勝者は?
ルールはさっきみたくかなりのダメージを食らった場合負け。か、どちらかが負けを宣言するか。だ。
「クルシャティーナさん、手加減はしないでくださいね?」
「もちろんよ。くすっ、そもそも今のあなたに手加減なんてしたら負けちゃうからね。」
「では、始めましょうか。」
「そうね。」
2人が集中しきり、場が静寂に静まった頃。奏によって、スタートの合図がなった。
合図がなると同時に、クルシャティーナさんは詠唱を始める、その時間僅か0.8秒。俺は時間凝縮を使って1秒はかかる。使わなかったら2秒ちょっとはかかるのというのに。
すでに、クルシャティーナさんの周りには7つの剣が浮いている。更にクルシャティーナさんは、続けざまに詠唱して今度は7つの盾を生み出し始める。俺はクルシャティーナさんの魔法をコピーするのに0.2秒、無詠唱で剣を生み出すのに0.7秒かかり、0.1秒のラグが生まれる。そのタイミングで剣が俺を16回切り裂く、つまり1回くらえば致命傷の斬撃を0.16秒で1回放つという事だ。
クルシャティーナさんが最速と言われるのは、魔法の起動時間が速いだけではなく、攻撃速度も桁外れているのだ。
俺は詠唱を完了させ7つの剣を生み出し襲ってくる剣を弾き返す。しかし、攻撃速度が違いすぎるために全ての斬撃を弾き返す事が出来ずに左腕と背中に激痛が走る。これ以上ダメージをくらわないために俺は後ろへ飛び退く。コピーして分かった事だが範囲10mまでしか剣は操作出来ない様だ。
クルシャティーナさんを見ると盾と剣が7つずつ浮かんでいた。
クルシャティーナさんは「その程度かい?」と言わんばかりの顔で言った。
「ちょっと買い被りすぎていたかな。君のことを」
「なにを言ってるんですか?まだ、これからですよ。」
俺は7つの盾を無詠唱で生み出す。
「さて、再開しましょうか。」
俺は全ての剣に違う属性をエンチャントし、クルシャティーナさんを襲う。それを全て盾によって弾かれる一瞬前。剣を空間移動で盾の内側に進むエネルギーを持ったまま出現させる。すると今度は剣で全て弾かれる。しかも剣の使用権限を強引に奪われた。簡単に言えば乗っ取られたって事だ。それを見た俺は普通にやったって勝てないことを察した。
俺はまず「ロックレイン」でクルシャティーナさんの頭上から岩石を雨のように落とす。
クルシャティーナさんはそれを涼し気な顔で眺め、つぶやく「デストロイ」。
その瞬間、現在発動している魔法が全て破壊された。俺のだけではなくクルシャティーナさんのもだ。
「さて、もう終わりにしましょうか、奏汰くん。」
「そうですね、終わりにしましょう」
同時に極大魔法の詠唱を始める。
「血に飢えた獣よ、この腐った世界を紅く染め上げろ!ブラッディワールド!」
「我が前にいる者、この世の全ての人々に我に刃向かった罰を与えよう。聖なる雷!」
今、現世界でトップ10に入るであろう2人の極大魔法がぶつかった。
目を瞑ってもなお眩しい閃光、大地が割れる程の轟音と砂を巻き上げながら近ずいてくる衝撃派。ある程度時間が経ち、砂が舞うのをやめ、場が静まったとき勝敗は決した。俺の勝ちだ。どうやら俺の極大魔法がクルシャティーナさんの極大魔法を上回ったようだ…。
すみません、諸事情が重なり遅れました。