四十二話 手紙
サンは最近学校で教師として働いているとのこと。子供が居なくなったから暇で暇でしょうがないらしい。
両親共に特に変わりない、家を出た頃のままだった。
いっそ紫陽花を抜けてダールで町民として生きようか、なんて一瞬頭を擡げたがすぐに改めた。冒険者は厳しく職業だが結構楽しいのだ。今更止められるわけがない。
「どのくらいこっちに居るの?」
「んー、まだ未定」
別に決まってるわけじゃない。単に寄っただけだし、ある程度稼いだらまた出発する予定だ。
「今日は泊まってく?」
「宿を借りてるからそっちにするよ」
あんまり親元に居ると甘えてしまいそうなのでこれは却下。
私は結構流されやすいのだ。
「それよりさ、療術教えてくんない?」
「いいけど、アンに出来るかな」
「ぐぬぬ」
サンの話も旅先で何度か聞いた。というか、アンジェリア・レーシアとフルネームで名乗るとたまに話しかけられるのだ。
癒し手のサニリア・レーシア。療術師を志す人にとっては結構な有名人らしい。私にとっちゃたんこぶ治したりする程度の人ってイメージなんだけど……。
引退済みのパーティなのに名前が知られてるというのは、それだけで有名と言えるのかもしれない。
当然ロニーの方も有名だが、こっちはロニリウス・ブーチャ・イェノンと言う名前で活動してたらしい。今とは微妙に違う。名前というのはよく分からん。
もっとも、親の話題は面倒なので最近はアンジェリアとしか名乗ってない。実のところ私はあんまり薄氷の陽炎を知らんのだ。ロニーの昔話でたまに聞いたくらいだ。
「ユタは使えるんだよね?」
「……ユタね、ちゃんと教えたよ」
ん?一瞬顔が曇った。何かあったんだろうか。
そういえばユタから手紙を貰ったんだった。どうせだし一緒に読むか。
「ギルドに寄ったらユタから手紙が届いてたんだけど、一緒に読む?」
「あなた宛でしょ?ユタが可哀想よ」
「それもそっか」
言わなきゃバレないと思うのだが、まあいいか。
◆◇◆◇◆◇◆
私の部屋はやや埃っぽいくらいで、出た時とほとんど変わってはいなかった。
窓を開けて布団を軽く叩く。こういう時にドイ・ゾエロは便利だ。上手いこと魔力を制御すれば部分的に埃を集められる。
後はウィーニ・クニードで換気をしつつ、集めた埃は外に持っていってリチ・クニードで焼却処分。やっぱり生活魔法とは便利である。
ベッドで寝転がり、よし、ユタからの手紙を読む準備はできた。単に部屋を掃除しただけなんだけどね。
「アンへ
このてがみはアンにだけおくっています。
というのも、ぼくはかれらとれんらくをとらないことにしたからです。
アンへもこれをさいごにします。
もし気になったら、ちょくせつ聞いてみてください。
今はリアツェレンのリアトレットという町にいます。
この町はみなとが大きく、人も多い町です。
しごとも多いですが、ちあんはよくないです。
ここからながめる海はぜっけいで、すきとおっています。
ほんかくてきにご飯もおいしくなってきました。さすがちゅうぶこっかといった感じがします。
ただ、風がいそ臭いのがけってんかもしれません。
さがせばわるいところはたくさん見つかります。
ちあんのわるさといっても魔人たいりくの比ではなく、とおりでさつじんがおきていることもあります。
ひんぷの差がはげしいのは呪人たいりくでよくあることですが、スラムがいもかなりの大きさです。
ぼうけんしゃをころすことをなりわいにしている人たちもいます。
あまりながいしたい町ではないので、明日にはたつよていです。
いぜんにおくったとおり、このままほくぶへむかいます。
"りっかのまじゅつし"、"れいけつのユースト"
今はこのなまえでかつどうしています。
もしこちらに来ることがあるならば、そのときは魔人であることをかくすことをすすめます。
また、かのうであればだんそうをするといいかもしれません。
こちらのたいりくでは、だんせいのほうがじょせいよりもゆうぐうされています。
魔人たいりくで聞いたちしきはあんまりさんこうにならないです。
魔力をふやし、いつかまほうつかいになって、ぼくをおどろかせてください。
せかいはおもってるよりもずっとひろいんです。あんまりちょうしにのってはだめですよ。
アンよりもすごい人もいっぱいいるし、つよい魔物もたくさんいます。
ですが、きたいしています。アンは僕のじまんのいもうとです。またあいましょう。
ユスタディン」
表音文字が多いのはいつものことだが、気になる点が多い。
まず文頭だ。連絡を取らないというのはどういうことなのか。嫌われてしまったのだろうか。後で両親に聞いてみよう。
次に文末だ。今まで届いていた録石と手紙には"ユスタディン・レーシア"とあったのに今回は"ユスタディン"だ。絶縁宣言?
