四十五話 海運ギルド
ビューンに着いて2日目、ティナと私は孤児院に遊びに行くことになった。2人の許可付きだ。
八神教の孤児院だという。八神教とは文字通り8柱の神様が居て、そいつらが元の神様ぶっ殺してこの世界を作ったよ、お前ら全員神様の子供、つまりお前らも神様、神様は大切にする、OK?って感じの宗教だったはずだ。
ここの教会は神々のうちの1柱、レジナイザーというのを祀ってるらしい。夜にまつわる星の神だ。獣の神だったり海の神だったりと色々居るうちの1柱。
この神は昼にまつわる太陽の神であるアステリアの夫である。アステリアが寝ると世界が真っ暗になって可哀想だからと星を作り、自分は月となって世界を照らしているらしい。壮大ダナー。
私はあまり宗教には詳しくないし、興味もない。この宗教について知っていることはせいぜいこれくらいと、八神教とは元は別々の宗教だったものがくっついたらしいってことと、元は8柱じゃなくてもう1柱居たってことくらいだ。
ちなみにアストリアとアステリアの綴りはほとんど同じ。もしかすると国名の元になったのかもしれない。太陽の女神の国アストリア。うん、ありえそうだ。
イメージしていた孤児院とは違い、子供達の表情は明るい。
2割くらいは養子として引き取られ、5割は雑多な職業に就き、そして残りは冒険者となるらしい。あくまで院を出る際の職業であり、例えば家事手伝いから冒険者になる者だったり、その逆だったりも居るとか。
前世の孤児院を知らないが、この孤児院は学校的な要素もあるらしい。例えば生活魔術や一般常識、それからいくつかの働く上で役に立つ技能を教えているという。
技能というのは、いくつかの料理の作り方だったり、掃除の仕方であったり、接客態度であったり(本当か?)……最後はともかく、労働者として生活する分には役に立つものだと思う。実際、家事の依頼が1番多かったしね。
その他、希望する者には基本的な魔術と剣術も教えるそうだ。カクとレニーが霧剣を習ったのもここであり、4級までなら教えられると職員が言っていた。
4級、つまりカクの階級だ。レニーは1つ下の5級だと言っていた。
武術には詳しくないが、ギルドと同じく8段階で分けるのが一般的であるらしい。4級までが基礎とされ、4級になれば晴れてその流派の剣士だったりを名乗れるようになる。魔術師でいうところの4術枠だろうか。
そこから先、つまり3級以上に関してはちゃんとした道場に通い、長い年月を掛けて上げていくものらしい。つまり、4級までの戦士と3級以上の戦士には大きな差がある。
冒険者、もっぱら前衛として武器を振るう者はこうした武術のうち4級までをいくつか身に付ける者が多いらしい。4級までは誰でも行けるらしいしね。
詳しく聞いてみれば、5級の時点で闘気の活用を求められるとか。つまり私は行けて6級だ。あの、誰でも行けるって聞いたんですけど。
ちなみにロニーは南陸の2級、霧剣の4級、破掌の4級だと言う。名前は覚えていないが後2つくらい上げていた。つまみ食いの激しいやつだ。
しかし、あれで2級。1級とは化け物なのか?と思ったが途中で止めたと言っていた。なんでや。ロニー曰くシパリアは南陸で言うところの3級はあるらしいが、級位は与えていないとも。
これもロニー曰くになるが、1級とは化け物であるらしい。ですよねー。
更にいうと1級以上も存在しているらしい。そんなバナナ。
◆◇◆◇◆◇◆
孤児院には大銅貨を4枚寄付しておいた。
お金に多少の余裕があったのと、カクとレニーが渡していたからだ。
あの2人ほどの金額ではないが、こういうのは気持ちが大切だろう。多分。
やらぬ善よりやる偽善ともいうし、下級スクロールを1枚買った程度の出費だ。問題にはならない。
ついでに、小さなアクセサリーも購入した。なんでも技能獲得の一環で作ったものを安く売ったりしているらしい。
