動けることすらできないはずなのに無傷だった。
いや、よく見ると所々ダメージは食らっている、が回復している。ゆっくりだが確実に回復している。
俺はたぶんコイツには勝てない。なら父さんを頼ろう。
中級土魔術の【土塊】を放つため手のひらを空中に向ける。しかし普通の【土塊】ではなく杖の特殊効果の魔術操作を使い。中身を空洞にする。その中に初級火魔術の【発火】を入れる。
【発火】は遠隔操作ができて自分のタイミングで火をつける魔術だ。普段はほとんど使われることはない魔術なのだが、今回は一瞬で火をつける【火】や、勢いが強い火を出す【火炎】より初級魔術の【発火】の方を使う。
そしてもう一つ、【発火】と同じく中に中級風魔術の【旋風】を入れる。【旋風】は風を高速回転させる魔術だ。
その二つの魔術を【土塊】の中に入れて放つ。
初級の魔術でも使えるやつはいくらでもあるからな。無駄に範囲の広い魔術や威力の高い魔術を使うよりは初級や中級などを多用した方が使う魔力が少なかったりするので強いと思う。
飛ばした【土塊】は高速で空中に飛んでいき、指を鳴らす。その瞬間空中で小さな爆発が起きる。
これでラウドが分かってくれるといいのだが。
あとはラウドが来るまで時間を稼ぐだけだ。
だがそれまで耐えれるだろうか、もう魔力が切れそうだ。
杖を腰に差して反対側の腰に差している木剣を引き抜く。
「フィオラ、離れていてくれ」
「わ、わかった!」
フィオラが俺の後ろ側にある木陰に隠れた。
これでフィオラは俺が立っている以上は安全だ。
「さぁ来いよ化け物、俺が相手をしてやるよ」
もちろんはったりだ、正直に言うと怖い、また死ぬかもしれない。すぐにでもここから逃げたい。
しかし俺が逃げればフィオラは殺される。
どんなに怖くても友達を見捨てて逃げるのは嫌だ。
そのモンスターは俺の前まで走ってきた。
木の剣を構える、中段構えだ。
敵の攻撃一発目、真っ直ぐに殴り掛かってきた。剣の平たい部分で受け流す。
なんて威力だ、剣のベテランのラウドに教えてもらっているので5歳の力でも攻撃の受け流しはしっかりとできているはずだ。それでも肩が外れそうなほどの衝撃が腕に来た。
二発目も真っ直ぐ殴り掛かってくる。体制が崩れていたので、受け流せない。剣の平を使ってガードする。
頭がおかしくなりそうなほどの衝撃が体の全身を走った。
そのままフィオラが隠れている木に目掛けて吹っ飛ばされた。
「がはぁっ……」
肺にあった空気すべてが衝撃で血と一緒に吐き出された。
たぶん肋骨が何本か折れてるに違いない。
「だ、大丈夫!ライラス!」
フィオラが慌てて駆け寄ってきた。
「きちゃ、だめ、だ……かはっ……に、げろ」
「なに言ってるのさ、友達を、君を置いてなんて行けないよ!」
やばい、あたまがぼ~っとしてきた。
❖
そして時は繋がる。
あれ?おかしいな、視界がせまい、全身に激痛が走る。
どうなったんだっけ?記憶が曖昧だ。
フィオラが俺を見て泣いている。
「ライラス!ライラス!死なないでよライラス!僕たち友達になったばかりじゃないか!」
・・・
こうしてライラスは気絶した。
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次話の投稿、楽しみにしていてください!