最後に内容だ。もう連絡を取らないというのに"またあいましょう"とは。手紙は出さないけど会いたいよってこと?矛盾してる気がする。
他にも気になる点はある。例えば呪人大陸は差別の少ない国が多いと聞いていた、とか色々ある。
"りっか"は確かユタの所属しているパーティ名だ。八花というパーティ名をもじったものだと以前に聞いた。
しかし"れいけつのユースト"は初耳だ。字にすると冷血だろうか。あまり良い印象を持てない文字だが……。
まあ、ここらへんは一旦置いておこう。
まずは両親と話をしてみよう。
◆◇◆◇◆◇◆
「そっか、アンにもそうなんだ」
「"そうなんだ"?」
1つ前に送られてきた手紙、これには続きがあったらしい。
私に届けられていたのは一度両親に届いたものの転送。元は5片で構成されていたらしい。うち2片だけが私に来たのだ。
後の3片、つまり両親に当てられた手紙はちょっと読むのに苦労した。これまでユタから届いていたものと違い、表意文字……漢字と呼ぼうか、それが多かったからだ。
「父さんへ
父さん、あなたの名前はこちらでは聞くことがありません。
今になってですが、正直に言います。僕は少し、ダールでの生活が苦しかったんです。
あなたは偉大で、僕がレーシア姓であることを告げると、確実に父さんの名前が、母さんの名前が出てきました。
最初は誇らしかった。ですが、少しずつですが、いつからか息苦しさを感じていました。
だから、最初にアストリアに向かったんです。
それでもやはり、たまに名前を聞くことがありました。
僕は自らを正しく評価されたかったのです。
あなたの名前が出るたび、相手の目が変わります。
ダニヴェスを出てからも、そのような人は多いのです。
あなたの光が強すぎて、僕の光が分からなくなってしまうのです。
こちらでは、あなたの名前はほとんど知られていません。
もしかしたらですが、僕はこちらに永住することになるかもしれません。
あなたの光の無い地は確かに厳しく、また差別があるのも事実です。
しかし、私自身を見てくれるのです。ロニリウスというフィルターを通さないのです。
父さん、あなたの事が嫌いというわけではないんです。
取ってつけたようですが、愛しています。
あなた達のおかげで今の僕があると思ってるし、死ぬまで尊敬し続けるでしょう。
ですが、偉大すぎる親を持つと困ることもあるのです。
父さんなら分かってくれますよね?
