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07 その後の話

 ***********************

 5年後……

 ***********************


 あれから俺達は、更にパーティを拡大して冒険を続けていた。


 「御手洗さーん!」


 職業が『救世主』にランクアップした東雲さんのおかげで、50人を超える俺たちのパーティは膨大な【たいりょく】を活かして物量で攻めるパワープレイを武器に島のモンスターを9割以上討伐していた。残るモンスターはラスボスの魔王のみ。俺はパーティのリーダーとなり、魔王討伐の前の演説を行う。拡声器を手に取り高台に登ると、武器を手に取り既に整列しているメンバー達に向けて声を張り上げた。


 「諸君、我々がこれから討伐に向かうのはこの『ファンタジーアイランド』に終止符を打つ最後の戦いだ。敵の強さは未知数だが、我々一人ひとりが全力を持って立ち向かえばどんな相手も最早敵ではない、そう俺は信じている。さあ、ゲームクリアして一緒にエンディングを見ようじゃないか!」

 「「「「「 うおおおおおおおおお!!! 」」」」」


 50人の歴戦の戦士達が己の武器を天に掲げ、雄たけびを上げる。泉妻さんが「瞬間移動呪文テレポート」を唱えると、俺達は一瞬にして魔王が待つ最後の砦へとワープした。


 砦の周りには大量のドラゴンやゴーレムが待ち構えている。しかし今の俺たちにとって奴らは経験値の塊に過ぎない。魔法使いの部隊が敵軍に向けて大量の魔法を放ち、武闘家や騎士は颯爽と敵の首を刈り取る。100体はいたであろう敵軍はものの数分で大量の肉塊と化した。傷ついた味方を僧侶が回復すると俺達は更に奥地へと進む。砦の奥には紫色のマントを羽織った白髪の青年が立っていた。


 「よくぞ来たな選ばれし戦士ニート達よ! お前らは見事、協調性を獲得し我の喉元に剣の切先を向けるほどに成長した! 現実世界に戻っても十分にやっていけるだろう……。だが悲しきかな、あと数分の後に貴様らはここで我の前に平伏しゲームオーバーとなる運命。いわばこれは絶対的な負けイベントなのだ」

 「魔王、知ってるか? ゲームのイベントってのは相手にステータスが存在する限り、確実に負けるなんてあり得ないんだぜ」

 「運命を覆すと言うのか、面白い! 我に貴様らの腕を見せてみよ!」


 魔王の実力は圧倒的だった。連続で射出される上級魔法の数々……更に時間経過で体力が自動回復するスキルまで所有している。俺達は魔王に決め手を与えられず、防戦一方となった。


 「さっきまでの威勢はどうした! 守ってばかりだと我の傷がみるみる癒えてしまうぞ!」

 「っく! こいつ隙がまるでない!」


 50人いた仲間が一人、また一人と倒れていく……。俺は一世一代の賭けに出る事にした。


 「装備を全て解除!」

 「どうした? 降参か?」


 俺は身に着けていた全ての装備を解除して全裸になる。なるべく身軽になった上で「敏捷呪文アクセル」を自身にかけ、魔王に向けて全力でタックルした。


 「うおおおおおおお!!」

 「気でも狂ったか、死ねい! 上級火炎呪文インフェルノ!」


 炎が波になって俺の体を襲う。だが俺は怯まずに魔王の体にダイブした。


 「御手洗菌バイオハザード発動!」

 「ぐっ、離しやがれ!」


 魔王は全力で身をよじって俺を振りほどこうとする。


 「無駄だ! 貴様は俺に触れられた時点で詰みなんだよ!」

 「何を言う! 全裸の男に抱き着かれただけではないか! ……ぐっ!」

 「気付いたか! 俺の能力は触れられた相手が俺を除くあらゆる物から避けられる能力! そしてその力は触れている時間が長いほど強大になる! 今の貴様は、自身を取り巻いている空気からも避けられ始めているんだ!」


 御手洗菌バイオハザードの能力が発動してから5秒が経過する。魔王は身にまとっている衣服をはじめ、足元の地面や周囲の空気、自身にかかる重力、そして自身を対象とする魔法にさえも避けられてしまう。俺と魔王は互いに全裸で抱き合いながら、ぽっかりと空いた穴の上でぷかぷかと浮かんでいた。


 俺達は自身を中心とした完全に真空の球体に取り囲まれながらその場を漂う。魔王は俺を離そうともがくが、魔法で筋力を強化した俺と、自身を強化する魔法にすら避けられている魔王とでは筋力差は俺の方が上だった。魔王は魔法に頼り切った生活を送っていたらしく、体を見ると筋肉がほとんどなく引きこもりの時の俺と同じくらい腕が細い。対する俺はこの5年間、毎日剣をふるって魔物を切って生活を送ってきた。今では俺の体は以前とは見違えるほどの筋肉で覆われており、ガッチリ抱き着いた腕には大きな力こぶが見える。


 マッチョの元引きこもりが腕細の魔王を全裸で抱きかかえる事十数分、ついに魔王はガクンと首を垂らした。


 「御手洗菌バイオハザード解除!」


 俺は魔王と共に地上に降り立つと、彼の体を地面に横にして置いた。装備を再び着込むと、せめてもの情けとして魔王の股間に彼が着ていたマントをかける。


 『皆様! 魔王討伐おめでとうございます!』

筆が進まなくなり打ち切りました。ごめんなさい。

プロットはPVP編や四天王討伐編などまだあったのですが、これにて「最弱引きこもり主人公のVR」は完結とさせていただきます。

小説家になろうはまだ続けますが、この作品のリメイクとかは特に考えていません。あしからず。

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