目についたのはドッグタグのような金属板。値段は中銅貨8枚。原価がどのくらいかは分からないが、儲けとしてはほとんどないだろう。
購入すると伝えると、刻みたい文字を教えてくれと言われた。どうやら文字を入れてくれるらしい。特に浮かばなかったのでアジサイと伝えた。
10分くらい経ってから、10歳くらいの男の子が職員に連れられてきた。
「僕が彫りました。お買い上げありがとうございます」
ちょっと卑怯だと思った。
彫られた文字はちょっとブサイクだったが、ポシェットに紐でぶら下げておいた。
これはこれで味がある。
◆◇◆◇◆◇◆
ビューンからサークィンへは10日かかった。
1ヶ月という数字は正しかったらしい。いや、厳密には22日掛かったので1ヶ月とするには2日足りないが、このくらいは誤差だろう。
もしかすると1日追加されるかもしれないが、ほぼ1ヶ月だ。
私達は今、サークィンの検問所に並んでいる。
サークィン。
アストリアで第1位の都市であるが、聞くところによれば魔人大陸で最も大きい都市でもあるらしい。
私達の中にサークィンに訪れたことのある者は居ないが、カクが並んでる他の人と話していた。
サークィンの壁は別に高すぎるというわけではない。
ダールと同じくらいの、多分平均的な高さだ。
王城が外から見える。
これもシュテスビンやダーロと変わらない。
だがシュテスビンのなんともパッとしない無骨な城と違い、こっちの城は美しい。
白塗りだ。ほとんど真っ白なのだ。
青い空、青い海、白い城。
そんな感じだ。
もちろんただ白いだけなら「そうなんだ白いね!」で終わりだが、そうじゃない。
まだ遠いから細かくは分からないが、壁にはいくつもの銀か何かの加工が施されているらしく、装飾部分が輝いているのが分かる。
カラフルなガラス窓が見えることから、恐らくステンドグラスのようなものが填め込まれているのだとも分かる。
そう、ステンドグラスだ。
この世界のガラスは別に珍しいもんでもない。農村なんかではまだ一般的ではないっぽいが、町にある普通の家なら窓にガラスはハマっている事が多いし、鏡なんかも市販されている。
姿見サイズとなると値段は一気に跳ね上がるが、小さなものは割と手頃な値段で買えるのだ。私もコンパクトミラーを持っている。
だがステンドグラスとなると話は別だ。
生まれて16年もの間、見たことがなかった。文字通り生まれて初めて見た。もちろん生まれる前、というか死ぬ前は何度も見たが、少なくともこっちの世界では初だ。
ガラスに色を着けられるだなんて常識すら忘れるほどに見たことがなかった。
いや、色の着いたガラス自体はある。液体の保存瓶なんかは結構濃ゆい色をしている。
多分、ガラスに色を付けたり填めたりするような技術自体はあるんだろう。
ただそれを見たことがなかっただけだ。
今日まで存在すら忘れていた。
出来れば早く近づきたい、と思う程度には綺麗だ。
こっちの世界ではあまり綺麗な物を見る機会がなかった。
久々に見るそれは、太陽の光を受けて美しく輝いている。
それだけで興味を惹いた。絵柄がどんなものなのかも知りたくなった。
◆◇◆◇◆◇◆
検問自体は簡単なものだった。国境に設置されたものと違い、ポシェットにぶら下げている拓証を見せるだけだ。
ダールの門に居た兵士と同じだ。違う点は、明らかにこっちの方が人が多いことだろう。
時間帯的な問題かもしれない。冒険者は朝方に出入りすることが多く、それ以外だと閉門ギリギリの夜だったりが多い。
今はギリギリ昼下がりとは言えないような、やや日が暗くなり始めた時間帯だ。
普段はあまりこの時間はあまり通らないが、どうやら外で働く人々が戻り始めたり、宿を取るために急ぐような時間帯らしい。
あるいは単に人口が多いだけだったのかもしれない。まあとにかく、ちょろっと並ぶ羽目になったのだ。
サークィンの構造は中からでは分かりづらいが、上から見ると六芒星のような形の壁で囲われてるらしい。
