特訓
さて、俺の固有能力は見ての通りかなり強い、らしいのだがそれほど上手く使えないのが現状だ。どこぞのアニメキャラのようにすぐに使えればいいんだけどね、俺はどうやら主人公補正が掛かっていないらしい。
と、そこで俺は思い出す。
「そういえばクルシャティーナさん。会いに来てほしいって書いてあったんですが結局俺になんの用事だったんですか?」
「あぁ、そんなこと書いたかもね。えっとね、ちょっと思い出すから待ってね。………あっ!思い出した、あなたは魔法の適正値が常人より高い、それはさっき教えたわね?」
「はい」
「それでなんだけど、あなたには知識が足りない、魔法に関することのね。あと実践が足りない、そこら辺の何もいない原っぱでやるのと実際に戦うのとでは全てが変わってくる。そこで、君に相談なんだけど、あ、奏ちゃんも一緒にね?」
「相談?」
「私が直々に魔法を教えて上げる。戦い方も全て。花園陽菜ちゃんを殺した奴に対抗するために…。」
それを聞いて俺は、いや、俺と奏は即答した。
「よろしくお願いします。」
クルシャティーナさんは、不吉な笑みを浮かべると着いてきなさいと言わんばかりに俺たちに背中を見せ歩いていった。
そこからが地獄の日々だった。
1日目、まずクルシャティーナさんとの模擬戦をして実力を確かめられた。
奏は瞬殺されたものの、俺はある程度は耐えていた。最初はクルシャティーナさんの魔法を全て模倣して相殺し続けていたのだが、これがなかなか体力をくって最終的には俺は立てなくなっていた。
それでも今までに戦った中ではやりあえた方らしい。
2~60日目は、昨日の反省を踏まえ、俺は体力の増加と集中力の延長、魔法の基礎知識から種類まで全部覚える。奏は戦い慣れするためにクルシャティーナさんとの練習。
クルシャティーナさんの特訓が始まってから3ヵ月がたった頃、久しぶりにクルシャティーナさんとの模擬戦があった。けど、その前に奏とやるらしい。
「俺に勝てると思うか?奏。」
「もちろん!あんたなんかに負けないもんね〜だ。」
「では、始めるぞ。準備はいいか?」
「「はい!」」
「では、始め!」
両者同時に爆ぜる。すでに常人にはついてこれない速度だと思うが奏は余裕でついてくる。
俺は近接攻撃を狙うが全て外れる。それに対し奏の攻撃は俺の動く方向が分かっているかのように簡単に当ててくる。それをみて、近接攻撃が不利と判断した俺はある程度距離をとり、体勢を立て直そうとするがそれをさせまいと奏は距離を詰めてくる。それに対し俺は自分の周りを包むようにケラウノスを放つ、しかし、それも読まれたのか奏は急停止をして回避し何も無い虚空に向かって魔法でできた弓を放つ、すると、俺の脇腹に鋭い激痛が走る。見るとそこにはさっき奏が放った弓が刺さっていた。しかも、刺さった弓を見てしまったため奏を見失ってしまった。
「くっ、これは厄介だな。あいつの能力の集大成だろ、空間把握で俺の位置(座標)を割り出しつつ、意思伝達を応用して俺の考えてる事が流れてくるように仕向けて死角を探して不可知の一撃を見舞わせることが出来るとかチートだな。俺の固有能力の模倣は固有能力を使った技は完璧には再現出来ないことはクルシャティーナさんと戦ってるときに分かっている。それも踏まえての攻撃方法だろう。」
俺はケラウノスを解き、俺の考えが奏に流れる時間を凝縮して極限まで遅くすると同時に俺の周り(半径1mぐらい)の時間も凝縮する。
その作業が終わった直後俺の頭に第2射が飛んできた。しかし、凝縮された時間の中では止まって見えるので俺は難なくキャッチすることに成功する。そして俺はようやく奏の位置を逆算することに成功し、その座標に向かって奏の死角になるように自動追肥弾を放つ。すると…
爆発音がなったと同時に俺の勝ちとクルシャティーナさんが判断し奏との勝負は決した。
次はクルシャティーナさん