余裕が出来たら遊びに来てください。
僕から会いに行くのは、この手紙のせいで少し恥ずかしいです。
ユスタディン・レーシア」
「母さんへ
母さん、心配をかけます。ですが気を落とさないでください。僕は結構強いんですよ。
母さんが思ってるよりもずっと強いんですよ。
だからきっと大丈夫です。父さんは慢心と笑うかもしれませんが、時にはそれも必要なことでしょう。
僕は魔法使いには成れそうもありません。レイヤーを理解し感じ取る。そんな芸当が出来ないのです。
あなたの見ている世界を見れたらどんなに楽か。有り得ない話ですが、何度も夢に見ました。
アンジェリアもそうです。彼女は魔力が見れる。私には理解出来ない能力です。
その分僕は努力しました。僕なりにですが、全力で努力しました。
学校での成績もよく、主席での卒業も成しました。
それでも、自らの努力が報われない気がしてなりません。
母さんの療術を目指し、学びました。それでもやはり、僕の療術は魔術の域を出ることがありませんでした。
いつの日か、アンジェリアも魔法を扱うのでしょう。
神童と呼ばれた僕は、いつの日か、優秀な両親と妹に挟まれた無才な男として記憶されるのでしょう。
それが嫌で、家を出ました。
母さん、あなたの事が嫌いというわけではないんです。
取ってつけたようですが、愛しています。
あなた達のおかげで今の僕があると思ってるし、死ぬまで尊敬し続けるでしょう。
ですが、偉大すぎる親を持つと困ることもあるのです。
母さんには分からないかもしれませんが、そういうものなのです。
いつかアンジェリアもそのような葛藤を抱える日が来るかもしれません。
暖かく見守り、意見を尊重してあげてください。
余裕が出来たら遊びに来てください。
僕から会いに行くのは、この手紙のせいで少し恥ずかしいです。
ユスタディン・レーシア」
「両親へ
先の手紙は読んでくれましたか?
もしまだ読んでいないなら、そちらを先に読んでください。
悪いのは僕なのです。
誰も悲しませたくなかった。
本当はこんなことも書くつもりはなかった。
でも、僕は自分を守るために書きます。
1人で辛い思いをするのに耐えきれませんでした。
僕は僕が可哀想になってしまったのです。
自分勝手ですね。この痛みを、あろうことか両親に押し付けようとしているのです。
ですが、ああ、すっきりした。肩の荷が多少は降りた気がします。
書くだけでここまで心が晴れるなら、送ればどうなるのでしょう。
愚痴のような手紙になってしまい、申し訳ありません。
不肖な息子で、すみません。
ああ、悲しんでください。
ああ、苦しんでください。
たった1人の父と母、愛していないわけがありません。
痛いのは僕だけで十分だったんです。
ですがこの痛みは、1人で背負うには重すぎました。
怒ってもいいんですよ。
僕は怒られたことがほとんどありません。
アンはよく怒られてましたね。
殺してくれてもいいんですよ。
どちらにしろ、僕は待っています。
六花の魔術師、または冷血のユーストと調べてください。
この名前で活動しますから。
父さん、母さん。
あなた達へ私から手紙を出すのはこれを最後にします。
何か用があれば、直接来てください。
ですが、いつでも待ってます。
ユスタディン」
読み終えた時、最初に浮かんだのは反抗期という言葉だった。あるいは厨二病とでも呼ぶべきか。
とはいえユタは別に落ちこぼれとかそういう類ではない。むしろ優秀な人間だと思っていた。
優秀な人間がそういう思考をしたらどうなるのだろうか。私の頭の中には死神漫画が浮かんだ。新世界の神を目指し死んだ奴だ。
それはともかく、状況を整理しよう。
・手紙を出した時点ではリアトレットという町に居た。
・どうやらレーシアという名前が面倒らしい。
・家族との連絡は望んでいない。
・殺しに来てくれてもいいんだよ。
・会いたいよ。
……厨二病というよりかはメンヘラだろうか?