ような、であるから実際にはちょっと違う。六角形を書いてその直線を内側に軽く抉ったらような形と言ってもいいかもしれない。
概ね六角形だ。何故このような形なのかは分からなかったが、六角形だ。
その六角形の中央には円形の壁があり、更にその内側にはもう1枚円形の壁があり、この1番内側に王城が立ってるらしい。
「壁、多すぎでは?」
3枚壁というともはや巨人に破られるフラグにしか思えない。説明に対して思わず突っ込んでしまった。
「この町は古いからな。昔はもうちょっと多かったらしいぜ?さすがに邪魔だっつって壊したらしいけどな」
カクいわく過去に2回ほど邪魔になった一部の壁を撤去したらしい。撤去した上でこの枚数だ。
私的にはダーロ程度の構造ですら面倒だと思ったのに、果たしてサークィンの住民達は何も思わないのだろうか。
いや、思ったのか。思ったからこそ撤去が行なわれたのか。つまり現在はかなり緩和された方……なんだろうけど、さすがに不便じゃないんだろうか。
「貴族様達はあの壁の中に引きこもってる。
俺ら一般人は外側の壁の中に引きこもってる。
あんま変わらんだろ」
そういうもんなんだろうか。
「話は後にしよう。あんまり遅いと宿が取れなくなる」
シパリアの言う通りだ。だらだらと喋ってても良いが、町中で野宿なんてのは勘弁だ。
◆◇◆◇◆◇◆
冒険者ギルド。宿はともかくまずはギルド、これ即ち冒険者の基本的な生態である。
と言いたいが、今回は先に宿を取った。時間が時間だから仕方あるまい。
「でっけー」
サークィンの冒険者ギルドは大きかった。
3階建て、というのは他の建物でもよく見かけるし、石造りなのも他と変わらない。
1番の違いは横幅だ。今まで見てきた1番大きい冒険者ギルドはダールのものだ。ダーロもダールもあんまり変わらないが、ややダールの方が大きく感じる。
その横幅を2倍にした感じだ。要するに冒険者ギルドを横に2つ並べてくっつけたみたいな感じになっている。
しかも入り口も2つある。なんじゃこりゃ。
「入り口2つ無い?」
「右側は海運ギルドらしいぜ」
2つ並べてくっつけたという表現は正しかったらしい。
「つまりどういうことだってばよ?」
「ばよ?……俺も詳しくはねーが、そのまんまだよ。
海運ギルドと冒険者ギルドがくっついてんだってよ。
元は同じ建物だからか、入り口は分かれてっけど中は一緒だってさ」
「え、あの入り口はハリボテ?」
「ま、そういうことになるな」
そんなハリボテに意味があるんだろうか。
「ここいらの冒険者は大体海証も取って海に出るんだってよ」
ということは、ただ利便性のためだけにくっつけたんだろうか。不思議なことをする。
「それよか入ろうぜ?」
「はーい」
カクに着いて中に入る。
確かに言われた通りで、入り口自体は分かれてるが内側は大きなフロアになっていた。
何本か柱が立っている程度で、大まかにいえば1つの大部屋と呼べるだろう。
左の壁に録石棚、正面左側に冒険者ギルド側の受付、正面右側に恐らく海運ギルド側の受付、右の壁には何枚もの紙が貼られている。
珍しくカクが記帳しに行った。その間、私はシパリアを質問攻めすることに決めた。まずはこの紙だ。
「ねえシパリア、あの紙は?」
「あれは船持ち用の、録石みたいなもんだ」
よくよく見てみれば、冒険者でいうところのクエストが貼り付けられていた。
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分類 :生鮮食品
分量 :12
重量 :6
設備 :冷凍
目的地:ヘッケレン
期限 :1687年11月24日
報酬 :小銀貨8枚
その他:
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「分量って?」
「基準の樽がある。その樽何個分かということだ。
