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新たな世界で最高の人生記録!  作者: 勇敢なるスライム
第2章 少年期
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百十三話 3人の戦闘スタイル

【伝説のデザート】見つける高難度クエストをクリアしてから三日が経過した。

 今日はお昼過ぎにティアと会う約束をしているのでそれまでに今丁度進行中の腕が魔力によって異常に発達したD級モンスターのアームベアの群れを早い所片づけないといけない。

 モンスターは基本群れると依頼のランクが上がっていく。


 私達の冒険者ランクは最低ランクのF級からC級まで上がっている。

 コツコツ依頼達成数を増やしたのもあるがD級からC急に上がったのは二年前、未発見の花型の化け物を討伐してサンプルを提出したからだ。

 ギルドからの信頼度がかなり上昇した証拠だろう。

 きっとギルドの情報網でカンナには伝わっているはずだ。

 他人の功績を純粋に喜べる子だから飛び跳ねて喜んでいるカンナの姿は容易に想像できる。


「ミナ君、そっちに一匹逃げましたよ!」

「了解! 僕の伝説級本気炸裂奥義を見してあげるよ! 食らえ!」

 ミナとすれ違ったアームベアは死んではいないけど動くことは無かった。

 すれ違う一瞬で動くのに必要な筋や筋肉を的確に斬っていた。流石は元暗殺者、力に頼らないその戦い方は人であってもモンスターであっても変わらない。


 そう言えばミナと初めて会った時もそうだけど時折変な技名を叫ぶんだけど大体一文字も合っていない。

 初めて会った時は超最強だか悪魔的だか……違う技なのか同じ技で名前を間違えているのかは分からない。


 シャルの足元には既に二体のアームベアの死体が転がっていた、一匹は胴体真っ二つにされていてもう一匹は首が跳ね飛ばされていた。

 精密な魔力操作による身体強化による剣術は(ことごと)くを斬り伏せる。


 それを見ていると後ろから三匹のアームベアが草むらから現れた。

「師匠、後ろです!」

「ありがとシャル」

 でも……足音で気づいてたんだけどね。

 私にはミナの様な速度も体の構造に対しての知識もなければシャルの様な魔力も無い。

 あるのは純粋な技術。


 一匹目の大胆な大振りを半歩移動して回避。

 技神流 才人の型 初級【突貫斬り】


 初級技、魔力を持った者なら誰もが使わなくなる技。

 だけど魔力を持たない私からすれば初級技は十二分に強い技だ。

 溜めてから放つ鋭い刺突、かなり硬度なアームベアの肉体にも深々と刺さりその勢いのままに振り上げる。豪快に裂かれた横腹から大量の血が流れ、少しするとピクピクと痙攣して直ぐに動かなくなった。