まあ言葉はどうでもいい。そういう精神状態は詳しくないが、とりあえず重症であることは間違いなさそうだ。
都合がいいのかもしれない。ちょうど私達紫陽花は呪人大陸に行くつもりで動いていた。私にとっては用事が1つ増えただけだ。
考えても見れば、滞在した町の詳細を送ってきていたのも、私達が迷わないようにするためだったのかもしれない。
ということは、書いてある通り以前から考えていたことなのかも。
名前が面倒だというのは分からなくもないが、他はよく分からん。
そもそも私よりもユタの方が明らかに優秀な人間だと思っていたのだが、あっちからすると逆に感じていたらしい。
ともかく、私の今後の予定が大きく変わるわけではなさそうだ。
「……私、呪人大陸に行くつもりだったんだよね」
どちらにせよ伝える予定だったんだ。言うタイミングとしては丁度いいだろう。
「ついでってわけじゃないけど、ユタに会ってくるよ」
「僕も行こう」
ロニーが間髪入れずに同行を申し出た。
私としてはありがたいが、ユタはどう思うだろうか。
多分、私だけが先に接触したほうが良い気がする。
「……言うかまだ迷ってたんだけど、実は生理来てないのよ」
やればできる。
素敵な言葉だ。
妊娠の経験は無いから分からんが、不安になったりすることもあるのかもしれない。
それに、妊娠中は魔力が上手く操れなくなるとも聞く。魔人にとっては生活しづらくなる。1人にするのは忍びなかろう。
「私だけで行ってくるよ。父さんは家に居て」
「……そっか、うん。じゃあお願いしようかな」
◆◇◆◇◆◇◆
結局、私の冒険者としての話をして、それからユタの話をして、それで終わってしまった。
どうにもそれ以上話す感じではなかったので、家を出てきてしまったのだ。
私は元々空気の読める日本人なのだ。いや、前世では割と読めない方だった気はするけど、まあともかく、空気を大切にしてしまう日本人なのだ。
着替えくらいは持ってきても良かったかもしれない。あんまり背も伸びた気がしないし。
セメニアやケシスに会おうかなと思ってはいたが、そういう気分ではなくなったので、一旦合流することにした。
ティナ達が居るのは鶴の宮ってとこだったっけ。……どこだろう?
どうせ冒険者ギルドの近く、つまりここらへんにあるとは思うんだけど。
うーん、悩んでても仕方ない。道行く人に聞いてみよう。
「すみません、鶴の宮ってどこか分かりますか?」
と声を掛けてみたはいいものの、知ってる人が居ない。
これは困った。あいつらどこ行ったんだ。
結局、冒険者ギルドで道を聞いた。
というか冒険者ギルドのすぐ裏にあるらしい。冒険者じゃないと確かに知らない場所かもしれない。
人選を誤ったか。ぐぬぬ。
宿に着き、紫陽花のアンジェリアだと言えば6号室と7号室だと伝えられた。男女別、というよりかはパーティ別だろう。
6号室はノックをしても返事がなかったが、7号室は開けられた。どうやらレニーだけが残っていたらしい。
「どうしてレニーだけ?」
「誰か居なきゃ困るだろ」
宿を見つけいざ入室という場面で鍵が掛かっていたら確かに悲しい気持ちにもなる。まあ主人に言えばマスターキーで開けてくれるくらいはしてくれるかもしれないが。
こういう辺りレニーはイケメンである。気が利く男になりたい前世だったぜ。
「何してたの?」
「これを読んでいた」
レニーの手には録石が見える。どうやら読書中だったらしい。しかもゾエロを掛けた上で。
闘気ではなくゾエロである。めちゃくちゃ珍しい、っていうか使ってるの初めて見たかもしれない。
模倣人形と戦った時にエレス系を使ってたのは見たけどさ。
「その纏身は?」
「修行の一環だ。魔力を扱うのはあまり得意ではないからな」
よくよく見てみれば魔力が一定ではなく荒々しい。なんというか、濃くなったり薄くなったり、しかも場所によってまちまちで疎らなのだ。
とはいえ私もよくやってる奴だ。繰り返すと魔力量が増えるし、一定量の魔力を放出し続けるのは魔力をコントロールする訓練になる。