重量も同じだ。水がいっぱいに入った樽何個分かということだ。
場合によってはそのものの大きさが記入されることもある」
「設備ってのは、冷凍したまま運べるかってこと?」
「そうだ。冷凍で運べる船はあまりないから余ってるんだろうな」
シパリア曰く、海運ギルドとは荷物を適切な船に渡すための橋渡し役らしい。
また冒険者ギルドと違い、複数のクエストを同時に受けることも可能だそうだ。
大きめの船で運ぶ場合、大きな荷物を1つ運ぶか、小さな荷物を複数運ぶかは自由ということになる。
ただ基本的には大きいものの方が報酬が高いらしく、余った隙間に積められるようなクエストを追加で受ける程度だとか。
「あれ?じゃあ海運ギルドには階級的なのはないの?」
「いや、ある。1年以上で銅、4年以上で銀、16年以上で金級になる。
この仕事をどれだけやってるかと信頼性の目安にはなる」
まあ運転技術を競うわけでもあるまいし、ともなればそんなもんか。
「シパリアのは何色?」
「いや、私のは船持ちの海証ではない。
護衛用の方であり、階級なんかは存在していない。
海上護衛クエストの許可証のようなものだ」
海証には3種類あるらしい。
実際に船で荷を運ぶ人用のもの、技術職の多い船員用のもの、それからシパリアの持っている船を守る冒険者用に発行されるものだ。
1つ目は先程説明にあった通り、色によって4階級に分けられる。2つ目は分野毎に色で分けられ、引かれる線によって更に4階級に分けられるらしい。3つ目の冒険者向けのものに関しては階級という概念がない。クエスト自体は冒険者ギルドで受けるので、特に設定する意味がないんだろう。
「何回くらい受けたことがあるの?」
「質問攻めだな。12回だ。あまり多いとは言えない」
12回のうち大陸を離れるようなものが10回、うち3回はエレヒュノイズの交易島というところまでのものだったらしい。
後の7回は航路から外れた位置に移動し、安全ではない海域での漁での護衛。
残りの2回は沿岸を移動する船の護衛だったらしい。
「実際海の上で戦闘になったことってどのくらい?」
「8回だ。漁での護衛で7回、エレヒュノイズ行きで1回だ」
「どんなのが出てくるの?」
「海の魔物は基本的にどれもデカい。島のような大きさのも居る。
基本的には電撃を与え、一時的なショック状態に陥らせ、その間に逃げる。
なあ、もういいか?」
「ありがと」
質問攻めにしてしまったが、色々聞けた。
なるほど、護衛とはあくまで敵を散らすものであって、倒すものではないのか。
魔石での稼ぎは期待できないのか……。
「もし倒せれば、結構な金になるんだがな」
「というと?」
「色魔石を持つ魔物が多いんだ」
「ほう」
シパリアの追加情報に釣られたのはカクだ。目がドルマークになっているように見えるのは気のせいだろうか。というかいつ戻ってきた。
「だが、無理だ。大きすぎて切る意味がほとんどない。
アンなら……と思ったが、ドイは苦手だったか」
こんなことならば練習しておけばよかった。
そうか、ドイが聞きやすいのか。ポケ○ンでいう水属性的な感じなんだろうか。
ちなみに陸の魔物は大体リチ、つまり火が弱点だ。魔物っていうかほとんどの生物は火が弱点だ。魔人も当然燃えたら死ぬ。当たり前だな!
「なあ、リチは効かねえの?」
「いや、効くらしいぞ」
と思ったら効くらしい。火はほとんど全ての生物の弱点だ。たこは燃えたらたこ焼きになる。当たり前だな!……ちょっと違うな!
「カク、お前に朗報だ。海の魔物は基本的に美味い」
「なんだと!」
「まあ、食う余裕はあんまりないだろうがな。
海の上で船が悲鳴を上げてみろ。食欲どころの話じゃなくなる」
海鮮魔物は美味いらしい。ちょっと楽しみだ。
が、確かに船が壊されては元も子もない。魔人ったって海の上を走れるわけじゃないのだ。……走れないよな?頭の中でロニーが海の上を走ってるんだけど、これは冗談だよな!?
