二十三話 森の調査! 友達編
《~ライラス視点~》
ラウドが森の奥に走って行ってすぐの事だ。
さっきまで泣いていた子が泣き止んで今は切り株の上に座っている。
短髪で緑の髪に輝いた翡翠色の目。緑の髪は深い緑ではなく透き通った薄い緑だ。
この子を見た第一印象はキレイで可愛い……だ。
これで男だったら俺は絶句するな。
「大丈夫?怪我とかない?」
「う、うん。でもパパが……一人で……」
「……君のパパは強いのかい?」
「うん!パパはすっごく強いよ!」
「なら大丈夫だ!」
小さい子供ってどう接したらいいんだったっけ?
って今は自分も小さい子供か。年上じゃないんだ同じ目線で話さないとな。
「君の名前を聞いてもいいかな?俺はライラスだ」
「僕はフィ、フィオラ」
「フィオラか。とても可愛い名前だね」
「あ、ありがとう……ライラス、君?」
「ライラスでいいよ」
「わ、わかった」
「フィオラ。いきなりなんだけど、俺と友達になってくれないか?」
「どうして……僕と?」
「俺友達いないんだ、ダメかな?」
自分からボッチ宣言するとかなんか悲しくなってきたな。フィオラが友達になってくれなかったら一生ボッチな気がする……
「でも村の子供たちは『亜人族の女とは友達になんかならない!』って言われたんだ。髪は緑色だし耳が長くて馬鹿にされるんだ。ライラスは嫌じゃないの?女で亜人の僕と友達になっても」
父さんが言うには、亜人族は昔は差別がひどかったものの最近は亜人も人もそんなに変わらない。と言う風潮ができているみたいだ。
特に俺たちが住んでいる【クロット村】では差別はないのだが……やはり子供は残酷なのか、素直なのか。自分達と少し違うだけでイジメの対象にされる。
「ああ!もちろんだ!俺はフィオラと友達になりたいんだ。性別も種族も関係ないよ!それでもダメかな?」
「いいよ!僕も友達いないんだ。ライラスが初めて!」
フィオラははにかみながらそう言った。
少しドキッとしてしまった。気のせいだ!俺はロリコンじゃない!
いや、ちょっと待てよ?今はそんなに歳は変わらないんじゃ……
「フィオラって今は何歳なの?」
「ご、五歳だよ?ライラスは?」
「俺も同じだ!」
こっちの世界で出来た初めての友達は同い年でエルフの女の子か。
できれば嫌われたくないな。
「フィオラはエルフだよね?お父さんかお母さんがエルフなの?」
「うん、パパがエルフでママは人族だよ」
人族とエルフのハーフなのか。
フィオラは人より少し耳がが長いだけだから純血のエルフはもっと耳が長かったりするのだろうか?
「綺麗な髪と耳はお父さん譲りなのか」
「ら、ライラスって変わってるね……僕はこの髪と耳は嫌いなんだ」
「どうしてだ? カッコよくて可愛いし凄く良いじゃん」
「だってこれのせいで友達出来ないもん」
「でも今一人出来たじゃないか、俺じゃ駄目だった?」
「ううん……ライラスが良い」
首をぶんぶんと横に振って答えた。
「とりあえず君のパパの所に行こう、俺の父さんも向かったからそこが一番安全だ!」
「わ、わかった!」
こうしてライラスは初めての友達のフィオラと共に森の奥に向かったのだった。
ーーーー
森に歩き始めたのだが、フィオラが後ろをぴったりとくっついて来ている。
「フィオラはどうして森に来たんだ?」
「お父さんの後をついて来たんだ、……こっそりとだけど。ライラスは?」
「俺も似たような感じだ。俺の場合は許可を貰ったけど」
「ほんとなの?僕の場合は絶っ対にダメって言われたのに……ライラスだけずるいよ」
そう言いながらフィオラが口を尖らせている。なにそれ可愛い。
「ずるいって言ってもフィオラも付いて来てるじゃないか」
「僕は見つかって怒られたもん……」
「この森は危ないからね。五歳の子供が来たら危ないよ」
「ライラスも五歳じゃないか」
ほんとだ、俺も五歳だった。なんか五歳の実感がまだない。
俺は話すのも、走るのも、魔術や剣術を習うのも他の子供と違って早いと思う。
「俺は多少のモンスターが来ても一応戦えるし、危なくなったら逃げれるからな」
「ライラスは強いの?」
「強くはないけどんだけど……うーん、説明するより見た方が早いか……【ファイア】!」
ぼうっという音とともに俺の手の平に小さな炎が漂う。
初級の火魔術だ。
「すごい!すごい!もしかしてそれって魔術?パパが時々見せてくれるんだ!ライラスも使えるんだね!」
「ああ、初級の火魔術の【ファイア】だよ」
「しょきゅう?何それ?」