小さい頃にエル・クニードでやっていたのが懐かしい。最近はいざとなった時に使えないと困るので消費の訓練はしてないが、日がな一日ゾエロを薄く使う事はある。つーか使わずに歩き続けると足が痛くなる。
「あの剣に土付けて振る奴みたいな感じ?」
「ああ。最近コツが掴めてきた」
私の目にはまだまだ未熟に見えるが、多分レニーなりに頑張った結果なんだろう。
闘気とゾエロ。機能としては似ているがその性質や原理は実はかなり違う。
闘気は内側、つまり魔力の流れている体そのものを強化する術であり、この世界の戦士共が打撃を食らってもケロッとしている元凶だ。ある程度斬撃にも強くはなるらしいが、皮膚などの体の外側に近づくにつれて防御力が落ちるらしく、鎧を着込むことが多い。
ゾエロは外側、つまり魔力で肌を膜のように覆う術だ。外骨格と言い換えても良い。この性質柄、魔術師はむしろ打撃に弱い。逆に斬撃には結構強いので、あんまり重鎧を付ける必要がないという話になるわけだ。
実際には外側だけでなく内側、普段は魔管を通っている魔力を血管に流し込むことで筋肉なんかも多少は強化される。これのおかげで身体能力も向上するのだが、あくまでメインは外側に生まれる膜だ。闘気のように体内が鋼鉄みたいに硬くなるわけではない。
ちなみにゾエロは魔術に対する防御力も結構高い。リチ・クニードをしてもおててがあちちにならないのはこれのおかげだ。ゾエロを使えないとそもそも一部の魔術が扱えないということになる。
まあ私はゾエロを使わなくても火傷したことがないので、ゾエロが必要ってのはあくまで呪人の話だろう。魔人は無意識にゾエロを使ってるともよく言うし。多分、普通の呪人はリチを使ったら火傷するんだろう。
一方の闘気は膜を作るわけではないので魔術がそのまま直撃することになる。私なら火弾が直撃しても多分多少の火傷で済むはずだが、レニーだとそうはいかないのかもしれない。
更に言えばロニーやシパリアの使う剣術は魔術をかなりの頻度で差し込む。ゾエロを使えないとリチやドイが使えなくなって不便なんだろう。だからこその訓練なのかもしれない。
「私もやろっかな。セブゼロ・ニグゾエロ」
力詞という魔言を利用して一気に魔力を放出する。
このくらいしないと最近は使い切れないのだ。ただ、一気に使ったせいで立ちくらみを起こしそうになった。ストレッチせずに全速力で走るようなもんだ。体に悪いなこれ。
しかしこんだけ魔力を使ってるのに、中級の力詞しか使ってないというから魔術は怖い。更に上級が存在しているのだ。どれだけの魔力が必要なのかさっぱり分からないし、ちょっと怖いので使ったこともない。
……ダールに居る間に試してみても良いかもしれない。力詞2個使ってるせいでこんだけ魔力を消費してるだけなのかもしれないし。後でロニーに付き合ってもらおう。
「凄いな、ビリビリする」
「魔術師ですから」
闘気が扱える連中は文字通り肌で魔力を感じ取る。私には分からん感覚だが、鳥肌が立つみたいな感じなんだろうか。
「そんなに出して大丈夫なのか?」
「大丈夫ってどういう意味?」
「アンはよく倒れるじゃないか」
なるほど、っていうほど私はぶっ倒れてるんだろうか。ここ半年じゃ2回しかないぞ。
大体ああいう時は必要に駆られて無理やりぶっ放してるわけで、今回とはちょっと違うのだ。仮に倒れてもベッドはすぐそこだ。
「へーきへーき。ちゃんと調整してるからね」
「そうか」
しかしここまで強く魔力を纏うと体の操作が難しいかもしれない。動かないという意味ではなく、動きすぎるという方の意味で。
……ドアを壊したりしないよう、慎重に動かさなければ。
ええと、このくらいで動かすとこのくらいの力が入って……。
「……なあ、アン」
「ん」
「どうしてそんなにぎこちないんだ」
「いや、操作がちょっと難しくて……」
レニーは私を鼻で笑うと、読書に戻った。なんだこいつ。
レニーとロニー、どっちがどっちだかよく分からなくなってくる。