いや、あいつは空飛ぶし走る必要すらないのかもしれない。ロニーは例外だ。とりあえず、私は走れない。それでいい。後多分泳げない。こっちで泳いだことがないからなんとも言えないが、前世と合わせれば20年近く水泳なんてしてない。
「なあ、アン……」
「何?」
「泳げる?」
「多分無理」
「だよな。安心した。アタシだけじゃねーよな……」
と思ったら仲間が居た。カナヅチ仲間だ。いや、私は泳ぎ方は知ってる。実際に泳いだことがないだけで。つまり泳げないとは言い切れない。
「俺も泳げん」
「レニーもか!」
「僕も……」
なんということだ。むしろ泳げるほうが少数派だったのだ!
「俺は泳げるぜ」
「いつどこで学んだんだ」
「え?あー……録石で読んだんだよ」
「泳いだことはない、と」
「ああ。でも多分泳げるぜ」
そうだ。言われてみればレニーとカクで分かれる理由がない、と思えばこれだ。
読んだだけで泳げると思ったら大間違いだぞカク……。
「ま、なんとかなんだろ。
いざとなったらアンに海毎凍らせてもらおうぜ」
「いやいや無理無理何言ってんの」
……どのくらいの魔力があれば出来るんだろうか。狭い範囲ならできないこともなさそうだけど、と考えた自分が少し怖い。
でもサンが丁度いい魔言を教えてくれたのだ。フィールという辺り一帯に影響を及ぼすような魔言をだ。
実際に何度か試したが、問題なく使えた。多分得意な系統になるんだろう。
欠点として、範囲がかなり広いことが挙げられる。どれだけ魔力を絞っても直径5m、高さ4mの扁球程度が限度で、それ以下にはできないのだ。
また細かく範囲を指定することもできない。例えば部屋の中で高さ2m幅1mの部分にだけ当たらないように、みたいなのは無理だ。
要するに味方を巻き込みやすい。そういう意味では使いづらいが、レンズと合わせれば色々悪さが出来る魔言だ。
但し魔力の消費量が他の魔言とは段違いに大きい。私でも連発は出来なさそうだが、そんなに使うような魔言でもないだろう。
「いや、泳ぐような事態になった時点で終わりだ。
海の魔物は私達なぞ一口で食えるようなものも多い。
私は泳げるが、意味はないだろう」
なんとなくシパリアがドヤ顔である。珍しい。
しかし、そうか。海の魔物はデカイのか。
「海上護衛のクエストあるけどよ。
呪人大陸に行くようなのはねえな。」
録石棚に目を向ける。時間帯が時間帯でありほとんど置かれていないが、確かにそんなものはない。
一応海上護衛クエスト自体はあるのだが、せいぜい沿岸部での漁の護衛とかだ。渡るようなものはない。
「あんまり見つかんなかったら、旅客船にでも乗せてもらうか?」
「それでもいいが……急ぐのか?」
「ん、まあ早い方が良いっちゃ良いけど、別に急いじゃねえよ」
シパリアが以前、基本的には直接契約を結ぶと言っていた。簡単に見つかるものではないのかもしれない。
「ま、今日のところは一旦帰るか。
つーか飯だ飯。海の幸が食えるぞ!」
「いや、ダーロで食べてたじゃん……」
「こっちは呪人が多いからな、多分うめえぞ!」
カクはどこでも平常運転らしい。
よく分からんが、呪人が多いとご飯が美味しくなるらしい。
実際、ダニヴェスよりもアストリアの方が食事は美味しい。
多分だが、呪人は魔人よりも味を重要視するんだろう。同じ値段ならもちろん美味しいほうが良い。味のためだけにお金は払いたくないが、アストリアの物価はそこまで高くない。少なくともシュテスビンやビューンはダールと同じようなものだった。
恐らくサークィンも大きくは違わないだろう。もしかすると、ダーロみたいに安いかもしれない。
「せっかくなら王城が見えるところがいいです!」
「却下だ」
「なんでや!」
「すぐに暗くなるぜ?明るい内に見たほうが良いだろ」
それもそうか。