 体の構造にはミナ程詳しくない私でもお腹には臓器が沢山あってそれが傷つくと死ぬことぐらいは知っている。それは魔王であっても勇者であっても動物だって同じだろう。



 走ってくる二匹目はその勢いを利用する。

 愛刀とは違う適当な店で買った安い刀を鞘に納めて腰を少し落とす。

 力神流 武人の型 初級 【抜刀斬り】

 アームベアもかなりの速度を出していたので魔力で強化していない初級技でも綺麗な横一文字を描いて真っ二つに切断した。


 最後の一匹は少し警戒したのかそれとも怯えたのかご自慢の剛腕で連続で殴り掛かってきた。


 技神流 天人の型 初級 【流水】

 一撃一撃を川の流れの様に綺麗に受け流す技、同じ天人の型と大きく違う点は受け流すのが目撃でカウンター技じゃ無い所だ。

 剛腕から放たれる重い一撃、食らえば即死で正面から受け止めれば致命傷。

 でもそんな即死級の一撃ですら剛腕を撫でるよう力を別の角度から優しく加えれば届かない。

 そうやって全ての攻撃を流水で受け流していけばいつかバランスを崩して胴体がガラ空きになる。


 とどめに使う技は私の弟子の一人、ラウド・クリウスがお気に入りの技だ。

 力神流 武人の型 超級 【紫電一閃】


 刀を構え、蝋燭の火を消すように「フゥ」と一呼吸。

 一瞬だけ紫色の雷が迸る、振りかざした刀を鞘に納めてから仲間の元に歩いていく。

 少しの静寂が過ぎてから背中からズルリと音が聞こえ後にゴトッと何かが落ちる音だけが聞こえた。

 アームベア―の胴体が落ちた音だ。


「凄いです師匠! 技の一つ一つが綺麗でした!」

「エルトリスを見ていると剣術を習っていない僕でも勉強になるよ」

 私が、それこそ超級や極級の技を使って瞬殺せずに初級の技を使うかと言うと二人に戦闘技術を戦いを通して教えているからだ。

 聞いて覚える戦いもあれば自分で動いて覚える事も見て思える事も強くなる為には大切な事だからだ。



「ならミナも剣術でも習う?」

「僕が断るの知ってて聞いているだろ。いいよ僕はコイツ等(ダガー)があるからね」

「ふふ、ミナならそう言うと思ったよ。私もこの子(シャル)以外弟子を取る気は無いからね」

 そう言ってシャルの頭を撫でるととても満足げだ、師匠は渡さないってオーラがヒシヒシと感じれる。


「そういう面ではミナは私に剣術を教わりに来ないから一緒に居て凄く楽だよ。大体の人は私に会うと教わりたがるからね、求婚される時もそうだけど断る方の気持ちも考えて欲しいよ」


 王宮に居た時にも7歳の私に求婚してきた没落貴族のロリコンくそ野郎を断るの大変だったな。

 アームベアの死体の山を見て最終的に手を出されたから木剣でボコボコにしたのを思い出した。


 その話を聞いたシャルが自分の頭に置いている私の手を握ってきた。

 シャルを見ると不安そうに少し震えていた。


「師匠……もしかして私が弟子になるのは迷惑だったのでしょうか」

「あ、ごめんねシャル。そんなつもりでこの話をしたんじゃないんだ。私、シャルと会うまではもう二度と誰かに教えたり弟子を取る事はしないと思ってたんだ。でも、シャルと会ってこの子に教えたいってそう思えたの。私が教えたくて弟子に貰ったの。だから心配しないで、ね?」


 シャルの前でしちゃいけない話をしちゃったな。

 この子の性格はとても勇敢でとても臆病だ。

 魔王の幹部のシャミルには突っ込む勇気はあるのに、二年前のラウドの息子のライラス君と戦った時は私がライラス君を褒めると凄く機嫌が悪かった。

 あれは不安の表れから出た不機嫌さだろう、師匠を取られるか弟子の座を奪われると思っていたんだと思う。そう言うところは昔の自分と凄く似ているから気配で分かる。


「そう……ですか。ならもう少しだけ頭を撫でてください」

「ミナが見ている前で甘えてもいいの? 笑われちゃうかもよ?」

「ミナ君はそんな事しません……ミ、ミナ君も撫でてください」

 シャルが上目遣いでお願いしていた。

 この子は精神的にまだまだ未熟な所があるから時折こうやって猛烈に甘えてくる。


「僕も!? し、仕方ないな」

 木にもたれ掛かって見張りをしてくれていたミナが歩いてシャルの元に来て二人でシャルを甘やかした。

 シャルはフィオラちゃんにもミナにもライラス君にだってお姉ちゃんみたいな立ち回りをしていたのにこの三人からは完全に妹みたいな扱いをされているけど本人はいたってお姉ちゃんだと思っている節がある。

 そこが可愛い所なんだけど。


 取り合えず時間も良い頃合いだからこれから街に戻ってアームベア討伐の依頼達成報告をちゃちゃっと済ませてティアと約束したいつものカフェで落ち合わないと。


 三日ぶりにあう友人を思い出して少し駆け足で戻る三人だった。


【ちょこっとおまけストーリー】

 アームベアーのお肉の話


「ねぇ、シャル。このアームベアー食べれるの知ってる?」

「えぇ……これを食べるんですか?」

「流石に僕はこれ見たら食べれないかな……」


 ズタズタに切り裂かれた死体の山を見て食欲が少し失せた3人だった。

最後まで読んで頂きありがとうございます!

次話の投稿、楽しみにしていて下さい!!!

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