そうか、まだ五歳には早かったか。
「お父さんには教えてもらってないの?」
「うん、『フィオラにはまだ早いな』って言って教えてくれないんだー僕だって教えてくれれば分かるのにー」
「初級ってのは魔術の強さを表すものだよ、確かにフィオラにはまだ早いかな」
「もー!ライラスも同じ年じゃないかー」
そう言いながらまた口を尖らせた。仕草がいちいち可愛い。
「そんなに魔術が習いたいの?」
「パパが魔術は便利だって言ってたしそれに、カッコいいから!ライラス、僕に魔術を教えてよ!」
カッコいいか。それはわかる。昔は俺も憧れた、魔術や剣術が使いたいと。だからフィオラの気持ちが痛いほどわかる。
「いいよ!早いかどうかはやってみないと分からないからな!」
「ありがとう!ライラス!」
教えて上げると言うと、さっきまで可愛く口を尖らせていたのが嘘のようにパァーっと笑顔になった。
まるで天使のように。
ーーーー
この森が本当に危険なら子供二人でいるのは危ない。早く合流しないと。
俺達を置いて行ったのはたぶん森の奥でフィオラのお父さんが強いモンスターと戦っているから一緒に行く方が危ないと思ったからだろう。
つまり俺がすればいいのは、フィオラを守りながらゆっくり森の奥に行ってモンスターを倒した後に合流すること。
早く行き過ぎて俺たちが標的になるのが一番まずい。
俺は冒険者の階級で言えば一番下から二番目のE級だそうだ。
F級冒険者の仕事は町の掃除やペット探し、畑を荒らす害獣駆除などの小さい仕事でたまにF級のモンスター退治の依頼が来るらしい。
E級の仕事は村や町に出てきたモンスターの退治、森で増えすぎたモンスターの退治など弱いモンスター退治の依頼が多くなってくる。
ラウドは俺ならF~E級のモンスターを倒せる、という事らしい。
この森はF~E級のモンスターがほとんどでD級モンスターのネイルウルフが森で一番強い。
ネイルウルフ以外なら倒せるからこそ俺にフィオラを任せたのだろう。
「魔術ってどんな種類があるの?」
「魔術には火、水、風、土、回復に、えーっと解毒とか、まぁ色々だな」
「ごめん、全然わからない……」
これは魔術以前に色々と一から教えないといけないみたいだな……
「ねぇねぇ、ライラス!僕ってどんな魔術が使えるのかな?」
「んー、フィオラは風魔術や水魔術かな?」
俺の知っているエルフは森と共に生きていて、自然に愛されている。だから水と風は使えるだろうと思う。
「……それってどんな感じの魔術なの?」
やはり実演した方がいいのかな?
「ちょっと手を出してみて」
「わかった!」
まずは水魔術のウォーターをフィオラの手を持って手に当てる。
すると。
「きゃあ!」
「えっ、うわ!」
いきなり冷たくなってびっくりしたのかフィオラがこけそうになった。そして手を持っていた俺も一緒にこけた。
顔が地面に打たないように両手を地面につく。
目を開けると、フィオラの顔が目の前にあった。寝転んでいるフィオラの上に俺が四つん這いになっているのだ。
数秒目を合わせる。
「「ぷっ、あははは!」」
二人で笑いあった。
「すごく冷たいね!」
ウォーターを放ってすぐにこけたので二人ともびしょびしょだ。
「ああ、すっごく冷たいな!」
さきに立ってフィオラに手をだす。それを掴んでフィオラが立ち上がる。
「そうだ、もう一つ風魔術を見せるよ」
「うん!」
風を起こす魔術と熱を起こす火魔術の複合魔術を使う。複合魔術は最近になって父さんから教えてもらった。
複合魔術は魔術を二つ混ぜて使う魔術の事だ。
今回は風と火を掛け合わせてただ暖かい風を出すだけの魔術だ。
普通に風を出してから、その風を火魔術で温まればいいのだがそうすると二工程掛かってしまう。
複合魔術は同時に発動するので一工程ですむ。
俺は結構感覚でできたが、父さん曰く魔術を同時に使うのは難しいらしい。
フィオラに暖かい風をあてる。
「すごいあったかいよ!ライラス!」
少しの間温風を当てるとすぐに服が乾いた。これで風も引かないだろう。
「ライラスってすごいんだね!さっきまで冷たかったのにもう冷たくないよ!でも、僕にもできるかな?」
「フィオラならできるようになるさ!」
なぜそう思ったかは分からないけどフィオラならできるという確信があった。
「僕、がんばるよ!ライラス!」
フィオラははにかんでそう言った。本当に天使のように素敵な笑顔だ。
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