固有能力
「クルシャティーナさん、今のって魔法ですよね?」
「そうよ?」
「教えてもらえませんか?」
「いいけど、じゃあまず、あなたの固有能力を教えて?」
「……」
「無言って、あなたもしかして自分の固有能力理解してないの?例えば、奏ちゃん?あなたの固有能力は?」
「えっと、空間把握と意思伝達です。」
「2つ持ってる人なかなかいないのよ?」
人って見かけに寄らないのね…
「で、奏汰くんは思い出した?普通覚えてると思うんだけど…、まぁいいわ、私他人の固有能力見分けれるし」
「「えっ!?」」
「ずるくないですかそれ、敵の一番の得意分野を封じることが出来るって事じゃないですか。」
「ふふっ、そう言うこと」
やっぱこの人別次元だわ…
「ちなみに奏汰くんの固有能力なんだけど…、強すぎない?私でもそのうち太刀打ち出来なくなるんだけど」
「そのうち?」
「奏汰くんの固有能力は、『模倣』まぁ、いわゆるコピーね。あと、『時間凝縮』。」
「時間凝縮ってなんですか?」と奏が問いかける。
「時間凝縮って言うのはね、技の発動時間を短くしたり、周りの時間を凝縮、つまり、とてつもなくゆっくりにできるのを利用して、自分だけいつも通り動いて敵の後ろを取って攻撃したりもできる。奏汰くんで言えばコピーする時間をほとんどゼロにすることもできるはずよ。」
「それって…」
「うん、奏ちゃんが思ってるとおり現世界で最強の能力者ね。現在の魔法使いのトップにすら届くかも知れない。」
「トップって、クルシャティーナさんじゃないんですか?」
「残念ながら違うのよねぇ、現在の魔法使いのトップは、ロンズ・ライトよ」
「その人の固有能力って分かるんですか?」
「一応ね、『世界改変』それが彼の能力、文字通り世界を変える、作り替える事が可能なのよ。確か、自分の周りの範囲5m以内だったかな」
「で、奏汰くんの話に戻すけど、教えてあげなくてももう使えると思うよ?」
「え?」
俺は疑いながらも発動してみる。
「テレポート!」
目を開けると自宅の中だった。
目の前で、紅杏が目をぱちくりしている。
「おにーちゃん、どっからでてきたの?」
「紅杏もやってみるか?」
「うんっ!やるーーー!」
俺はもう一度唱える、「テレポート!」
「大丈夫そうだな、つまり奏汰、お前はそこら辺で誰かが練習している魔法や、戦ってる最中に敵が使った魔法など、見た魔法全てが使える、流石に極大魔法を1回見ただけで模倣することは出来ないだろうが、何回かみれば、極大魔法だろうと使えるようになるだろう。但し、一つだけ言っておく、お前が模倣した魔法は全てレプリカに過ぎない、オリジナルには勝てない。それだけは言っておくぞ。」
奏が気づいた、「そう言えばそこのちっちゃ子は誰?」
「あぁ、奏は初めてだったな、俺の妹の紅杏だ。よろしくな。」
奏はしゃがんで紅杏に目線を合わせると、
「私の名前は朝霧 奏、よろしくね!」
「うん!よろしくっ!ところで、おねぇーちゃんは奏汰の彼女?」
「「違う」」
「息ぴったりじゃん。」
「「ぴったりじゃない」」
「紅杏、俺がこいつと付き合うことはないから安心しろ。」
「……そ、そうよ。こんなのと誰が好きで付き合うのかしら。」
「はいはい。それよりもおにーちゃん、おなかすいたぁー」
今日は、終始紅杏に弄ばれたのであった…。